フリーエージェントの僕も、たまーに企業に働きに行きます。
昨年の夏も、NTTグループの某社で、主にソーシャルメディア運用の手伝いをしてきました。
僕が企業へ行って真っ先にやることは、ブレインストーミングです。なぜなら、
上司「目標はフォロワー1万。そのためにキャンペーンをやろうと思うんだけど、何かいいアイデアない?」
社員A「……」
上司「Bさんはどう?」
社員B「えっと……●●なんかどうでしょうか」
上司「……ありきたりだよ。もっと斬新なやつじゃないと」
社員B「ですよね(^^;)」
(埒があかない。上司イライラ)
上司「……じゃあ、明日のミーティングまでに、一人アイデア10個、考えてきてね」
社員A、B「はい……」
(また面倒な仕事が増えて、部下たち全員うんざり)
ちょっとステロタイプすぎるかもしれませんけど、企業のミーティングはこうなりがちだからです。
アイデアを出せと要求しておきながら、出したら出したで駄目出しする。
これじゃ考える意欲が湧かないし、発言のハードルも上がってしまい、ミーティングは停滞します。
多くの場合、完成された解答を持ったスーパーな社員なんていません。なるべく多くの可能性を検討し、魅力的なアイデアのかけらを丹念に探す必要があるんです。
そのために、ブレインストーミングで準備運動をするのが、劇的に効果があります。
ブレインストーミングは発想を豊かにし、アイデアを言い出しやすくする
ファシリテーションを学んだ経験のある方はいろいろ言いたいことがあるかもしれないんですが、個人的には、ブレインストーミングのメリットは、大きく2つだと思っています。
1. ゼロベースでの豊かな発想が可能になる
アイデアが出ない最大の要因は、環境の制約に、知らず知らず縛られてしまっているからです。
例えば、スポンサーから収入を得ている場合、スポンサーのライバル会社を持ち上げる結果になるようなキャンペーンはできるはずがありません。
この、「できるはずがない」「それが当然」の積み重ねが、企業で働く人々をガチガチに縛り上げています(それがビジネスの仕組みなので、良い悪いではなく、仕方のない影響です)。
天才的アイデアに頼らないのであれば、まずはどれだけ多くの可能性を検討できるかが、最終的なアイデアの質を決めると言って過言ではありません。
ブレインストーミングの手法を活かせば、環境の制約を緩められ、課題をゼロベースで検討しやすくなります。
2. メンバーの本来の力を引き出せる
もう一つ大きな弊害となるのは「馬鹿にされたら格好悪い」「ダメ出しされたくない」という社会人のプライドです。
大抵のミーティングは、馬鹿にされない立場の人か、馬鹿にされない自信のある人以外はほとんど発言しないで終わると思うのですが、みなさんの職場はどうですか?
どんなに大人数だったとしても、中心的に発言するのは2割〜3割がいいところです。
これはつまり、たくさんのアイデアがほしくてミーティングしているはずなのに、10人中7〜8人の力は眠ったまま、ということです。
発言できないヤツは無能だと思いますか?
もし、天才的アイデアに頼るつもりなら、その通りかもしれません。
でもここでは、なるべく多くの可能性を検討し、最終的なアイデアの質を高める方法を論じています(みなさんの職場に天才はいますか?)。
なるべく多くの可能性を検討しようという場合、“人それぞれの個性”以上に頼りにできる要素はありません。
誰かにとっての常識が、自分にとって目から鱗、という状況が多々あるからです。
ブレインストーミングは、発言のハードルをグッと下げます。
メンバーそれぞれが持つ本来の能力を引き出しやすくなります。
ブレインストーミングのやり方
ブレインストーミングを一言で表現すれば、質より量を重視したアイデア出しです。
これはかなり本気で、量を重視します。
15分で100アイデアくらいは出したいですね。
注意点は3つ。
1. 実現性を考えない
ブレインストーミングでは、最終的に結論を出す必要があったとしても、まずはあらゆる可能性を検討する過程こそが重要です。
どれだけアイデアが出せたかで、結論の質が決まるようなものだからです。
「できるはずがない」「それが当然」という環境の制約を取っ払い、豊かな発想をするには、「できるかどうか」を果敢に無視するのが最も効果的です。
「会社(組織)としてやるべきこと」ではなく、「自分がやりたいこと」「やったら面白そうなこと」をガンガン出してもらいます。
2. どんな意見も絶対に否定せず、長所を見つけ出して褒める
ダメ出しをはじめ、周囲の冷ややかな反応が、発言のハードルを上げるのは、説明してきたとおりです。
では反対に、「おーなるほど」「それ、いいね」と積極的に意見を肯定したら、どうなるでしょうか。
これはもう、目に見えて“場”が活性化します。
実際のところ、誰のどんなアイデアがベストな結論になるのか、誰にもわからないものです。
たくさんのアイデアを出し、比較検討しているうちに、だんだんとメンバーの間で合意が形成されていくのですが、当初は平凡に感じられた思いがけないアイデアにまとまるケースも少なくありません。
他者の意見を尊重し、どんなアイデアでも受け入れる場を作ってください。
3. 馬鹿げた意見ほど歓迎する
これこそがブレインストーミングの真骨頂。
本来、ミーティングって楽しいものなんです。
なぜなら、自分たちの手で何かを作りだそうとする行為であるはずだから。
僕が企業へ行くと本当にびっくりするのが、メンバーの大半が心底つまらなそうにミーティングに参加している事実です。
環境の制約や、プライドに縛られていると、本来は楽しいものが、「責務」とか「負担」でしかなくなってしまうんですね。
だからまずは、ミーティングの楽しさを思い出してもらう必要があります。
ブレインストーミングが始まったら、率先して笑い話にしかならないような超馬鹿げたアイデアを出してみてください。
(え、そんなアイデアを出してもいいんだ……)と思わせることができたら、しめたもの。
発言のハードルはますます下がり、バラエティに富んだ意見がポンポン飛び出してくるようになります。
自分たちで決めた! という納得感が得られる
様々なアイデアが出たら、結論に向けて絞り込んでいきます。
似たアイデアは一つにまとめたり、あるアイデアに別のアイデアをくっつけて進化させたりしていくうちに、自然と結論が見えてくるはずです。
こうしてまとまった結論は、魅力的なアイデアであるケースが本当に多いです。
また、あらゆる可能性を検討しているので、自分たちが納得の上で決めた、という当事者意識が生まれやすく、実行に移す際にもポジティブな影響になります。
また、ブレインストーミングを準備運動に利用するだけでも効果があります。
いったん頭をほぐしてしまえば、通常どおりのミーティングも、ガラッと雰囲気が変わるのが感じられると思います。
タイトルで『劇的』と形容しましたけど、これは嘘偽りのない本心。本当に目に見えて変わるんですよね。
夏に行っていた企業では、ある人に
「おかげでSNSの仕事が楽しくなりました」
と言ってもらえたんですけど、たぶんそれはSNS運用を整理したからというより、ミーティングのやり方を変えて、それぞれが仕事に当事者意識を持てるようになったからではないかなーと思っています。
なお、今回紹介したブレインストーミングのやり方は、最低限の要素を踏まえつつ、個人的にカスタマイズしたものです。
充分に成果は出ると思いますが、もうちょっと詳しく学びたい、あるいは方法論に興味があるという方は、下の書籍がおすすめです。
これはほんと、驚異的な本です。
困ったときの『ゲームストーミング』、と言いたくなるくらい、様々な方法論が網羅されています。