37.4℃を超えたら一律で子供を帰宅させる保育園。クレームをつける親はモンスター?

子供の発熱というアクシデントがあって、今日は記事が書けないかと思ったんですが、何とか時間を確保できました。

せっかくなんで、子供の発熱への保育園の対応から書き起こして、社会における保育園のミスマッチングについて論じたいと思います。

いやー、これ悩ましい問題ですよね。

平熱プラス0.7℃で帰宅させられる

今日発熱したのはもうすぐ1歳4ヶ月の息子です。

まだ小さいせいもあってか、平熱が高く、朝(登園前)に熱を測ると、たいてい37度あります。

今回、保育園から連絡があって迎えに行ったわけなんですけど、熱は時間をおいて2回測って、37.4℃と37.7℃でした。

単に数字だけをみれば仕方ない水準だとは思うんですが、なにしろうちの子は平熱が高いので、平熱プラス0.7℃でしかないんです。

実際、活動はいつもどおり活発で、昼食も完食したそうです。

咳や鼻水という症状も出ていません。

もうすぐ4歳になる娘の場合、平熱は36度前半です。

娘が平熱プラス0.7℃だったとしたら、37度にも届かないんですよねー。

うむむ。

保育園としてはマニュアル化せざるを得ない

とはいえ、保育園ではたくさんの子供を見ているので、どこかでラインを引かなければ危険を伴う実情もわかります。

平熱なんて子供は安定するもんじゃないですし、体調の急変もあります。

子供ひとりひとり、この子は38度でも大丈夫、この子は37度越えたら親に連絡、なんて判断するわけにはいかないでしょう。

医師が常駐している、とかであれば話は別ですが、まあ現実的には難しいですよね。

そこまで細かく見ていてミスが出て、万が一、という事態になったら、それこそ大問題。

ただでさえ日本は、保育園を増やせと言っている段階で、サービスを手厚く充実させるなんて「夢のまた夢」というありさまです。

保育園としては、たとえば37.4℃で線を引いて、0.1℃でも超えたら親に連絡、というマニュアルにせざるを得ないわけです。

親の本音は「それくらいの熱なら預かっていてほしい」

一方で、働いている親の視点に立つと、「もうちょっとどうにかならないの?」と感じるのも事実です。

今日の僕の場合は、せいぜい、記事を大量に書こうと思っていた矢先……という程度の話です。

書けないと収入に直結するとはいえ、1日くらい潰れてもなんとかなります。

今日はちょうど妻が健康診断のために不在でしたけど、明日は妻が面倒を見てくれるでしょう。

ただ、これが飲食店をやっている人だったら、と考えてみてください。

お昼時に店を閉めて子供を迎えに行かなければならないとしたら、単にその日の売上が得られないだけでなく、客の信用を失ってしまいます(僕も正直、1日ブログを更新できないと、コンテンツの提供元としての信頼に影響すると考えています。まあ、飲食店ほどシビアではないですけど、積み重ねですからね)。

会社勤めの人でも、自分がいないと動かない会議だったり、得意先との大切な約束だったりすれば、「その程度の熱だったら見ててほしい」というのが本音でしょう。

僕はあまり賛成できませんが、同僚や上司の目が気になって早退なんかできないという人だっているはずです。

どこにも悪者がいない、不幸な衝突

結果として、親と保育園の衝突が起きるわけですね。

「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの

「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの

長田安司
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こちらの本では、子どもが39℃の発熱をしているのに迎えに来ない親の事例が紹介されています。

それはさすがにどうかと思いますが、では38℃なら? 基準値をわずかに超えただけだったり、うちの子みたいに平熱プラス0.7℃の場合はどうなんでしょう。

上記「『便利な』保育園が奪う本当はもっと大切なもの」という本の中では、親の責任感や意識の低さが問題にされていますが、ここには確かに、責任感のある親でさえ文句の一つも言いたくなる問題が存在しています(僕は文句を言っていませんけど)。

39℃の発熱で迎えに来ない親だって、おそらく本音は「仕事を失ったら誰が稼いでくれるんだ。お前らが食わせてくれるのかよ」なんだと思います。

どうにかしたくても、どうにもできないから、追い詰められて攻撃的な物言いになってしまうんでしょう。

一方で、保育士にしてみれば、「それを私に言ってどうするよ」が本音ですよね。

ストレスも尋常じゃないので、意識の低い親だの、責任感の無い親だの、というレッテル貼りをしたくなって当然だと思います。

でもこれは、不幸な衝突ですよね。

中には頭がどうかしてしまっている親もいるんだと思いますが、基本的には、親も保育園も悪くない。

悪者はどこにもいないのに、衝突が生まれるんです。

社会の仕組みを根本的に見直す以外に解決策はない

このあたりに保育園の限界が見えます。

すなわち保育園は、本当の意味で社会の要請に応えている仕組みではないんです。

親の意識云々という前に、このミスマッチングにめちゃくちゃ違和感を覚えます。

例えば、認可保育園の大半は、夕方6時前後までしか見てくれません。

しかし、夕方6時に迎えに行ける、つまり、毎日夕方5時頃に仕事が終わる会社なんか、ほとんど存在しないはずです。また夕方から夜にかけて働く人は、最初から認可保育園を利用できません。

「多様な社会の要請」と、「提供される保育」をマッチングさせるとしたら、莫大な税金をかけて24時間営業の保育園を整備していくか、9時〜17時できっかり帰宅できる会社が当然の社会を作っていくか、どちらかの方向性を選択をする必要があります。

僕は両方からアプローチすべきだと思います。

最終的にどちらに特化したシステムがふさわしいのかまでは見えませんが、現状では認可保育園を利用できる人は限られるし、また会社が子育ての負担を正しく理解しているとは到底思えないからです。

「保育園を充実させると親の責任感が薄れる」はさすがに見当違い

保育園を充実させると親の責任感が薄れる、という意見は、僕はほとんどの場合、見当違いなんじゃないかと思っています。

「社会の要請」と「提供される保育」が完璧にマッチングしさえすれば、親と保育園の無益な衝突が減り、現場は消耗せずに済みます。

親も子育ての負担やストレスも軽減されます。

僕自身は、ワークスタイル&ライフスタイルを保育園の保育時間に調整したおかげで、子育てにほとんどストレスを感じていません。

今日も、雪が降っているのに車が無かった、という想定外の事態さえなければ、もっと心穏やかでいられたと思います(^^;)

みなさんはどう思いますか?

僕は、社会を大きく動かして「社会の要請」と「保育」をマッチングさせるべきだと思います。

ソーシャルイノベーションのために何ができるのか、考えていきます。

追記

※たくさんコメントをいただいたので、追加記事を書きました。おもに「他の子に感染させちゃうでしょ」という意見について。実際には設備を整えれば感染は防げます。問題は、コストの課題があってどこでも設備を整えられるわけではない、というところ。

園児の発熱問題|「感染するからさっさと帰宅させろ」という心の余裕のなさは社会環境が生み出している

『「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの』長田安司 書評