小選挙区制を見限るにはまだ早い。

自民党は43%の票で79%の議席を獲得した。だからこのシステムはおかしい。

そんな声がちらほら聞こえてきますね。

衆院選:得票率と獲得議席に大きな乖離- 毎日jp(毎日新聞)
今回の衆院選で小選挙区に出馬した自民党候補は、300選挙区の有効投票総数のうち43%の票を得たのに対し、獲得議席数は300議席の79%にあたる237議席と大勝した。一方、民主党は有効投票総数に占める総得票率が22.8%だったが、300議席の9%にすぎない27議席しか獲得できなかった。

でも、小選挙区制というのは元来、そういう思想でつくられています。

メリットは、政権交代が起きること

もう少し言えば、与党が政権から転落することにより、自らを省みる機会が与えられるという大きな利点があります。

 

もし小選挙区制じゃなかったら

未だにずーっと自民党政権が続いていたかも。

中規模政党が乱立して、今より格段に決められない政治になっていたかも。

「こりゃダメだ」と思っても、他の政党に政権を任せるなんて不可能だったかも。

 

死票が多いのは問題点の一つだけど

個人的には政治制度がどうこうより、投票の満足度が低下し、政治不信の一因になっている点が気になります。完全無欠の制度でないことは事実です。

でも、完全無欠の選挙制度なんて、多分ないですよね。

死票が少なければ政治がうまく回るという保証があるわけでもないですし。

池田信夫 blog : 民主政治はなぜ衆愚政治になるのか – ライブドアブログ

 

僕たちはまだ小選挙区制のメリットを検証できていない

すなわち、大敗を喫して自らを省みる機会が与えられた自民党が、どんなふうに党改革に取り組んだのか。

結果が出るのはこれから。

少なくとも安倍晋三、菅義偉-石破茂というラインは、自民党の中では改革派。彼らに期待してみてもいいでしょう(これで族議員や派閥領袖に取り込まれるようじゃ、お話にならないけれど)。

この結果は、ですね。「自民党に対して信頼が戻ってきた」というよりも、3年間の民主党の政治の混乱にNO、ということだろうと思います。自民党が果たして国民の期待に応えていくことができるかどうか? かつての自民党とは変わったのかどうか? 当然国民の厳しいチェック、評価があるだろうと思います。その中で我々が国民の皆さまの期待に応えていくことができるかどうか。大きな責任があると思います。

安倍晋三

自民党の各議員も、これだけ大勝したのに慎重な発言が目立ちます。安倍総裁も、石破幹事長も、(少なくとも今のところは)自民党の置かれている立場をわかっているように思います。

 

「どうせ民主党の二の舞になる」なんて面白味のない予想に興味はない

すぐに支持率は下がる? 来夏の参院選では惨敗する? いやー、くだらないですよねー。そんなことは誰にだって言えます。

もちろん議員たちだってわかってます。そうやって国民の視線を意識せざるをえなくなるからこそ、国会議員も手を抜かずに仕事をするようになるんじゃないでしょうか。

少なくとも現時点では、そんな兆候が見て取れます。

 

小選挙区制の是非を判断するのは、安倍政権を評価してから

さらに言えば、今回政権から転落した民主党の党改革を見てからです。

私たちの責務は、地元の議員一人ひとりをしっかり見ていること。もし脱線したと思ったらきちんと意見を伝えること。

そこまでしっかりやって、それもやっぱり「小選挙区って問題ありすぎるよね」となったら、本格的に議論をはじめればいいんです。

今の時点で小選挙区制を見限るのは、いくらなんでも気が早すぎます!