新卒で天職を見つけられなくても何も問題はない

天職を見つけるためには、

1. 環境に縛られず、自分の欲求に耳を傾ける
2. 広く社会を見渡して、世の中の多様性を知る
3. さまざまな可能性を消していき、自分の “玉” を見つける

という3つの手順を踏む必要があります。1はともかく、2と3は社会に出てから学ぶ結果となるのが一般的です。新卒で「天職を見つけなければ」と焦る必要は一切ありません。

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新卒が天職を見つけられないのは当然

僕が新卒で就職活動をしたのは、もう10年以上も昔です。当時から、終身雇用の神話は崩れつつあり、また景気減退の影響で、売り手市場から買い手市場へとシフトしつつある状況でした。

ここ数年に比べれば、まだマシだとはいえ、就職活動に悩む同世代は少なくなかった印象があります。「こうするのが当然だ」と疑わない層と、「ホントにこれでいいのかな?」と自信を持てない層が、混在していた感じですね。

僕自身、会社が一生の居場所であるようには思えませんでした。周囲に流されるように、就職活動を少しはやってみたものの、違和感がありありで、すぐにやめてしまいました。

もっとも、卒業するのに単位がギリギリだったという影響もありますが。卒業が決まってもいないのに、悩むのはバカらしい、と。

僕は今では、自分らしく生きられています。

僕がフリーランスを天職だと感じるのは、我慢せずに自分らしく生きられている実感があるから

が、これが天職だと自信を持てたのは、30歳を過ぎてからです。つまり、大学を卒業してから10年前後ものあいだ、あーでもないこーでもないと試行錯誤を繰り返してきました。

振り返ってみれば、「新卒で天職など見つけられるはずがなかった」と断言できます。なぜなら、社会がどんな場所であるかわからないのに、自分の居場所を想像できるはずがないからです。

大学を卒業して社会に出て初めて、社会はどんな仕組みで回っているのか、どんな可能性があるのかを知り、自分らしく生きる方法にたどり着けたわけです。

 

環境に縛られず、自分の欲求に耳を傾ける

天職を見つけるには、大前提として、「自分がどうしたいのか」をしっかり意識する必要があります。

人間、“環境” や “常識” に、知らず知らず流されます。

新卒で就職するのが当たり前だから、と自分の内側に寄生している違和感を封殺するのではなく、しっかり真正面から向き合うんです。

僕自身は学生時代、作家になりたいと思っていました。より正確に言えば、作家みたいなワークライフスタイルが自分に合っている(自分にはこれしかできない)、と直感していたんです。

[就職活動]仕事はやりがいや社風で選ぶな。ワーク&ライフスタイルを基準に選べ!

とりあえず夢中で働いてみたり、こどもが生まれてからは生活のために働いてみたり、と紆余曲折はありましたが、結果として “作家みたいなワークライフスタイル” にたどり着いています。

正直、狙っていたわけではないので、振り返ってみると驚きます。「自分がどうしたいのか」を意識できていなければ、こうはならなかったでしょう。

 

広く社会を見渡して、世の中の多様性を知る

学生のあなたが、自分にあった生き方を想像できないのは、当然です。

基本的に、小学校、中学校、高校、大学と、教育現場には、社会との接点がほとんどありません。教育現場は、社会の荒波から守られなければならないので、これは「悪」ではありません。

ただ、度が過ぎているんです。

社会科見学や、学生アルバイト程度では、社会の極めて限られた一部分しか知れません。

【課題に気づいて、優れた取り組みをしている現場もあります】
学生を立派な社会人に育てあげている大学は存在するよ。

結果として、仕事=よくわからないけど大変で、毎日疲れて、嫌だけど生活するためにやらなくちゃいけないもの、という印象しか持てないハメになる。

こんな状況で、自分が社会の中でどう生きていけばいいのかを、想像できるはずがないんです。

もしあなたが、小さい頃から広く社会を見られる環境に育っていて、「自分はこうしたい」という思いがすでにあるのなら、幸運です。

圧倒的大多数の学生はいま、途方に暮れているでしょう。

でも、心配はいりません。大学を卒業して社会に出てから、広く世の中を見渡していけばいいんです。

世の中には様々な生き方をしている人が存在します。

 

さまざまな可能性を消していき、自分の “玉” を見つける

たくさんの可能性を知ることで、相対的に自分に合っているものと、そうでないものが見えてきます。

だから躊躇することなく、おもしろそうと感じた存在、魅力的に見える対象に突撃してください。

僕は作家になりたいと思っていたので、企業に就職するのではなく、小説を書き続けながら校正のアルバイトを始めました。それくらい自由に発想していいと思います。

いちばんの遠回りは、「あのときこうしていれば良かったかも……」という後悔です。

人間、体験しなければ割り切れないものです。

割り切れない、とネガティブな表現をしているのは、人生の大半は可能性を消していく作業だからです。

こどもの頃は、宇宙飛行士になりたいだとか、総理大臣になりたいだとか、自由に宣言できます。

が、現実には、環境であったり、自分自身の能力であったり、運であったりを無視することはできません。徐々に「これは無理だ」「あれも無理だ」と悟っていきます。

可能性が消えていくのは、別に不幸ではありません。なぜなら、そうやって磨き上げていくことで、本当に自分らしい “玉” が自身の内側にはっきりと現れてくるようになるからです。

あれもダメ、これもダメ……やっぱり自分にはこれしかないな!

明確に意識できたとき、恐れるものは何もなくなります。無敵です。

 

何事もモノになるまで10年かかるのが普通

若干20歳という史上2位の若さで第130回芥川賞を受賞した、小説家の金原ひとみさんは、実は12歳から小説を書いていたそうです。

父(金原瑞人:翻訳家・児童文学研究家)が法政大学で開講していた小説創作ゼミに、中学3年生で参加するなど、小説を学ぶ環境も申し分なかった。

「20歳で芥川賞受賞」とだけ聞くと、天才と言いたくなりますけど、実際は約8年もの積み重ねがあったわけです。

趣味でも、スポーツでも、仕事でも、なんでもそうですが、モノになるまでには、約10年かかるのが普通です。

学生のあなたが今、得意としている何かがあるとすれば、それは1年2年で身についたものではなく、幼少期からそれらが身につく環境にいたからでしょう。

「自分がどうしたいのか」をしっかり意識し、広く社会や世の中を知り、積極的に可能性を潰していって、自分の “玉” を見つける。

天職に出会うまでには、5年や10年はかかります。

焦る必要はありません。

自分の欲求に素直に、大学卒業後の未来を考えてください。