日本経済新聞、Web上では記事内容を差し替えたのかー。感心、感心。
[ads1]
昨今、ビッグデータが注目されています。私は基本的には、ビッグデータには賛成派です。Amazonのレコメンド機能とか、重宝していますし。個人情報がどうのという問題も、個人的にはまったく気になりません。
が、ビッグデータも使いようであり、資本主義の原理に呑まれてしまってるような利用法には反対です。
つまり、「売れるものならなんでも売る」には賛成できないというお話です。
これはダメなビッグデータの使い方
先日、自宅に転がっていた日本経済新聞を読んでいたところ、「ゲッ」と驚いた記事がありました。
ヤフーとアスクル、12社とビッグデータ共有し新商品 :日本経済新聞
問題は、この部分なんです。
例えば花粉症の季節に「子供」「マスク」の単語の検索が増えてきた場合、小さなサイズのマスクの需要が高まっていることがわかる。消費者は自分が検索したデータを基につくられた新商品を手にする可能性がある。
実はこれ、Webでは差し替えられているようで、紙面ではこうなっています。
例えば「おむつ」「小学生」の単語の検索が増えてきた場合、大きなサイズのオムツの需要が高まっていることがわかる。消費者は自分が検索したデータを元につくられた新商品をその後手にする可能性がある。
太字部分が差分です。
“「自殺」というワードが増えたら自殺幇助商品を売るのか” 問題
社会の問題がなかなか解決に向かっていかないのには、様々な理由があるわけですけど、一つ大きいのは、資本主義の原理に引っ張られすぎている企業が多すぎるからだと私は思っています。
「儲かるから売る」は資本主義の金科玉条のようなもの。でもこれ、行き過ぎるとちょっと面倒なことになります。
例えば、自殺したい人が多いからと、楽に自殺できる道具を商品化して売ったらどうですか?
人それぞれ感じ方はあると思いますが、少なくとも歓迎する人はいないんじゃないでしょうか(あなたが自殺志願者であれば別ですけど)。もしその道具で、あなたの親兄弟やこどもが自殺してしまったとしたら、恨んでも恨みきれないと思うんです、たとえ八つ当たりだとしても。
資本主義には越えるべきではない一線がある
自覚ある企業であれば、「自殺したい人が多い」という情報から、自殺を減少させられる商品やサービスを開発します。
もちろん、「これがあればあなたは自殺しません」なんて言っても売れはしないでしょうから(見せ方次第かもしれませんが)、自殺幇助道具に比べたら儲からないでしょうね。
でも、資本主義には、越えるべきではない一線があるんです。
その一線をどこに置くかで、社会における企業の価値が決まるんだと私は思います。
“儲かるから売る” から “社会にとって必要だから売る” へ
ビッグデータを分析したら、「おむつ」「小学生」の単語の検索が増えてきたから、小学生用おむつに注力するなんて、最悪のビッグデータ活用です。
消費者は、小学生用のオムツが欲しいのではなく、小学生の我が子がオムツをはかなくて済む状況を手に入れたい。オムツを使う小学生が減るような商品開発をするほうが、こどもも親も喜ぶんじゃないんでしょうか。しかも、競合がいないんだから、利益にも繋がるわけです。
今や、あからさまに “儲かるから売る” 的な企業は、イメージ悪いですよね。利益を維持するのは当然としても、“社会にとって必要だから売る” という視点を打ち出せてこそ、一目置かれるようなブランド力を持った企業となれるんじゃないでしょうか。
日本経済新聞がWeb上では修正してきたのは、クレームがあったからなんですかね。それとも内部で不適当と判断したのか。どちらにせよ、的を射たビックデータ活用の事例ではなかったのは事実だと感じるので、修正してきたのは評価したいと思います。