この夏は、縁あって、1週間ほどかけて、福井県に滞在しました。
子どもの頃からずっと関東在住の私にとって、もっとも印象深かったのは、若狭〜敦賀半島にかけての、海の綺麗さなんです。
関東の人間の日本海のイメージを覆す、水晶浜海水浴場
中でも衝撃的だったのは、敦賀半島西部の『水晶浜海水浴場』でした。
関東の人間が抱く、日本海のイメージというと、冷たそうな深い青色をしていて、波が荒くて、ゴツゴツとした岩場が多くて……という感じではないでしょうか。
すべてがそうではないにせよ、少なくとも日本海に海水浴をしに行く、という頭はまったくありませんでした。
だから、車で走っていて、水晶浜が視界に飛び込んできたときには、あまりに興奮して、「おおっ!!」と叫んでしまったくらいです。
象徴的な建造物=原子炉建屋
ところが、この水晶浜海水浴場には、様々な意味で “象徴的なもの” が存在します。
背景をよく見てください。あの、独特の美しい形状をした、建築物は何なのか。
画像のコントラストを高めて、建物をくっきりさせてみました。どこか見た記憶がある気がするけれど、街中ではまず見かけないはずです。
地図を見ればわかりますが。
美浜発電所、つまり美浜原発の原子炉建屋なんです。
その距離、わずか3km。
直線距離にしたら、1500mもないかもしれません。冗談ではなく、泳いで行くことも可能でしょう。
透明度抜群の海と、白い砂浜の海岸線の風景に、違和感なく溶け込む美浜発電所
水晶浜が美浜原発の近くだという事実は、行ってみようと決める前から知っていました。
でも、こんなにも無防備に見えてしまうものだとは思いませんでした。
しかも、美しい。
原発に特別なアレルギーを持たない私にとっては、これが正直な感想でした。
水晶浜という名のとおりの、透明度抜群の海と、白い砂浜の海岸線に、違和感なく、美しく溶け込んでいるんです。
前衛アートのような、常軌を逸した美しさ
そして、ふと「あれが原子炉建屋なんだ」とわかると、常軌を逸した美しさを感じずにはいられませんでした。
もちろん、ただのセンチメンタリズムではあるとは思います。
でも、それほどに、ここの海は綺麗です。
波打ち際でちょっと箱メガネで覗いただけで、シロギスやクサフグやが泳ぐのが眺められます。
5歳の娘は、浮き輪につかまりながら、楽しそうにあっちこっち覗き回っていました。
それでいて、人はほとんどいません。
だから快適この上ないんです。
湘南の、ゴミで溢れた海岸、泥水のような海に遊びに行くのが、バカみたいです。
しかも、人がほとんどいないにもかかわらず、寂れた印象があるわけでもありません。
これは、原発が立地する自治体から共通して得られる印象です。
原発のある過疎地だからこそ、守られるものもあるということなんでしょうか。
特に結論はありません。ただ、思ったこと、感じたこと、驚いたこと、心動かされたことを、率直に記事にしてみました。
機会があったら、ぜひ一度は、この前衛アートのような海水浴場に行ってみることをお勧めします。