「投票率が低い、無効票が多い」とばかり報道されるが、橋下38万票を上回ったのは過去20年で1度のみ

体調を崩していて今さらになってしまったんですけど、大阪市長選挙について一言。

 
私は神奈川県民なので、橋下徹氏に対して特別、プラスの評価も、マイナスの評価もしていません。

二重行政の解消や大阪都構想が悪いとは思わないし(それが正解かどうかはわからない、が、政治とは常にそういうもの)、一方でこれだけ反発が起きるということは問題もあるんでしょう。当事者でなければ実感できないこともあるには違いなく、プラスにせよマイナスにせよ、積極的に評価しようという気になれません。

だからこれは、蚊帳の外の人間が、数字だけを見た印象なのですが。

 

過去20年間・5回の選挙で、今回の橋下得票を上回っているのは1回だけ

橋下氏再選、投票率は最低 得票半減、無効13% 大阪市長選:朝日新聞デジタル

わざと朝日新聞を持ってきました。

大阪府知事選とのダブル選となった前回11年は75万票余りを獲得したが、今回は約38万票だった。有権者数に占める得票の割合は35・67%から17・85%と大幅に下落。無効票は過去最多の6万7506票(うち白票4万5098票)に上り、投票総数の13・53%を占めた。圧勝して都構想を進めようという戦略は、正当性に疑問符が付いた。

約38万票(正確には377,472票)を根拠に、「正当性に疑問符が付いた」と言っているんです。

確かに、前回の約75万票(750,813票)に比べれば、半減しています。

でも、前々回・平成19年(2007年)の大阪市長選挙で、前市長の平松邦夫さんは367,058票しか取っていないんですよ。

大阪市 大阪市選挙管理委員会 平成19年11月18日 執行 大阪市長選挙の開票結果

これ、言うまでもなく、今回の橋下徹氏の得票以下です。

あれれ、と思って遡ってみると、

大阪市 大阪市選挙管理委員会 市長選挙の記録(昭和22年~平成19年)

過去20年間・5回の選挙で、38万票を上回っているのって、1回しかないんですね(橋下氏自身の75万票は除く)。

※平成3年以前にまで遡ると、投票率そのものが上がっていく傾向が見られ、40万票を上回るようになります

朝日新聞の理屈で言えば、大阪市政は常に「正当性に疑問符が付く」状態だったようです。

というか、市長選挙なんて、どこもそんなものじゃないでしょうか。

 

38万人の信任は少ないのか?

各新聞も、見出しを見る限り(中身まで読んでいません、念のため)、投票率の低さだとか、無効票の多さばかりを話題にし、橋下市政は正当性を失ったとの論調のようです。

なぜ、“勝利確実で低投票率必至のこんな状況でも、約38万人もの多数が信任した” という事実に着目しないのか、不思議でなりません。

私は、38万人は、すごく多いと思いましたけど。

少なくとも、38万人の信任があって正当性がないなんて理屈は、過去の選挙結果を見る限り、意味不明としか言いようがないと思うのですが、いかがでしょうか。

 

関東から見ているとむしろ意外だが、橋下徹は根強く支持されている

投票率が低かったり、無効票が多かったりするのは、政党が有権者の意思表示の場を奪ったのだから当然で、何ら不思議なことではありません。

橋下市政に反対の人は、棄権するか、無効票を投じるしかないわけです。

どのみち、これで38万票も取れるようなら、政党が敵前逃亡をしようが、まともな選挙戦が行われようが、結果は変わらなかったでしょう。

2014年の大阪市長選挙が現しているのは、橋下徹氏は決して少なくない約38万票を獲得し、各政党は0票を獲得したという事実のみ。

関東から見ているとむしろ意外なんですが、橋下徹は依然として、大阪市民から根強く支持されているようです。

大阪市民の(相対的に)最も大きな声は、大阪都構想推進なんでしょう。