書籍紹介

222月

スマホがあればすぐに読める直木賞受賞作一覧(2000年〜)

Kindle化されている直木賞受賞作を紹介します。

直木賞は中堅以上の作家に与えられるエンターテイメント小説の賞です。若くて才気溢れる純文学作家に与えられる傾向の強い芥川賞とは違い、円熟味を増したプロの手腕を味わえる作品がほとんどです。

なお、Kindle書籍は、Amazonの端末『Kindle Fire』等がなくても、無料のKindleアプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレットがあれば読めます。必要なのはスマホとAmazonアカウントだけです。

2013-02-21_1431
 

第147回直木賞(2012年上半期) – 辻村 深月『鍵のない夢を見る』

■内容紹介(Amazonより。以下全作品同様)

普通の町に生きる、ありふれた人々がふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落を見事にとらえる5篇。現代の地方の姿を鋭く衝く短篇集

■感想(Amazonカスタマーレビューより一部抜粋。以下全作品同様)

  • 人の感情の細かい襞をすくいあげるような感じで丁寧に描かれた文章で、どれもありふれた事件なのですが読みごたえはあります。特にこの短編集では、男の人の描き方が非常に上手いなあという印象を受けました。主人公と深くかかわることになる男たちが皆、ある種の不快感をこちらに与えてくるのですが、それが妙に現実味があるというか、こういう人いるよねっていう絶妙な気持ち悪さなの……
  • 私が今まで読んだ辻村さんの小説の中で、1番凡庸なお話だったな…というのが読後の感想です……
  • 他、詳細はこちら

 

第144回直木賞(2010年下半期) – 道尾 秀介『月と蟹』

■内容紹介

「ヤドカミ様、僕の願いを叶えて」。行き場のない思いを込めた他愛ない儀式がやがて……。子供たちの切実な心が胸に迫る俊英の傑作!第144回直木賞受賞作品。

■感想

  • 何冊か読んだ道尾秀介作品の中では、ずば抜けておもしろかった。けっこうグロテスクな描写が多い中で、この作品の視点が、おもしろい……
  • まったく感情移入できませんでした。そもそも虐待されている子供は友人などできません。ストーリーが破綻しています。それでも最後まで読みました。「時間を返してください……
  • 他、詳細はこちら

 

第143回直木賞(2010年上半期) – 中島 京子『小さいおうち』

■内容紹介

今はない家と人々の、忘れがたい日々の物語。映画化決定。昭和初期東京、戦争の影濃くなる中での家庭の風景や人々の心情。ある女中回想録に秘めた思いと意外な結末が胸を衝く、直木賞受賞作。

■感想

  • 平易な文章にこめられた深みが素晴らしいです。派手なストーリー展開はないのに、次のページがどんどん読みたくなる。活き活きとした人間が描かれるだけで、こんなに小説は面白い……
  • 直木賞受賞作品ということで期待しすぎたのかもしれません。良作でしたが、時代の臨場感があまりなくてあまり実感をもって読むことができませんで……
  • 他、詳細はこちら

 

第142回直木賞(2009年下半期) – 佐々木 譲『廃墟に乞う』

■内容紹介

道警の敏腕刑事だった仙道孝司は、ある事件をきっかけに療養中の身。やっと回復してきた仙道に、次次とやっかいな相談事が舞い込む。

■感想

  • 少々淡白な内容だが、私はとても面白かった。仙道のちょっと訳ありな感じが、作品に深みを感じさせていると思う……
  • 短編ひとつひとつの出来もあまり良いとは思えないし、主人公の休職中の刑事も光らないし、ぱっとしない小説……
  • 他、詳細はこちら

 

第140回直木賞(2008年下半期) – 山本兼一『利休にたずねよ』

■内容紹介

女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭に昇り詰めていく。刀の抜き身のごとき鋭さを持つ利休は、秀吉の参謀としても、その力を如何なく発揮し、秀吉の天下取りを後押し。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、理不尽な罪状を突きつけられて切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出したものとは何だったのか。また、利休の「茶の道」を異界へと導いた、若き日の恋とは…。「侘び茶」を完成させ、「茶聖」と崇められている千利休。その伝説のベールを、思いがけない手法で剥がしていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作。解説は作家の宮部みゆき氏。

■感想

  • 「侘び」についても、むしろ茶道についても全く知識のない自分にとっても、かなり衝撃的な後味だった。侘びというと、勝手ながらくすんだ茶色みたいなイメージを持っていたので、この作品中の利休の燃えたぎるような情熱や執心は……
  • 10年も茶道をやっていて、行き着いた利休像がコレですか?ガッカリ中のガッカリです。「戦国鍋TV」の「RQ」君の方がまだ……
  • 他、詳細はこちら

 

第138回直木賞(2007年下半期) – 桜庭 一樹『私の男』

■内容紹介

狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂。

■感想

  • 近親相姦(少女であった私と父親)が延々と続いていく。しかも主人公である少女は肯定し。なんて、絶対感情移入できない。考えただけで虫唾が走る内容である。しかし、不思議にこの少女に共感を抱いて……
  • 言葉が乱暴で申し訳ないのですが、女性として全く受け付けないです。「胸糞悪い」の一言……
  • 他、詳細はこちら

 

第137回直木賞(2007年上半期) – 松井 今朝子『吉原手引草』

■内容紹介

なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか? 遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。やがて隠されていた真実が少しずつ明らかになっていく……。吉原を鮮やかに浮かび上がらせた、時代小説のあらたな傑作!

■感想

  • 花魁葛城の失踪事件の真相を追うインタビューで構成されてゆきます。この構成が素晴らしく、上質のミステリーとして読むことが出来ます。失踪事件の様子や理由を追求してゆくというだけでなく……
  • かなりシビアな書評で申し訳ないが、はっきり言わせていただきます!「つまらない!」「非常―に、つまらない……
  • 他、詳細はこちら

 

第135回直木賞(2006年上半期) – 三浦 しをん『まほろ駅前多田便利軒』

■内容紹介

東京のはずれに位置する‘まほろ市’の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ依頼はどこかきな臭い。多田と行天コンビの魅力満点の連作集!

■感想

  • 三浦しをんさんの作品の中でも特にお気に入りです。主人公多田の事務所に転がり込む(?)行天がだいすき。掴みどころの無い飄々としている……
  • リアリティなし・・・登場人物の抱えている問題がすべて取って付けたように……
  • 他、詳細はこちら

 

第133回直木賞(2005年上半期) – 朱川 湊人『花まんま』

■内容紹介

まだ幼い妹がある日突然、母のお腹にいた時のことを話し始める。それ以降、保育園をぬけだし、電車でどこかへ行こうとしたり、習ったことの無い漢字を書いたり。そして、自分は誰かの生まれ変わりだと言い出した…(表題作)。昭和30~40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公たちの思い出が語られる。ちょっと怖くて不思議なことや、様々な喜びやほろ苦さを含む物語に、深い感動と懐かしさがせまる傑作短篇集。第133回直木賞受賞作。

■感想

  • なんとも不思議な話が6篇。ありえないようでいて、じわじわとあるいはズキンと胸に入り込んでくる話だ。“昭和”の時代の空気を色濃く漂わせた、どこか懐かしくしかし決して綺麗事ではない子供時代の思い出が語られてゆくにつれ、物語の世界に引きこまれて……
  • どれも関西弁で文章が進んでいく。そもそも最初のこの時点で、ちょっと違和感と嫌悪感を覚える。またどれも著者世代(1960年代)がベースにあり、大阪で生まれ育ったこの世代の人には懐かしくていいのかもしれない。が、私にはちょっと……
  • 他、詳細はこちら

 

第132回直木賞(2004年下半期) – 角田 光代『対岸の彼女』

■内容紹介

30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか!?

■感想

  • 近年まれに見る大傑作でした。人の生き方まで視野に入れ、その上で物語として上質である本作は「本好き」と自称する全ての人必読……
  • ストーリーというベルトコンベアに、紙に描いて切り抜いた登場人物が乗っかって流れていっている、そういう印象の本です。(最近こういうの、多いなあ)つまり、人物が、本の世界の中で息づいでいない、生きていない……
  • 他、詳細はこちら

 

第131回直木賞(2004年上半期) – 奥田 英朗『空中ブランコ』

■内容紹介

傑作『イン・ザ・プール』から二年。伊良部ふたたび! ジャンプがうまくいかないサーカス団の団員、先端恐怖症のヤクザ……。精神科医伊良部のもとには今日もおかしな患者たちが訪れる

■感想

  • 小説を読んでこんなに笑ったのは久しぶりだ。人間みんなどこか可笑しなところがあるよね、というユーモアに溢れた……
  • コピーライター・構成作家の書いた文章であり文学の域に達していない。予定された落ちに向かって空しく綴られた文章の間隙には何の感動も……
  • 他、詳細はこちら

 

第131回直木賞(2004年上半期) – 熊谷 達也『邂逅(かいこう)の森』

■内容紹介

大正年間、身分違いの恋から故郷を追われたマタギの青年、松橋富治の波乱の人生を描く。自然に対する畏敬の念あふれる雄大な物語

■感想

  • まったく読んだことのなかった分野の本。読み終えた後の感動は、これまで味わったことのないくらいのもの……
  • マタギは好きだが色恋はどうでもよい.と思っている人は中途半端な気持ちに……
  • 他、詳細はこちら

 

第129回直木賞(2003年上半期) – 村山 由佳『星々の舟』

■内容紹介

家族だからさびしい。他人だからせつない──禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄と、いじめの過去から脱却できないその娘。厳格な父は戦争の傷痕を抱いて──平凡な家庭像を保ちながらも、突然訪れる残酷な破綻。性別、世代、価値観のちがう人間同士が、夜空の星々のようにそれぞれ瞬き、輝きながら「家」というひとつの舟に乗り、時の海を渡っていく。愛とは、家族とはなにか。03年直木賞受賞の、心ふるえる感動の物語。

■感想

  • 読み終わってもしばらく、この作品の世界観から抜けられない。私にとっては、それほど心動かされる作品……
  • まず、これはエンターテイメントな作品ではないと思う。何かの批評本では「昼ドラ」と酷評されていたが、私が嫌だったのは、最終章が露骨過ぎ……
  • 他、詳細はこちら

 

第129回直木賞(2003年上半期) – 石田 衣良『4TEEN』

■内容紹介

東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。

■感想

  • ズッコケ三人組が4人になって平成に帰って来た! そんな感じの青春小説。品の良い文体が好き……
  • いかにも「大人が描く」14歳ですね。リアリティは皆無……
  • 他、詳細はこちら

 

第126回直木賞(2001年下半期) – 山本 一力『あかね空』

■内容紹介

希望を胸に上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。味覚の違いに悩みながらも恋女房に助けられ表通りに店を構える。傑作人情時代小説

■感想

  • 特別大きな事件が起こるでもなく、剣劇などの派手な描写があるわけでもない。でも、読み出すと夢中になって途中でやめられなく……
  • 全選考委員の推薦で直木賞をとった長編だが、評価に迷う。時代考証はよくなされている。導入部もいい。だが、全体に妙にご都合主義だし……
  • 他、詳細はこちら

 

第125回直木賞(2001年上半期) – 藤田 宜永『愛の領分』

■内容紹介

過去の事実が二人の情愛をより秘密めいたものにする。仕立屋の淳蔵はかつての親友夫婦に招かれ三十五年ぶりに訪れた故郷で出会った佳世と齢の差を超えて魅かれ合うが。直木賞受賞作

■感想

  • 直木賞受賞の恋愛小説。美と醜があっていいよね。えぐさもドキドキ。おぞましさにもドキドキ。静寂すらドキドキ。冒頭からものものしくて一気に……
  • 大人の愛の美しい部分とともに、醜い部分をたっぷりと読ませてくれる。一気に読めてしまったのに、読み終わったあとになぜか、もやもやとした釈然としない感じが……
  • 他、詳細はこちら

 

第124回直木賞(2000年下半期) – 山本 文緒『プラナリア』

■内容紹介

乳ガンの手術後、何をするのもかったるい25歳の春香。この洞窟の出口はどこにある? 働かない彼女たちに現在を映す恋愛小説集

■感想

  • 山本文緒の作品は沢山読んだ。最初は主人公の奇異(?)な性格に驚かされり、涙したりした。しかし、考えるとどの場面の主人公も自分に似てるところがあると思えて……
  • 直木賞受賞作だそうですが、はっきり言ってつまらない。働かない女性をテーマに書かれたそうですが、作者がそのテーマに対して真摯に……
  • 他、詳細はこちら

 

第123回直木賞(2000年上半期) – 金城 一紀『GO』

■内容紹介

広い世界を見るんだ―。僕は“在日朝鮮人”から“在日韓国人”に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子高に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳しい選択でもあったのだが。ある日、友人の誕生パーティーで一人の女の子と出会った。彼女はとても可愛かった―。感動の青春恋愛小説、待望の新装完全版登場!第123回直木賞受賞作。

■感想

  • 在日文学は多々ありますが、間違いなくGO以前GO以降と言われるような草分け的文学作品です。暗くて陰鬱だった在日文学をここまでポップかつ深く、多くの読者に届けられることが出来たのは凄い……
  • 在日朝鮮人の書いた自伝的青春小説である。わたしはこれを読んでいる間、号泣しつづけた。わたしがもっとも泣いた小説であり、もっとも優れた純文学であり、もっとも優れた不良小説である。すべての在日は移民であり、世界中の移民がこれを読むべき……
  • 他、詳細はこちら

以上、2000年以降の受賞作でKindle化されているものは、35作品中18作(51.4 %)でした。
 

過去のブックリストもよろしければどうぞ。

学生時代に世の中の見方を変えてくれた色褪せない名著16冊 

今の学生にも読んでほしい名作小説10冊(文学編) 

冒頭を読むと続きが気になる小説&ノンフィクション他15冊 

スマホがあればすぐに読める殿堂入りクラスの傑作小説16冊 

スマホがあればすぐに読める殿堂入りクラスの名作漫画12撰 

152月

スマホがあればすぐに読める殿堂入りクラスの名作漫画12撰

Kindle化されている名作漫画を12冊紹介します。好評だった『スマホがあればすぐに読める殿堂入りクラスの傑作小説16冊」記事の漫画版です。

Kindle書籍・漫画は、Amazonの端末『Kindle Fire』等がなくても、無料のKindleアプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレットがあれば読めます。必要なのはスマホとAmazonアカウントだけです。

ただし、漫画に関しては、スマートフォンよりもタブレットのほうが明らかに読みやすいです。僕はiPadで読んでいます。

2013-02-15_1347
 

1. HUNTER×HUNTER

連載がちっとも進まなくて読むのを止めちゃったあなた。僕もそうだったんですが、いつの間にかキメラアント編が完結したのを知っていますか?

年末に「このへんから読んでなかったかな?」というあたりを1冊買ってみたんですが、あまりに面白すぎて、結局全部買ってしまいました。

しかしなんなんですか! この超感動傑作は!! 読んだ方はわかると思いますが、ハンター協会会長のネテロと、キメラアントの王の対決が、あらゆる意味でハイライト。さしあたり19巻からのキメラアント編だけ読めばいいと思います。冨樫義博、凄すぎる。

 

2. ONE PIECE

言わずと知れた、今一番売れている漫画。こちらも連載が長いので、途中で読むの止めちゃった人が多いのでは。

61巻から、2年間修行して強くなったルフィ一味の新しいストーリーが始まっています。いよいよ最後の海『新世界』に突入しているんですよね。

現在、最新の68巻までKindleで読めます。Kindle版はコミックの10%OFF。

 

3. 進撃の巨人

物語の導入が圧倒的。これだけで勝負あった。

さすがにこの年齢になるとあまり新しく漫画を読もうとはしないんですが、設定を見ただけで買っちゃいましたからね。

導入だけでなく、先が読めないストーリーテリングのうまさも光ります。文句なしに面白いです。

 

4. DRAGON QUEST―ダイの大冒険

これは懐かしい!

言わずと知れた、ドラゴンクエストを題材にした傑作漫画。

今年の1月にKindle版が発売になったばかりです。久々に読み返してみてはいかがでしょうか?

 

5. DEATH NOTE

この漫画も殿堂入りでしょう。

先の読めない展開と、頭脳戦のおもしろさは文句なしですよね。

『デスブログ』というジョークの意味がわからなかった若者も、ぜひ。(^^;)

 

6. るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―

これもおもしろかったなー。最強の維新志士なのに、絶対に人を殺さないと決めた緋村剣心の物語。

Kindle版は読んでいないんですが、次に読み返すのなら『るろうに剣心』かも。

Amazonのレビューを見ればわかりますが、心に残っているファンも多いみたいですね。

 

7. MMR-マガジンミステリー調査班-

まさかMMRがKindle化されているとは。(笑)

これはもう、わかる人だけ買えばいいと思います。

どうやら新書版は絶版? の様子。(^^;)

 

8. 沈黙の艦隊

最強の原子力潜水艦ただ一隻で国家として独立を宣言するという、トンデモ展開。しかしこれが、おもしろいのなんの。

見逃せないのは、『沈黙の艦隊』単行本版1巻が発売されたのが、ブッシュとゴルバチョフが冷戦終結を宣言した1989年12月だということ。

時代背景が色濃く反映されています。いま、他国の脅威といえば中国や北朝鮮ですけど、隔世の感。

 

9. グラップラー刃牙

格闘漫画からの殿堂入りは『グラップラー刃牙』。絵柄の好みが分かれるんで、食わず嫌いの方もいるんじゃないでしょうか。

記事公開時点で、第1巻のみ200円です(以降は400円)。セール中の様子。

文句なしにおもしろいので、未読の方は読んでみるといいですよ。

 

10. キャプテン翼

今じゃサッカー漫画はたくさんありますけど、当時は珍しかったですよね。

日本中のみならず、世界中のサッカー少年に夢を与えた伝説の漫画。

友だち同士でツインシュートの真似っこした人、手あげて!

 

11. 金田一少年の事件簿

探偵漫画からは『金田一少年の事件簿』。コナンじゃないでしょ、金田一でしょ。

何やら20周年記念シリーズとやらも出てるんですね。

レビューを見ると、昔のほうが面白かったと酷評が多いみたいですけど。(^^;) リアルタイムで読んでいましたけど、確かに当時は面白かったですね。

 

12. ジョジョの奇妙な冒険

トリを飾るのは『ジョジョの奇妙な冒険』。第1部〜第7部まで完結し、Kindle化されています。

マニアの多さも考えると、ジョジョほど保管スペースを必要としない電子書籍の恩恵が感じられる漫画もないかもしれませんねー。

これ、いま読み返すと意外なほどにおもしろいです。僕は連載当時よりおもしろく感じますね。独特のグロさすら感じさせる絵柄の影響か、子供よりも大人のほうが楽しめるのかも。

 

まだまだあるよ!

特にコメントはつけませんが、殿堂入りクラスは他にも。

 

 

 

 

小説版をまとめたときにも感じたのですが、電子書籍もコンテンツが充実してきていますよね。

特に名作はそう簡単に色褪せるもんじゃありません。むしろ今の小説家や漫画家はハードルが高すぎるのでは、といらない心配がしたくなるくらいです。

 

過去のブックリストもよろしければどうぞ。

学生時代に世の中の見方を変えてくれた色褪せない名著16冊 

今の学生にも読んでほしい名作小説10冊(文学編) 

冒頭を読むと続きが気になる小説&ノンフィクション他15冊 

スマホがあればすぐに読める殿堂入りクラスの傑作小説16冊 

82月

スマホがあればすぐに読める殿堂入りクラスの傑作小説16冊

Kindle化されている傑作小説を16冊紹介します。すべて読んだうえで名作だと判断した小説たちです。

なお、Kindle書籍は、Amazonの端末『Kindle Fire』等がなくても、無料のKindleアプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレットがあれば読めます。

僕は、PCでパパッと注文してしまって、小説や実用書はiPhone、図版の多い参考書や漫画はiPadで読んでいます。このダイレクト感は本当にクセになるので、もし未体験の方は試してみてください。必要なのはスマホとAmazonアカウントだけですよー。

2013-02-08_1205

 

エンターテイメント

1. 流星ワゴン – 重松清

感動作の多い重松清ですが、中でも1位2位を争うだろう傑作。

家庭崩壊に直面したある男が、幽霊が運転するワゴンに乗って、人生の岐路になった過去へ旅します。

 

2. 重力ピエロ – 伊坂幸太郎

この小説は何と言っても、天才肌の弟・春の存在感。

伊坂幸太郎らしい巧みなストーリーテリングも活きていて、重いテーマをすんなり読ませます。

 

3. ふがいない僕は空を見た – 窪美澄

R-18文学賞から出た傑作。助産院という一風変わった場所を中心とする「性」と「生」の物語。

なんていうのかな、言葉にならない溢れんばかりの生命力を感じるんです。ちょっと他の小説では中々ない読後感。

エンターテイメントというより、やや文学寄りの作品。

 

4. 好き好き大好き超愛してる。 – 舞城王太郎

これは普通の小説とはちょっと違います。短編連作だと、通常なら何かしら関連のある話を並べますよね。

でも舞城王太郎は、そういう「小説らしさ」に敢えて反抗するポストモダン文学。

恋愛小説とくくられているようですけど、エンターテイメントより文学がいい、という人向けです。

 

5. 謎解きはディナーのあとで – 東川篤哉

舞城王太郎とは正反対に、徹底的に読みやすさを追求した局地がライトノベルの東川篤哉。

一部ではライトノベルというと、ヘタクソな人が書いた萌系小説のことだと思っている人がいるみたいですが、それは誤解です。

有川浩もそうですけど、うまいライトノベル作家は存在しますからね。若年層を中心に、ライトユーザ向けの快作です。

 

6. 風が強く吹いている – 三浦しをん

箱根駅伝が題材のスポーツ小説。

純粋なエンターテイメントで、僕は文句なしに泣けました。おすすめです。

 

言うまでもなく漫画『花の慶次』の原作。漫画も文句なしの傑作ですけど、小説も素晴らしくいいです。

前田慶次郎のイメージをここまで魅力的に作り上げた隆慶一郎の才覚が光ります。

 

8. 鬼平犯科帳 – 池波正太郎

ジプシー・キングスの『インスピレーション』が脳内再生される方は、買いましょう!



長谷川平藏の人柄が最高に痺れますよねー。

 

9. 真田太平記 – 池波正太郎

真田家が仕えていた武田家が、織田家の侵攻を受けて滅亡する直前から始まります。

父・真田昌幸、兄・信幸、弟・幸村をはじめ、幸村に仕える向井左平次や、草の者・お江など、人物が素晴らしく魅力的。

大坂夏の陣の後まで全12巻なんですが、何度読み返したかわかりません(徳川家を寡兵で翻弄する場面なんかほんと最高)。

 

10. 陰陽師(おんみょうじ) – 夢枕獏

ご存じ安倍晴明の物語。時代小説というより、伝奇に入るかもしれません。

平安時代を書かせたら右に出る者はいない夢枕獏の傑作。

 

11. 吉原手引草 – 松井今朝子

姿を消した当代一の花魁(おいらん)。

関係者に話を聞いて回るうちに花魁の人物像が徐々に明らかになっていく仕組みなんですが、意外にもこれが興味をそそって、ページをめくる推進力に。

風俗と人の心情を書く手際がいいんですよね。あまり歴史物を読まない(池波正太郎を除く)僕も楽しめました。直木賞受賞も納得の一流エンターテイメント。

 

ミステリ

12. 占星術殺人事件 – 島田荘司

言うまでもなく、島田荘司が誇る名探偵・御手洗潔のデビュー作。

和製ミステリを語るなら必ず名前が挙がりますよね。読んでいない方はぜひ。

 

13. 魍魎の匣 – 京極夏彦

人生で最も鮮烈な読書体験だったのが、この『魍魎の匣』。

もうね、こんな長い物語を、こんなにも綺麗に匣(ハコ)におさめてしまえるのかと!

雑学が好きだったり、探究心が強い方は特に楽しめると思います。

 

14. すべてがFになる – 森博嗣

森博嗣は元・国立大学工学部助教授。理系の思考のおもしろさが随所に詰まった快作。

単作でもなかなかのミステリですが、シリーズ完結の『四季・冬』まで読むと、本当の凄さがわかるんですよねー。

 

15. アクロイド殺害事件 – アガサ・クリスティ

ミステリファンでこれを知らなかったらモグリ……どころの話じゃねーだろ! というくらいの名作。

なぜなのかは読めばわかります。だってこれは議論沸騰の問題作ですからね。

 

16. シャーロック・ホームズの冒険 – アーサー・コナン ドイル

知らない人はない、シャーロック・ホームズ。名探偵の代名詞ですね。

どうなっているのか知りたくてどんどんページをめくってしまう、ミステリ本来の魅力を味わえます。

今なお支持されるのは、やはり何と言っても、物語が魅力的だからなんでしょうね。

 

過去のブックリストもよろしければどうぞ。

学生時代に世の中の見方を変えてくれた色褪せない名著16冊 

今の学生にも読んでほしい名作小説10冊(文学編) 

冒頭を読むと続きが気になる小説&ノンフィクション他15冊 

62月

冒頭を読むと続きが気になる小説&ノンフィクション他15冊

小説、エッセイ、ノンフィクションとバラエティ豊かに。たまにはこんな記事でお楽しみください!

516C9XQRGPL._SS500_

 

1. われ笑う、ゆえにわれあり

以前から書きとめていたものがかなりの量になり、出版をしきりに勧めてくれる人がまわりにいなかったので、自分から出版を交渉した結果がこの本である。事前に何人かの人に読んでもらったところ、「面白くない」と言う者と、「つまらない」という者とに意見が分かれた。なお、公平を期すために、「非常にくだらない」という意見もあったことをつけくわえておこう。意見をいってもらったおかげですっかりケチがついたものの、少なくとも本書を正しく理解する人がいることを知って、私は意を強くしたのである。

 

2. 臨機応答・変問自在 ―森助教授VS理系大学生

「先生は、どうしてこんなつまらない本を出版するのですか?」
「同感です。その疑問にはいずれ答えたい。ところで、君はどうしてどんなつまらない質問をしなければならないのですか? どうしてそんなつまらない人生を活きているのかな?」
「つまらないかどうか、生きてみないとわかりませんよ」
「まったく同感だ」

「先生、こんな質問をさせて、どんな意味があるの?」
「それは、君がどんな意味のある人間かによる」

 

国立N大学工学部の建築学科の教官として、建築材料や力学の授業を担当してきた。その中で学生全員に毎回質問をさせている。学生たちはノートの切れ端を破って、短い質問を提出する。それらを集め、すべてワープロで打ち直し、個々に短い回答を付ける。それを次週の授業のときにプリントで配って説明している。

(中略)

それらの九十五%以上は、授業内容に関する専門的な質疑応答であり、しかもかなり内容が重複している。毎年、毎回、同じ質問が出るからだ。教科書を見ればわかる、講義を聴いていればわかるはず、というゴミのような質問が半分である。しかし、それらの良い質問も悪い質問も、ここでは取り上げない。

残りの五%が専門外の質問である。建築に関連することが多いが、まったく関係のない質問も出る。それらのうち、一般の人が読んでもそこそこ面白い、あるいは、面白いかもしれないものをピックアップした。それが本書の内容である。

 

3. オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える

食器の触れ合う音に、時折、談笑が重なる。ジェフユナイテッド市原がキャンプを張る韓国・海南のスポーツシューレ。食事会場となっているバンケットルームの扉が突然開いた。夕食を摂っていた選手たちが視線を向ける。クラブ職員が立っていた。

「新監督が到着されたので紹介する」

選手たちが持った第一印象は、大きな人だな、だった。191cmの長身が、そこにいた。登場の仕方からしてミステリアスだった。

(中略)

MFの佐藤勇人は、この監督は所信表明に何を話すのだろう、と見ていた。共に戦おう、あるいは君たちは覚悟して欲しい、か。いずれにしても自分を理解させるために、あるいは舐められない威嚇のために、新しい指揮官の第一声は少し長い演説になるのが常である。

ところが、オシムは今まで接してきたどの監督とも異なる行動を取った。通訳を介してスピーチを求められると、身構える選手を前にひょいと右手を軽く振ったのだ。

「ああ、そんなものはいい。いらない」

スタッフを尻目に、選手のテーブルに近づくと、裏返した拳でひとりひとりの食卓をコンコンと、2回ずつノックをして回り始めた。1周すると自席について食事を始めた。

何ダロウ、コノ人?

絡みにくい、掴み所のない監督が来たなというのが由羽人の第一印象だった。

 

4. となり町戦争

となり町との戦争が始まる。

僕がそれを知ったのは、毎月一日と十五日に発行され、一日遅れでアパートの郵便受けに入れられている〔広報まいさか〕でだった。町民税の納期や下水道フェアのお知らせに挟まれるように、それは小さく載っていた。

【となり町との戦争のお知らせ】
開戦日 九月一日
終戦日 三月三十一日(予定)
開催地 町内各所
内 容 拠点防衛 夜間攻撃 敵地偵察 白兵戦
お問合せ 総務課となり町戦争係

 

5. 図書館戦争

前略

お父さん、お母さん、お元気ですか。
私は元気です。
東京は空気が悪いと聞いていましたが、武蔵野あたりだと少しはマシみたい。
寮生活にも慣れました。
念願の図書館に採用されて、私は今——

毎日軍事訓練に励んでいます。

「腕下げんな、笠原ッ!」

名指しで飛んだ罵声に、笠原郁は小銃を保持した腕を懸命に引き上げた。

陸自払い下げの六十四式小銃は重量四・四kg、二十二歳女子が抱えて走るにはなかなか厳しいウェイトだ。

 

6. 阿修羅ガール

減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。

返せ。

とか言ってももちろん佐野は返してくれないし、自尊心はそもそも返してもらうもんじゃなくて取り戻すもんだし、そもそも、別に好きじゃない相手とやるのはやっぱりどんな形であってもどんなふうであっても間違いなんだろう。佐野なんて私にとっては何でもない奴だったのに。好きだと言われた訳でもなく友達でもなく学校が同じだけでクラスもクラブも遊ぶグループも違う佐野明彦なんかと私はどうしてやっちゃったんだろう?

お酒のせい?

お酒のせいにするのは簡単だけど、でもそれはやっぱり違う。道義的に、とか倫理的に、とかの間違いじゃなくて、単純に本当じゃない。

本当は、ちょっとやってみたかったからやったのだ。

 

7. ダブル・ファンタジー

男の臀とは、どうしてこうも冷たいのだろう。

体格や年齢にかかわらず、それだけは同じだ。背中に腕をまわして肩胛骨を撫で、背骨をひとつずつ数えおろしていき、その手を斜め下へと滑らせると、必ずといっていいほど、よく冷えた臀に出くわす。

触れたてのひらと一緒に胸の奥まですっと冷えかけたのをごまかすかのように、奈津は、両手で男の臀部をきつくつかんだ。

低く呻いて、男が口づけてくる。ざらりと侵入してきた舌から露骨に口臭消しのミントが香り、やる気の温度がまた二度下がる。

「どうかした?」と男がささやく。「もしかして、まだちょっと緊張してる?」

——あんたのリードが不味いから気が乗らないだけでしょうが。

辛辣に言い放つ自分、は想像するだけにとどめて、奈津はわずかに微笑み、首を横にふった。

物慣れないふうでおずおず頷くという選択肢もあるにはあるが、このタイプを相手にそんなことをすれば、優しく腕枕でもされているうちに夜が明けてしまいかねな……

 

8. 風に舞い上がるビニールシート

まもなく発車します。最終案内のアナウンスがホームに鳴りわたるなり、弥生は「ごめんなさい、着いたら、また……」と口早に言い置き、携帯電話をコートのポケットへ忍ばせた。後ろ髪を引かれる思いで新幹線の乗車口に足をかけたものの、背後ですっとドアの閉まる気配がすると、どうせ後戻りはできないのだからと、逆に心が静まった。

 

9. 被取締役新入社員

俺の月給は二十万円だ。そして年俸は三千万円。計算が合わないのはなぜかって?

俺は某一流企業の一流ダメ社員だ。それも筋金入りの。だから二十八歳にもなって月給二十万円。

そしてだが俺は役員でもある。しかも超特別待遇の。その役員報酬が年間三千万円。

筋金入りのダメ社員で超特別待遇の役員。普通はありえない話でしょ。

月給二十万円の俺について話そう。

俺はとにかく、とにかく冴えない男だ。ガキの頃から不細工でウスラバカ。そしてそのまま大人になった。身長百六十センチ、体重八十キロのチビデブだ。見てくれが不細工なだけじゃない。自分で言うのも何だが、中身も悲惨。これまでの人生振り返っても、ひどいもんだった。

小学校の入学式でいきなりウンコ漏らして、惨憺たる六年間の始まり。“ゲリブタ”ってそのまんまのあだ名を付けられていじめられっこ街道をまっしぐら。成績はいつも「2」がずらりと並んで「1」ってのも混ざってるから程よく「イチ、ニイ、イチ、ニイ」で“アヒルの行進”なんて言われてた。よく自殺しなかったな、って思うのが唯一自賛できるところだな。

 

10. アヒルと鴨のコインロッカー

腹を空かせて果物屋を襲う芸術家なら、まだ恰好がつくだろうが、僕はモデルガンを握って、書店を見張っていた。夜のせいか、頭が混乱しているせいか、罪の意識はない。強いて言えば、親への後ろめたさはあった。小さな靴屋を経営している両親は、安売りの量販店が近くに進出してきたがために、あまり良好とは言えない経営状況であるにもかかわらず、僕の大学進学を許してくれた。そんなことをさせるために大学へやったのではない、と彼らが非難してくれば、そりゃそうですよね、と謝るほかなかった。

 

11. 十角館の殺人

夜の海。静寂の時。

単調な波の音だけが、果てしない暗闇の奥から湧き出してきては消える……。

防波堤の冷たいコンクリートに腰掛け、白い呼吸に身を包みながら、彼は一人、あまりに巨大なその闇と対峙していた。

もう何ヶ月もの間、苦しんできた。もう何週間もの間、思い悩んできた。もう何日もの間、同じことばかりを考え続けてきた。そして今や、彼の意志は、ある明確な形をもって一つの方向へと収束しつつあった。

計画は既に出来上がっている。そのための準備も、ほぼ整えてある。あとはただ、彼らが罠に飛び込むのを待つだけだ。

 

12. ベロニカは死ぬことにした

一九九七年十一月、自殺する時が“ようやく!”来た、とベロニカは確信した。修道院に間借りしていた自室を入念に掃除してから暖房を切ると、歯を磨いて、横になった。

彼女はベッドサイド・テーブルから睡眠薬を四包み取り出した。潰そうとも、水に混ぜようともせず、意図と行動には必ず隔たりがあるものだから、もし途中で引き返したいと思ったらそうできるように、一粒ずつ飲み込むことにした。でも一粒毎に、より決心は固まっていき、五分後には、包みは全て空になっていた。

 

13. 西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ。四時間目の理科の授業が始まろうとしているときだった。まいは事務のおねえさんに呼ばれ、すぐお母さんが迎えに来るから、帰る準備をして校門のところで待っているようにと言われた。何かが起こったのだ。

決まり切った退屈な日常が突然ドラマティックに変わるときの、不安と期待がないまぜになったような、要するにシリアスにワクワクという気分で、まいは言われたとおり校門のところでママを待った。

ほどなくダークグリーンのミニを運転してママがやってきた。英国人と日本人との混血であるママは、黒に近く黒よりもソフトな印象を与える髪と瞳をしている。まいはママの目が好きだ。でも今日は、その瞳はひどく疲れて生気がなく、顔も青ざめている。

ママは車を止めると、しぐさで乗ってと言った。まいは緊張して急いで乗り込み、ドアをしめた。車はすぐに発進した。

「なにがあったの?」

とまいは恐る恐る訊いた。

ママは深くためいきをついた。

「魔女が——倒れた。もうだめみたい」

 

14. スティーブ・ジョブズ

2004年の初夏、私のところにスティーブ・ジョブズから電話があった。ジョブズは、折々、友だちのような感じで連絡をしてくるのだ——私が働いていたタイム誌やCNNに、新しく発表する製品を取り上げてほしい場合などは熱心に。このころ私は、タイムもCNNも辞めたあとで、ジョブズからの連絡もめっきり減っていた。転職先のアスペン研究所について少々話をしたあと、研究所のあるコロラド州まで来てサマーキャンパスで話をしてくれないかと頼んでみた。彼の答えは、喜んで行くけど話はしない、ただ、散歩をしながら私とゆっくり話がしたい、だった。私は、変な話だなと思った。大事な話はえんえん歩きながらするのがジョブズ流だとまだ知らなかったからだ。

散歩をしながら彼に頼まれたのは、

「僕の伝記を書いてくれ」

だった。

 

15. フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

2003年9月、コンピュータ科学専攻で2年生になったばかりのマーク・ザッカーバーグはハーバード大学のカークランド寮の続き部屋の共用室に、幅8フィートもあるホワイトボードを引きずり込んだ。大型ホワイトボードはギーク〔コンピュータおたく〕たちの大のお気に入りのブレインストーミング・ツールである。ホワイトボードはザッカーバーグがその上に書きなぐる図と同様、大きくて不細工だった。学生4人を収容する続き部屋には、このホワイトボードを設置できる壁が一面しかなかった。それは共用室から各自の寝室に続く廊下だった。ザッカーバーグは早速ホワイトボードに何かを書き始めた。

301月

今の学生にも読んでほしい名作小説10冊(文学編)

売れ筋、知名度には関係なく、主に10代後半〜20代前半に読んで心を動かされた小説を紹介します。

たまには、スマートフォンのかわりに、文庫本を手にとってはいかがですか?

 

1. 楽しいムーミン一家 – トーベ・ヤンソン

アニメのムーミンしか知らない人は、ぜひ手にとってください。あのうすら寂しい、どこか心惹かれる世界観は、小説でこそ味わえるんです!

実はこれ、中学生くらいからむさぼるように読んでいました。

 

2. カモメのジョナサン – リチャード・バック

短い本です。文庫本で130ページ、文字も大きく、読書に慣れていない人でも読み切れるはずです。

いかに速く飛ぶか? を追求して異端扱いされたカモメの話。名作です。

 

3. ライ麦畑でつかまえて – サリンジャー

好き嫌いが分かれるサリンジャーの名作ですが、僕は大好きです。

今で言えば、注意欠陥多動性障害(ADHD)でしょうか。普通の集団生活にどうにも馴染めない少年が主人公。

行動や言動は支離滅裂、ムチャクチャなんだけれど、なぜか痛いほどにわかるんですよね。

 

4. カラマーゾフの兄弟 – ドストエフスキー

名著と名高いですが、これは本当に凄い小説です。

読んでいて、神経が昂ぶるというか、血圧が上がるというか。

最近の文章に慣れている人には、ちょっと読みにくいかもしれません。が、慣れの問題なので(これ、本当)、本格的な文学が読みたいならば、絶対に読むべき。

 

5. 春琴抄 – 谷崎潤一郎

posted with ヨメレバ
谷崎 潤一郎 新潮社 1951-02-02
売り上げランキング : 4831

谷崎潤一郎のエロティシズムは比類がないものです。

その中でも最高峰と言える名作が、この『春琴抄(しゅんきんしょう)』。とある下男が、盲目の春琴に折檻され続けるという話です。

とは言え、エロティックなシーンが描写されているわけではありません。直接書かないほうが、官能の世界は深まるんです。文学の奥深さを感じられる一作。

 

6. 鏡子の家 – 三島由紀夫

posted with ヨメレバ
三島 由紀夫 新潮社 1964-10-07
売り上げランキング : 69248

鏡子の家に集った、4人の若者の話。

ひ弱な文学青年だった三島由紀夫が、ボディビルで体を筋肉で覆ったのは何故だったのか? 自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺したのはどうしてなのか?

4人の若者がそれぞれ意識し続けた対象と、迎える結末に、多くを考えさせられます。

三島由紀夫の小説なら、『仮面の告白』でも『金閣寺』でもなく、『鏡子の家』を読むべき。

 

7. 桜桃 – 太宰治

太宰治も好き嫌いがはっきりわかれる作家です。

好きならこの短編集に満足できるし、嫌いならブチ切れて投げ捨ててしまえばいいと思います。

 

8. ノルウェイの森 – 村上春樹

言わずと知れた大ベストセラーですが、売れた事実はオマケみたいなもんだと思っています。現代文学の金字塔。

本来、村上春樹の小説は、大衆ウケするような読みやすい文学ではないですし。

個人的には、未だ村上春樹と肩を並べる才能は、出てきていないと思っています。それほどの衝撃でした。

 

9. さようなら、ギャングたち – 高橋源一郎

posted with ヨメレバ
高橋 源一郎 講談社 1997-04-10
売り上げランキング : 126327

最後に二つ、ちょっと変わった小説を紹介します。

みなさんは小説というと、カッチリとしたストーリーがあって、それを順に追っていけば安心して物語が理解できると思っていませんか?

でも、そんなのは思い込みであって、別にルールが決まっているわけじゃないんです。

とても読みやすい小説です。でも、一般的な意味では、理解不能です。

僕は大好きなんですけどね。

 

10. 一人の男が飛行機から飛び降りる – バリー・ユアグロー

posted with ヨメレバ
バリー ユアグロー 新潮社 1999-08-30
売り上げランキング : 143041

ショート・ショートという、文庫本2・3ページしかない短い物語の短編集です。

夢を見ているかのような支離滅裂な話が次から次へと出てきます。でも、めちゃくちゃに書いていているのとは、どこかが違う。

今のところ、世界で一番好きな本です。

 

歴史の評価に耐えた、価値ある小説を読もう!

一般人が現代小説を読む理由はほとんどない、というのが持論です。

メジャーな題材は書き尽くされており、おもしろい物語の型も決まっています。

現代の世相を反映した小説が読みたい場合や、50年に一度の天才が出現した場合は話が別ですが、そうでなければ、わざわざ評価の定まっていない現代小説を読もうとするのは、よほどのマニアだけです。

小説には、時代と共に古びてしまうものと、歴史の評価に耐えてますます価値を高める名作とあります。

過去の偉人たちがたくさんの名作を残しているのですから、これから何か読もうと考えている人は、過去の名作を優先するのをおすすめします。

ただ一つ、現代小説のほうが遙かに読みやすいのは注意点です。

情報量が比較にならないほど増えた現代では、リーダービリティを無視していては、商業的に話にならないからです。

人によっては、『カラマーゾフの兄弟』なんかは、かなり読みにくいかもしれませんね。



TOPページ サイトマップ 更新履歴