Disney・PIXERの大ヒット映画『モンスターズ・インク』の続編、『モンスターズ・ユニバーシティ』。
『モンスターズ・インク』の主人公、マイクとサリーの学生時代が描かれています。
個人的な感想ですが、テーマはダイバーシティ(Diversity)つまり多様性だと思いました。「みんな違っていい」のメッセージが素敵で、ポジティブな気持ちで胸がいっぱいになる映画です。
いかにメンバーの長所を活かすかを考えていた管理職時代
僕は今ではフリーですが、数年前までは企業で働いていました。
課長やチームリーダーとして、数名〜十数名の部下を持った経験もあります。
部長から会社の目標が降りてきて、管理職としては、いかに達成するかを目的として仕事にかかります。
その際に考えていたことは、いかに部下(メンバー)の長所を活かして、チームの能力を最大限に発揮するかということでした。
部長を交えて、課長クラス同士で人事について話合うと、「いや、あの人がいなくなるとウチの課はやっていけない」「ちょっとこのメンバーだけでは厳しい」という話がしばしば出ました。
僕はあまり関心が無く「まあ好き勝手にしてください」と思っていました。
なぜなら、個人の能力でしかカバーできないのだとしたら、組織の作り方に問題があるか、そもそも事業計画が稚拙なのか、どちらかだと思っていたからです。
チームの成功を決める3つの条件
仕事の処理能力で言えば、確かに社員の中に序列が存在します。
人並み以上にできる人と、そうでない人が明確に存在するわけです。
でも、処理能力のある人だけを集めれば仕事がうまくいくのかというと、実際にはそんなことはありません。
第1に、適材適所であること。
苦手なことをやってもらうよりも、個性を活かして得意なことをやってもらったほうが、自分らしく働けてモチベーションがあがり、生産性が高まります。
もちろんチームの事情によって、必ずしも得意なことだけをやってもらえるわけではありませんが、個性を無視しては最高の成果は出せません。
第2に、メンバー間で互いの個性を認め合うコミュニケーションができていること。
どんなに個人能力が高い人が集まっても、個々が壁をつくって仕事をしているような状態では、いい成果は出ないし、ストレス・不満も溜まりやすくなります。
逆にコミュニケーションができていると、それぞれの個性を活かしてメンバー間で助け合い、仕事がうまく進むようになります。
第3に、“会社から与えられた目標” と “チーム” を両方とも理解し、冷静に最適解に導けるリーダーがいること。
チームの潜在力を生かすも殺すも、采配次第です。
単一の基準のみで評価する不幸
『モンスターズ・ユニバーシティ』は、管理職時代を思い起こさせる映画でした。
「恐いモンスターこそがすべて」というモンスターズ・ユニバーシティ(大学)の学長の価値基準から見ると、マイクやチームのメンバーは落ちこぼれです。
バカにされ、虐げられます。
失敗と挫折を繰り返しながらも、しかし個性を活かせばいいんだ、個性で勝負していいんだと気づいたとき、突破口が開けます。
周囲の想像を超える成果が出始めるわけです。
紆余曲折、どんでん返しを経て、まったく恐くないモンスターである事実に葛藤するマイクも、「チームを生かす目」と「アイデア」という自身の長所に気づき……という場面がハイライト。
マイクとサリーのグレイト・コンビがどうしてできあがったのかが明らかにされます。
最初は犬猿の仲だったんですからね。
また、マニアックなところでは、小心者だったはずのランドールの変節も見どころ。
前向きな気分になれて、素直に観て気持ちのいい映画です。
鑑賞後にこどもたちが「おもしろかったー」「もっとみたかった」と口々に感想を漏らしていたのが印象的でした。
テーマがテーマだけに、今回はこどもたちを連れていかずに偵察に行ってきたのですが、今度は連れて行ってみます。