もしこれと言ってやりたい仕事が浮かばないのなら、「自分にはどんなワークスタイル、ライフスタイルが合っているのか?」を考えるべきです。
“やりがい” “社風” “企業理念”など、実際に働いてみなければわからない事実は多いですが、職種ごとのワーク&ライフスタイルには傾向があるケースが多く、前もって正確な情報を得られるからです。
作家になりたかった理由はワーク&ライフスタイルが合っていたから
こんにちは、寄金です。
僕は中高生くらいから漠然と物書きに憧れていたところがありました。
大学生になると、もっとはっきり、「作家になりたい」と考えるようになりました。
もちろん、同世代の中では本をたくさん読むほうでしたし、文章に苦手意識もありませんでした。
若さから、芸術的な職業への憧れもありました。
ただ、今になって思うと、それらは副次的な要素で、本質ではありませんでした。
重要だったのは「作家のような生活が自分に合っている」というワークスタイル、ライフスタイルの合致でした。
当時、僕がイメージしていた作家像というのは、こんな感じです。
1. 好きな時間に好きなだけ仕事をする(とりわけ、早朝に起きて数時間だけ集中して執筆し、午後はのんびり過ごす)
2. 自分と向き合い、徹底的に一人で仕事をする
3. 自分の書きたいことだけを書き、嫌な仕事は一切しない
一方、ライター/ブロガーとしての僕の状況はというと、
1. 早朝4時に起きて仕事を開始し、夕方には終える
2. 仕事のうえでのコミュニケーションは最小限。基本的に一人で仕事をする
3. 自分の書きたいことだけを書き、嫌な仕事は一切しない
生産性の問題があるため、短時間だけ執筆というわけにはいきませんでしたが、それ以外はほぼ希望どおりです。
現在、作家に憧れ以上の魅力を感じなくなった理由は、特に「3」が大きいです。
昔ながらのライターというと、雇用主の指示・発注に沿って的確なコンテンツを制作する能力が問われていたかと思うのですが、現状の僕の外部寄稿は、題材から切り口まで、原則的に僕から提案しています。
こういう自分の書きたいことだけを書けるライター業もあるのだと理解してからは、作家への執着がかなり薄れました。
※蛇足ですけど、作家への執着が薄れた理由には、ライター/ブロガーのほうが、作家より、遙かに多くの人に読まれるという現実も大きく影響しています。
現状の僕レベルでさえ、確実に年間のべ200万人以上には読んでもらえている計算です。
が、作家で100万部突破できるのは、今では片手で数えられるほど。
一億人中数人という惨状ですから。
様々な意見の方がいるとは思いますが、僕は多くの人に読んでもらえるほうが嬉しいんですよね。
会社選びは働いてみなければわからない事実がたくさんある
就活の大きなポイントとして、企業をどうやって選ぶかという問題があります。
正攻法でいけば、企業理念であったり、社風であったり、将来性であったり、やりがいであったりという基準になるでしょう。
が、就職活動経験者のひとりとして、はっきり言いたいのは、
「そんなものは実際に働いてみなければわからない」
という事実です。
企業理念だって、形骸化している企業だったり、利益が優先されてしまっている企業だったりはいくらでもあります。
もう一つ、現実問題として選り好みができるのか? という点も、疑問符を付けておく必要があるでしょう。
少なくとも、自慢できる学歴がなく、(転職においては)アピールできる職歴もなかった僕にとっては、ただ採用してくれる企業に就職するしかなかった、というのが実情です。
根気よく丹念に情報収集をして、「これだ!」という企業を見つけたとして、希望どおり就職できる人の割合は、いったいどの程度なんでしょうか。
ワークスタイル&ライフスタイルは事前に把握できる
しかしながら、ワークスタイル&ライフスタイルは、職種ごとに傾向がはっきりしているケースが多く、簡単に把握できます。
一日中パソコンに向かい、残業も比較的多いプログラマーやWEBデザイナー。
転勤が前提の、全国展開している小売業。
人の寝静まっている時間に活動することもある、警察官や記者。
どんな職場環境と日常生活を手に入れたいのか、自分に向いているスタイルなのか、理想の未来を思い浮かべてください。
重要なのは、妥協しないこと。
例えば、公務員。
一見、安定した仕事のように感じるかもしれませんが、僕には絶対に務まりません。
平時は定時退社が当然という部署もあるでしょうが、災害など非常時には、家族よりも国民や地域住民を優先しなければなりません。
僕は非常時こそ家族を大切にしたいという価値観を持っているので、まったく向きません。
「これなら我慢できるかも」ではなく、「こういう環境で働きたい! 絶対に自分に合っている!!」というワークスタイル&ライフスタイルを見つけるんです。
結果として「そんな職業は存在しない」という結論もあり得る
例えば僕のように、一人で仕事がしたいうえに、やりたい仕事しかしない、という条件は、一見すると無謀です。
新卒で実現できる人はまずいないでしょう。
僕自身も、スキル的にも時代的にも、今だからできることであって、社会に出てすぐでは到底不可能でした。
ただ、「自分はこういう希望を持っている」と明確に認識する作業は、絶対に必要です。
現時点で実現不可能なら、5年後10年後を見据えて、実現できる方法を考え、実行すればいいだけです。
目の前の就職活動は、希望のワークスタイル&ライフスタイルを実現するために、最適な職場を見つけ、アプローチしていけばいいわけです。
理想のワーク&ライフスタイルを前もって実践してみる
僕のケースでは、作家のワーク&ライフスタイルを手に入れるために、働きながらも小説を書き続ける必要がありました。
どうせなら少しでも文章に親しんでおけたらと考え、リクルート系列の制作会社で校正を始めました。
働きながらも早朝に起きて小説を書く、ということを数年間(毎日)続けていました。
結果的に作家にはなれていないわけですが、この経験が非常に重要でした。例えば、個人で仕事をするとサボってしまいがちになるとよく言われます。
僕にはこの懸念は当たらないとはっきり分かりましたし、スランプが来ても乗り越える方法を学べました。
波はあったとしても、毎日書き続けられるんだから、これなら職業にできるはずだと自信が深まりました。
可能であれば、希望のワーク&ライフスタイルを前もって実践できると、「希望」を「確信」に変えられます。
文章を書き続けた積み重ねが実を結び、また運良く僕のようなスタイルのライターを受け入れてくれる時代になり、理想のワーク&ライフスタイルを手に入れられました。
“やりがい” “社風” “企業理念”などを基準に選ぶ=運頼み
繰り返しますが、就職・転職活動を十数年のあいだ経験してきた実感から言えば、“やりがい” “社風” “企業理念”などは、実際に働いてみなければわかりっこないと僕は考えています。
インターンシップ → そのまま入社以外に、自分の希望する職場かどうか前もって知る方法はありません(逆に言えば、インターンシップで運良くいい会社に巡り会えて、運良くそのまま採用してもらえれば、正攻法の就職活動の中ではベストの方法だと思います)。
つまり“やりがい” “社風” “企業理念”などを基準に会社を選ぶと言うことは、運頼みを意味します。
これは人それぞれの価値観になりますが、僕は運頼みで就職 → 離職 → 再就職を繰り返すのは効率がいいとは思いません。
もちろん、たまたま入った会社で意外に重要な経験ができたというケースは僕自身もあるので、無駄だとまでは言いませんが、それだけを頼りにするのはどうも性に合いません。
「これだ」というワークスタイル、ライフスタイルを明確に見定めて、それを手に入れるためにはどうすべきなのかを考え、実際に行動する。
着実に前進しているという実感こそが、やりがいや充実感を生みます。
ひとたび理想のワークスタイル、ライフスタイルを手に入れられれば、後に残るのは「さぁ、なにをやってやろうか?」というワクワク感だけです。
一般的な就活に執着しない学生は、ぜひ目の前の就活活動で希望するものが手に入れられるのか、立ち止まって考えてみてください。