SEOの本質「コンテンツのクオリティ」チェックリスト|Google Analytics、Search Console、PageSpeed Insights

Googleが公開しているSEOの推奨事項は多岐に渡ります。しかし、本質を理解していれば、コンテンツのクオリティで大半が決まり、それ以外は補足的な内容である事実がわかります。

補足的な内容を無視していいわけではもちろんありませんが、そこばかりいくら整えたところで、クオリティが十分でなければ、事業に貢献できる意味のある成果は出ません。

コンテンツのクオリティをチェックするための指標や、Webメディアを活用した集客・マーケティングを行う際に優先度の高い指標を解説します。

取り上げるのは、以下の4つのセクション/ツールです。これを網羅していれば、SEOを着実に前に進めることができます。

  1. コンテンツ(記事)そのもの
  2. Google Analytics(アナリティクス)
  3. Search Console(サーチコンソール)
  4. PageSpeed Insights(ページスピード インサイト)

解説:寄金 佳一(Webメディアの課題解決スペシャリスト、SEOコンサルティング)

1. コンテンツ(記事)そのものの優先チェック事項

目的・ターゲット

検索エンジンにとって「クオリティが高い」とは、ユーザ(検索する人)が抱える課題を解決できたり、要望に応えられたりすることを指します。

クオリティが高いコンテンツであるための最初の条件は、「何に困っている、どのような人に、どんな解決策・回答を提示する記事であるか」が、誰が見ても明確にわかることです。

出発点は、ターゲットとなるユーザです。

ある事業にとっての潜在顧客や見込み客を想定し、それがどんな人(性別、年齢層、家族構成、居住エリア、所得層、職業、ライフスタイルetc.)か、ペルソナを明確にします。

ペルソナを明確にすることで、ターゲットが抱える課題も、より細かい分析が可能になります。より適切な回答を提示する手がかりとなるわけです。

加えて、マーケティングの手段としてSEOを行うわけですから、事業活動の観点から「商品・サービスの販売」「集客」など目的があります。

目指す成果にどのように繋げるか、戦略的にコンテンツ企画ができていることを確認します。

クオリティ

ユーザ(検索する人)に提示している解決策・回答が、「これ以上はない」と胸を張れるものであることを確認します。

同業他社が、こぞって検索3位・4位以内を目指して、コンテンツを投入しています。50点や60点のクオリティでは勝負になりません(その時点で競合が弱ければ上位表示は可能ですが、いずれ必ず駆逐されます)。

検索3位・4位以内を目指す理由(実際のサイト運営データ)

私が運営している「親子キャンプ.com」(年間20万人ほどが利用)の生データです。2023年12月18日時点での上位クエリ1,000件(総クリック数55,058、総表示回数710,474)を分析すると、検索順位ごとのCTRは以下となります。

CTR = クリック数 ÷ 検索表示回数

検索1位(1〜1.49位)
CTR 44.17%

検索2位(1.5〜2.49位)
CTR 21.76%

検索3位(2.5〜3.49位)
CTR 13.26%

検索4位(3.5〜4.49位)
CTR 11.02%

検索5位(4.5〜5.49位)
CTR 6.68%

検索6位(5.5〜6.49位)
CTR 5.35%

検索7位(6.5〜7.49位)
CTR 3.49%

検索8位(7.5〜8.49位)
CTR 3.22%

検索9位(8.5〜9.49位)
CTR 2.57%

検索10位(9.5〜10.49位)
CTR 2.61%

例えば、SEO記事作成代行業者のパフォーマンスが期待外れであるという話をしばしば耳にしますが、理由はここにあります。

たった3つしかない椅子を熾烈に競い合っている中で、検索でかき集めた情報をそれっぽく並べただけのコンテンツでは話になりません。

100点満点は難しいにしても、80点台後半から90点台の一流コンテンツを目指すべきです。

だからこそ、事業体の強み、競合他社との差別化要因、他にはない長所を全面に出したコンテンツづくりが推奨されます。

最高品質コンテンツの制作には労力がかかりますが、ひとたび90点台後半のコンテンツを制作することができれば、半永久的に事業に貢献してくれる資産となります。

※Webコンテンツそのものが無意味になるようなパラダイムシフトが起きれば、資産としての価値を失う可能性はあります。またコンテンツで提示している回答が機能しなくなるような技術革新や価値観の変化がおこった場合も同様です

※コンテンツはずっと放置でよいわけではなく、古くなった情報の更新、新しい情報の追加など、メンテナンスやブラッシュアップは必要です

リーダビリティ

私たちのライフスタイルや利用シチュエーションに合わせ、スマートフォンでの流し読みに適したコンテンツになっているかを確認します。

また、ユーザの要望にシンプルに応えるコンテンツであることも大切です。余計な情報が多ければ、ユーザは情報を取るために余計な労力を使うハメになってしまいます。

こちらの都合ではなく、ユーザにとっての利便性が最優先です。

信頼性

情報が溢れる現代ですから、そのコンテンツの執筆者や監修者、あるいは情報ソースの提供者が誰なのかという情報は、ユーザにとって非常に重要度の高いものです。

調査して得た情報や、引用であれば、出典が明記されていることを確認します。

出典へのリンクをつけることも有効です。情報元を訪問し、正確性や文脈を確認して信頼性を判断できることは、ユーザにとって利益だからです。

Google Analytics(アナリティクス)での優先チェック事項

Google Analytics

平均エンゲージメント時間

Webに存在するコンテンツの成熟度が飛躍的に上がっている現代では、SEOは記事のクオリティでそのほとんどが決まります。

(クオリティ以外の)SEOの推奨事項を守ることは現代では別段難しいことではなく、短期的にはともかく、中長期的に見れば、差別化要因は他にはありえません

コンテンツのクオリティを測る指標として最重要視しなければいけないのは、その記事に見合っただけ読者がしっかり記事を読んでくれているかどうか=平均エンゲージメント時間です。

平均エンゲージメント時間は長いほど良いですが、一方で、短ければ必ずしもダメというわけではありません。ユーザの抱える課題が3秒で解決できるものである場合もあるからです。

データの文脈をよく汲み取り、コンテンツごとに判断していきます。

CV(コンバージョン)数/率

オウンドメディアや自社メディアを運営するのには、必ずマーケティング上の目的があります。商品・サービスへの問い合わせや申し込みであったり、SNSのフォロワー増加であったりです。

Webメディアは成熟期を迎えると、あまり経費をかけずともCVを自動的に生み出し続けてくれる半永久資産となります。

この完成形から逆算して、目的達成にどこまで近づけているのかを正確に把握するために、CV数/率は重要な指標です。

「件数が伸びていない」「効率が悪い」などの課題が浮き彫りになれば、理由を分析し、改善していきます。

PV/UU、流入経路

PV/UUは、メディア規模を測る、わかりやすい指標の一つです。「年間●十万人が利用している」という事実は、対外的にも、内部的にも、説明がしやすいでしょう。

また、市場規模や、競合、事業が抱えるファンの規模感から判断して「十分な数のターゲットにアプローチできているか?」を推測する材料になります。

しかしながら、CVのみが目的のメディアでは、深追いは禁物。PV/UUが少なくとも、CV数が満足のいく水準であれば何の問題もないからです。

流入経路については、オーガニック(自然検索流入)はもちろんですが、有料広告を使っていたり、フォロワーの多いSNSアカウントを運用している場合には、どれくらいの割合で、どれほど貢献しているのか、効率はどれくらいなのかを判断し、戦略を決める材料になります。

ユーザ分析

「想定しているターゲットにきちんと届いているか」あるいは「事業が抱えるユーザはどんな人たちなのか」といった分析が可能です。

またインタレストカテゴリは、事業と以外な分野の関連性に気づけるなど、ペルソナの補強になったり、広告配信時のセグメントの手がかりとなったりする場合もあります。

Search Console(サーチコンソール)での優先チェック事項

Google Search Console

インデックス作成

「記事を多数公開しているのに、ぜんぜんPV/UUが伸びていかない」という場合は、真っ先にインデックス作成を確認します。

多くの場合、「クロール済み – インデックス未登録」が多発しています。

検索エンジンが「低品質コンテンツ」あるいは「ユーザに必要とされないコンテンツ」だと判断している可能性を示唆しています。

インデックス登録されなければ、そもそも検索結果に表示される権利すらもらえませんので、最重要な指標の一つとなります。

また、あまりに「クロール済み – インデックス未登録」の割合が多いサイトは、低品質コンテンツを多数抱えるサイトとして、検索エンジンからマイナス評価を受ける可能性すら覚悟する必要があるでしょう。

※2010年代まで主流であった、旧来的な「無闇に記事数を増やすメディア運営」を行っていた場合や、SEO業者・記事作成代行業者を使っていた場合に多く見られます

インデックス未登録の理由を分析し、一つひとつ原因を取り除いて改善していく必要があります。ほとんどの場合、コンテンツ制作を土台から見直し、クオリティ最優先に切り替えていくことで、根本的な解決に繋がります。

高パフォーマンス記事の分析

メディア運営は、最初から正解がわかっているケースは稀で、仮説を立てて検証し、改善を繰り返していく作業こそ肝になります。

すでに検索上位表示され、CTRが優秀なコンテンツは、「なにがユーザの心を掴んでいるのか」「なぜユーザに求められる記事になっているのか」など、その理由を分析することにより、今後の記事制作をよりよくする、貴重な情報となります。

検索パフォーマンス

コンテンツがどのようなワードで検索されているかを分析します。第一義的には、想定しているユーザにきちんと届けられているかの検証ですが、しかしこれは現状認識の補強にしかならないケースが多く、有意義な改善に繋がることは稀です。

むしろ重視すべきは、検討から漏れていた(あるいは想定になかった)潜在顧客の存在に気づける可能性です。

コンテンツ制作やマーケティング戦略の大幅な見直しのきっかけとなる場合もあります。

問題発見

現代において、専門知識がなくともSEOの推奨事項を守ることが難しくないのは、Search Consoleが存在しているからと言っても過言ではありません。

SEOの推奨事項に反していたり、テクニカルな問題が発生したりしていれば、Search Consoleに改善ポイントとして表示され、さらに緊急度・重要度の高いものは通知も送られてきます。

Search Consoleの内容を確認しながら、一つひとつ問題点を解決し、改善していきます。

PageSpeed Insights(ページスピード インサイト)での優先チェック事項

PageSpeed Insights

パフォーマンス

URLに遷移して読み込みを開始してから、コンテンツが利用できるようになるまでの時間を計測できるツールです。

ユーザがストレスなく閲覧できるコンテンツになっていることを確認します。

PageSpeed Insightsのスコアが検索順位に直結するというよりも、コンテンツをしっかり閲覧してくれるユーザが減る(平均エンゲージメント時間の低下に繋がる)という形で悪影響になる可能性があります。

例えば、コンテンツの内容がどんなにユーザにとって価値があるものでも、読み込みに極端に時間がかかれば、その価値に気づく前に離脱されてしまうでしょう。

体感で明らかに読み込みにストレスを感じるという場合は、迅速な対応が望まれるため、PageSpeed Insightsのアラートを参考に改善を進めます。

ユーザ補助

アクセシビリティ(コンテンツの利用しやすさ)を確認します。

どのような人でも利用できるように、視覚・聴覚・動作など様々な支援技術が開発されていますが、これを機能させるための推奨事項のチェックが中心になります。

また、読みやすいコントラストになっているかなどデザイン面のベーシックな評価も含まれます。

おすすめの方法

信頼性と安全性をはじめ、コンテンツがGoogleの推奨事項に沿っていることを確認します。

たとえば「HTTPSを使用しているか」「サポートを終了したAPIが使われていないか」などの内容が含まれます。

この記事で主眼をおいている「コンテンツのクオリティ」という観点からは、優先度が高くないケースが多いですが、内容により個別に判断していきます。

SEO

SEO上のテクニカルな改善事項がある場合、Search Consoleだけでなく、PageSpeed InsightsのSEOの項目にもスコアとして反映されます。

昨今の主流であるWordPressでサイト構築+SEOプラグインという環境であれば、ほぼ満点に近いケースが大半です。

最高品質コンテンツを制作する方法

SEOの本質はコンテンツのクオリティ。最高品質コンテンツは半永久的に事業に貢献してくれる資産となるーー。

その理屈はわかっても、では「これ以上はない」と胸を張れる80点台後半から90点台のコンテンツを作るには、どのようにしたらいいのでしょうか。

SEOコンサルティング会社であっても、この方法論を持っているケースは少ないように見えます。基本的には職人技であり、ナレッジを一般化して社員の誰もが使えるようにすることが恐らく難しいのでしょう。

私は2012年に独立して以降、コンテンツのクオリティだけで勝負をしてきました。

ブロガーに始まり、メディアにスカウトされWebライターになり、国内最大級のディズニーメディアを生み出し、という経歴ですが、すべて「これ以上はない」と胸を張れるコンテンツを制作することに注力してきたからこそです。

また助っ人に入ったメディアで必ず成果を出せているのも、経営している法人(2年目)で20万円台の広告宣伝費で約1,000万円を売り上げているのも、SEOの本質を踏みはずさず、事業に貢献するWebマーケティングを実践してきたからです。

SEO業者、SEOコンサルティング会社を使ったけどあまり効果がなかった。SEO記事作成業者を使っているけど期待外れ。そんな場合は、ぜひご相談ください。