津田大介さんがインターネット国民投票サービスをつくりました。
いいですねー。みんなの考え方が可視化されることで、話題に興味を持つ人が増える。ソーシャルメディア時代を象徴するようなサービス。
[box type=”shadow” ]蛇足ですが、一方で、国民の総意を示す「国民投票」として見ると有意ではないですよね。例えば先日の総選挙前、Twitter界隈では、周囲に自民党支持者が見当たらないので、マスコミの「自民大勝」報道に疑問を呈していた方がちらほらいました。
それは当然で、Twitterをやっている層は多く見積もって全国民の1/5程度。有効投票の半数を占めるシニア世代のほとんどはTwitterなんかやっていません。現時点では「ネット界隈がこんなことを言っている」以上の意味はないわけです。[/box]
僕もみなさんの意見を見ていて、一言発言したくなりました(まさにこれこそが津田さんの狙いだと思うんですけど)。
9割以上の人が「現行の小選挙区制は変えるべき」と回答。
本当に?
小選挙区をやめて、いったい、どうしたいと考えているんでしょうか。
問題点があるのはわかります
死票が多い。民意が反映されているとは言えない。結果が大きく振れすぎる。政権が安定しない。
確かに完璧な選挙制度ではないですよね。
異論ありません。
個人的にも、死票が多い=有権者の満足度低下、政治不信の一因になっているのが気になります。
民意が反映されているとは言えないという主張をきほぐしてみると、要は「自分が応援した候補者が当選しないじゃん」という不満があるわけです。そこへ「43%の票で79%の議席を獲得した」というような、不満を正当化できるような数字が出てきたから、声高に叫んでいる人が多いんだろうと思います。
民意が反映されたら……余計に混乱するかも
選挙直後に、こんな記事があがっていました。
もし全国1区比例代表ドント方式なら議席配分はどうだったか – what_a_dudeの日記
もし死票が最も少ない形で選挙が行われていたら、どうなっていたか? といシュミレーションです。ちょっと図をお借りするんですけど、
正直言って愕然となりました。
これ、政権が安定するどころの話じゃないですよね。一定勢力の政党がないんで、「どことどこが手を組む」という政局次第で、政権がコロコロ変わることになります。あるいは政権を維持するために、主義主張の合わない政党が手を組む、なんてことも日常茶飯事になりそうです
みなさん、政局は嫌いじゃありませんでしたか。僕は嫌いです。こうなったらこうなったで、国民不在だなんだって文句を言う人がたくさん出てくるでしょう。
trial and errorが可能な社会がいい
これは好き嫌いの話になるんだと思うんですが、僕は55年体制のような停滞は嫌です。これじゃダメだ、と思ったら即座に別の方法にチャレンジできるほうが好きです。
仕事でも何でもそうですが、失敗しないようにやるより、やってみて改善するほうが遥かに効率よく前に進めます。
古い社会システムを刷新していかなければいけない現代に向いているのも、trial and errorできる社会だと思ってます。
もし小選挙区を止めて、政権交代が起きにくい制度にしてしまえば、試行錯誤できなくなります。
本当にいいんでしょうか。
小選挙区の功罪を見極めるのはこれから
民意をより反映させるかわりに、政権交代を起きにくくする。あるいは中政党が拮抗する国会をつくる。それも一つの考え方です。
でも、それでどうするつもりなんでしょう。メリットがちゃんと見えているんなら、僕が言うべきことは何もありません。が、一時的な感情で小選挙区はダメだ、という人には「小選挙区をやめてどうするの?」と問いかけたい。
僕は「正しい選択」なんて幻想だと思ってます。失敗しないように慎重にやろうとしたって、それが正しい保証なんかありません。そう考えていない人もいると思いますが、僕は失敗したら試行錯誤できる小選挙区のほうが、まだ魅力的に見えます。
上の記事にも書きましたけど、少なくとも、小選挙区の功罪を見極めるには時間が短すぎます。まだ2回しか政権交代が起きていないんですから。
例えば、政権から転落するという経験が、政党や政治家を成長させる可能性に期待してもいいんじゃないでしょうか。従来の政治家の成長の仕方とは違いますけど、それでいいんじゃないでしょうか。
もちろんデメリットが大きすぎるという結論だってあると思いますけど、そうなったらそうなったで議論すればいいんじゃないでしょうか。
みなさんはどう思いますか?