旅行をしていて、なんだか生煮えというか、いまいちピンとこないことってありませんか。
せっかく貴重な休日に、滅多に来られない土地へ来ているのだから、食事にせよ、観光にせよ、アクティビティにせよ、宿泊にせよ、その土地の魅力を満喫できるものに触れたい。
とりあえず、旅行ガイドにのっているような有名どころに足を向けてみるんだけれど、「ふーん」「こんなもんか」以外の感情が湧き起こらない。
でも、だからと言って、どうすればいいのかもわからない。トリップアドバイザーも食べログも、あまり田舎だったり、知名度のない土地だったりすると、ほとんど役立ちません。
特に、子育て中であれば、「我が子に、少しでもいい体験をさせたい」と考えますよね。
子どもときの経験が、大人になってからの財産になる事実は、言うまでもなく。幼少期は、今このときだけ。3年後でも5年後でも、また来たときに楽しめればいいや、とは、なかなか思えないんですよね。
しかも、会社に勤めているのであれば、休みだって貴重です。いつでも旅行できるわけではありません。
だからこそ私は、これからの旅行やレジャーは「人」だと考えています。
その土地のことは、地元の人がいちばん知っている。地元の人と繋がれば、土地鑑がなくても、その土地のいいところ、魅力的なところ、素敵なところに、迷わずダイレクトに触れらるからです。
実体験を紹介します。
従来型 “旅行” の決定的な問題点
ニューツーリズムという考え方があります。
ニューツーリズムとは、従来の旅行とは異なり旅行先での人や自然との触れ合いが重要視された新しいタイプの旅行である。
よって旅行会社が主導ではなく、地域の立場から特性を活かすことが一番であるため、地域活性化につながる新しい旅行の仕組みであると同時に、多様化する旅行者のニーズに則した観光を提供することを指す。
内容としては、産業観光・エコツーリズム・グリーンツーリズム・ヘルスツーリズム・ロングステイ・文化観光などが含まれる。
ニューツーリズム – Wikipedia
旅行者が自ら観光地をめぐったり、パッケージ化されたツアーに参加するのが、従来の旅行です。
もちろん、これはこれで悪くないんですが、大きな問題が3つあります。
- 旅行者の大半は、著名な観光地にしかアクセスできない
- 観光地化されている場所や、観光資源が、その土地の最高の魅力だとは限らない
- 著名な観光地が、必ずしも旅行者のニーズに合っているとは限らない
パッケージ化された観光地巡りでは満足できないケースがある
たとえば、幼児を連れて、京都へ遊びに行ったとします。
有名どころだからと、京都御所に行きます。すると子どもは、御所内に敷かれた砂利で遊び出すはずです。制止しなければならず、ストレスを感じるばかりです。
場合によっては、寺社巡りよりも、鴨川で水遊びをしていたほうがマシ、という状況だってありえるわけです。
大人だって、無数に寺社があるなかで、どこへ行けばいいのか迷うはずです。清水寺に金閣寺、銀閣寺、みたいなメジャーどころを回るよりも、伏見稲荷大社みたいな獣じみた場所のほうが好きだという人もいるでしょう。
ちなみに私は、清水寺・金閣寺・銀閣寺はイマイチ、伏見稲荷大社は大嫌いで、下鴨神社が好きです。
単におすすめの場所を教えてもらっても、どうしていいかわからない
“鴨川で水遊び” じゃ、せっかく京都へ来たのにもったいない。と、誰もが感じると思います。
であれば、京都にも豊かな自然があるわけで、自然散策に方針を切りかえるという手段があります。ど素人がパッと思いつくのは嵐山でしょうか。
ところが、京都出身の友人に聞いたら、大原がおすすめだという。大原なんて、素人の旅行者には、まず選択肢にのぼらないわけです。
でもこのときは、断念しました。大原に行くとなると一日がかりになってしまうし、行ったところで現地でなにをすればいいのか、想像できなかったからです。
もし京都出身の友人が同行してくれていたら、話は別だったでしょうね。
地元の人と繋がる
今年の夏、子育て支援コミュニティ『asobi基地』で、30名規模のキャンプを実現させることができました。場所は、静岡県榛原郡川根本町の大井川です。
子連れファミリーが中心で、半分くらいはキャンプビギナーなので、実は企画側もいろいろと大変です。
参加者からも好評で結果として大成功に終わったのですが、地元の芦沢哲哉さんの助けなしには、考えられませんでした。
芦沢さんは、キャンプ場の経営者でもあり、カヤックの敏腕ガイドでもあり、観光協会理事でもあります。
どうやって知り合ったかというと、たまたま付き合いがあった、静岡県立大学のフューチャーセンターコミュニティで、繋げてもらいました。すべてFacebook上で完結しました。
連絡をとって、現地に下見に行きました。
迷っていたあらゆることがパパッと決まっていきました。キャンプ用品のレンタル、日中のアクティビティ、流しそうめんの準備、野菜の収穫体験、緊急時避難先や急病時の病院、ゴミの処理、最終日のお弁当の手配……などなど。
よその人間が一人でやったら大変な手間になるこれらのことが、地元の芦沢さんの手に掛かれば、あっという間なわけです。
この縁がきっかけとなって、GWには一家でカヤックデビューさせてもらいましたし、来月もまたカヤックに行きます。
また、大井川鐵道には「きかんしゃトーマス」SLが走っているんですけど、アドバイスをもらって周辺おすすめスポットを取材し、記事を書くこともできました。取材の過程で、子どもたちともども、奥大井の魅力を満喫できました。
子どもたちと体一つで飛び込んでもこんなに楽しめる
この夏、一週間ほどかけて、子どもたちと福井県で遊んできました。鯖江市と、高浜町です。
鯖江市では、以前に講演で呼んでくれたときに知り合った荒木真弓さんと、講演に呼んでくれた浜口真一さんにお世話になりました。
荒木さんは、古民家「椀de縁」を持っていまして、宿泊をお願いしました。
その他、ヤギに餌をあげさせてくれたり、
湧き水に案内してくれたり、朝食を用意してくれたりしました。
浜口さんは、私が東京サドベリースクールを取材してきたのを知って、サドベリースクールに通うことを決めた根本さん親子を連れてきてくれました。すごく印象的な体験になりました。
高浜町では、asobi基地コミュニティの一員である長尾真紀子さんと、その子どもたち、さらに実家のみなさんにお世話になりました。まあ敦賀から若狭にかけての海の綺麗なこと。
ヒューマンツーリズムのすすめ
こんなふうに、地元の人と繋がることで、土地鑑がなくても迷わずに済みます。その土地のいいところ、魅力的なところ、素敵なところに、ダイレクトに触れられるんです。
ニューツーリズムの考え方のひとつとして、ヒューマンツーリズムがあります。文字通り、地元の魅力的な人間を資源としたツーリズムです。
単に観光するのではなく、地元の人と繋がる。旅行者にとっては楽しみが広がり、受け入れる側にとってはリピーターの増加を期待できます(なにしろ、あの場所には親しい人がいる、という要素は、強力な誘引力になるわけです)。
芦沢さんがカヤックガイドを務める、川根本町エコツーリズムネットワークでも、同様の考え方で外からの人を受け入れる試みをしています。
★☆川根本町エコツー日記☆★:地域コーディネーターのお仕事 ~教育旅行受入編~
そんなこんなで、いま私は、どこかへ行きたいとか、何かをしたいと思ったら、地元の人を探すようにしています。
さしあたり、asobi基地スキー(or 雪遊び)の受け入れ先を探してます。
どこかにいないですかね? ちびっ子たちがふかふかの新雪で遊べるような場所を提供してくれる雪国の方!