僕は若者に「選挙に行け」とは言えない。


ウェブで政治を動かす![Kindle版]

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  • 作者:津田 大介
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 発売日: 2012-11-13

読みました。朧気ながら考えていたことを整理するのに、とても役立ちました。思いを率直に言葉にするのなら、

選挙に行こう、と呼び掛けるのは簡単。でも僕は、特に20代の若者に対しては、「選挙に行こう」とは言えない。

ということです。もちろん「行くな」とは言いませんよ。自分で試行錯誤して、とりあえず結論を出せる人たちはいい。

問題は、それまで政治や選挙に関心がなかった人たちです。彼らはきっと、選挙に行ったところで、間違った(後で不満を覚えるような)選択をするに決まっているからです。

もちろん、今まで政治に無関心だった人に、政治に興味をもってもらう入り口としては、「選挙に行こう」以外に言いようが無いのは理解できます。

それはそれとして、僕は今の仕組みでは民意を正確に反映できない、と考えています。別の言い方をすれば、納得した投票をするにはあまりにハードルが高すぎると思っています。

不完全なシステムなのに、まるで「投票さえすれば世の中を変えられる」かのように偽るのは、フェアじゃない(その点、本書は中立ですね)。

 

「正しい選択」なんかできるのか

いよいよ衆議院解散総選挙が今週末に迫ってきました。

みなさんは、どうやって「誰に投票するか」を決めますか。もう答は出ましたか。その答には満足していますか。その答は正しいんでしょうか。

僕は選挙権を得て13年経つんですけど、今までに一度も心から納得して投票できた経験がないし、その投票が正しかったと信じられたこともありません。

そもそも、「正しい選択」なんて可能ですか?

 

政策を判断基準にはできない

政策で投票先を決める人は、

その政策は実現されるんですか?

という問いに答える必要がありますよね。

民主党政権が教えてくれたのは、“公約として掲げている内容は、できるかどうかわからないのに言っている” という事実。根拠もなく、未来の党ならできるでしょ、みんなの党ならできるでしょ、というのは思考停止です。

かと言って、政策を細かく検証して、僕ら素人が実現できるかどうか判断するんでしょうか。一部の人には可能でも、誰にでも判断できるとは思えません。

それが国民の義務だろ、というのは簡単。ですけど、そんなにハードルが高いんじゃ、いつまでたっても政治や選挙は国民から遠い存在のままです。

民主党のマニフェストは例外にしてもいいですよ。他党も民主党の惨状を見て学んだだろう、と期待するのも悪くはないかも。でも自民党は、小泉政権に変わって、それまでの政策をガラッと変えました。民主党も、野田政権になって、全然別の政策に取り組み始めました。党の代表が誰になるか、どんな考え方の人間が主導権を握るかによって、やることは全く別になるというのが現実です。

自民党の安倍総裁は、自民党の中では改革派の勢力です。だから安倍総理なら期待できる部分はあるかもしれません。でも、何かが起きて、派閥長老の傀儡が総裁になれば、旧態依然とした自民党がひょっこり出てくるかもしれないわけです。

一つの党内に正反対の政策を持った人間がいるのが日本のスタンダード。将来は分からないですけど、少なくとも現時点では、日本では政党政治が機能していません。政策を基準には判断できないんです。

 

人を基準に判断するには情報が少なすぎる

ならば……と考えられるのが、信頼できる政治家かどうかで判断しようという考え方ですよね。政策が実現されるか確証はないにしても、日和見で考え方を変えるのではなく、実現のためにとことん尽力してくれる人ならば「投票した甲斐がある」と思えるかもしれません(僕はどちらかというと、こっち派です)。

このタイプの人は、

本当にその政治家は信頼できるんですか

という問いに答える必要があります。

単純に、情報を取るのが難しい。信頼できるかどうかって、一朝一夕じゃ判断できませんよね。いい人に見えたのに、数ヶ月付き合ってみたら最悪だった、なんてケースは世の中ザラです。

だから、政治家の行動をある程度の期間、見続ける必要があります。実感としては、3年くらいは必要だと思います。

でも、例えば自分の選挙区の民主党議員が、代表選挙のときに誰に投票したか、その理由はなぜか、答えられます?

ちなみに僕のところは、前々回が前原支持で、前回が細野擁立を果たせず結局は野田支持に回ってます。前々回のときは、前原支持の理由を聞きましたが、納得できませんでした。前原氏の場合は「言うだけ番長」のレッテルがあるんですから、それを覆すような納得できる理由を発信してください、と直接言いましたが、今までに発信されていません。

じゃあ、TPPの時はどうだった? あるいは震災直後数ヶ月は何をしていた? 自民党議員でも見るポイントは同じです。

政治家の真価は、決断を迫られたときや、緊急事態に置かれたときに、どう考えてどう行動するかに表れると思っています。本当に曲げられない政策は党の方針に反しても反対し、例え自分の党であっても良いところは良い、悪いところは悪い、とはっきり発言する議員なら、信頼に足ると僕は思います。

ところが、じっくり行動を見続けた結果、信頼に足る議員がいない、という結論だってあるはずなんです。また信頼できる議員がいたとしても、その政治家の政策が自分に合っているとは限らない。しょせん、一つの選挙区で3人とか5人しか候補者がいないわけで。

どちらにしても、信頼できるかどうかを判断するのも、やっぱりもの凄くハードルが高い。前提条件が厳しいし、例え率直に考えを発信する政治家でも、それが選挙区住民の大多数に届くような仕組みにはなっていないんですよ。私たちの多くにとって、人を基準に判断するには情報が少なすぎるんです。

 

どんなに若者が投票したところでシニア世代の意見は覆せない

こうすれば正しい(満足できる)投票ができるよ、という方法論を持っている人は、ぜひ教えてください。ぜひぜひ知りたいです!

しかもね、各所で話題になってますが、

若者の投票率の低さがどれだけヤバイかが一目でわかるグラフ みんな選挙に行こう!!!:ハムスター速報

「選挙で若者が大損する」—投票者の平均年齢は57歳(AERAより) | ihayato.news

今はまだ、60歳以上の投票率が60%程度に下がり、20代・30代の投票率が90%くらいになれば、影響力を上回れる可能性はあるかも。でも、これからは若者の割合がどんどん減っていきます。そうすれば、若者がどんなに投票したとしても、実際に国を動かすのはシニア世代ということになります。

財団法人明るい選挙推進協会ホームページより。

やっぱり、「投票さえすれば世の中を変えられる」かのように偽るのは詐欺だと思います。

 

解決方法はあります

もちろん、お手上げ、というわけじゃないんです。政党政治が機能していないのは、もしかしたら(根拠はありませんが)時間が解決してくれるかもしれません。20年前の日本政治は未熟だったね、と笑っていられるかも。

信頼できる政治家かどうかで判断する方法も、情報が取りにくいというだけで、言ってみれば情報インフラの問題です。環境を整え、政治家の意識が変わってくれば(若手や、やり手政治家を中心にその兆しはある。あるいは国民にとって必要な情報なんだから発信を義務づけたっていいと思う)、現在よりも圧倒的に人で判断できる環境になるかもしれない。

世代間不均衡の問題も、若い世代のほうがこれからの社会の影響を長く受けるんだから、余命に応じて議席配分すればいいじゃん、とか。あるいは、0歳から19歳まで切り捨てられているのはおかしいよね、ということで親権者が子供の分も投票できるようにするとか。やりようによってはいくらでも可能性があります。

 

重要なのは、一人ひとりが役割を見つけること

ネット選挙解禁もそうだけど、重要なのは問題が起きている原因をしっかり見極めること。どうすれば解決するのかをよく見定めること。そして一歩ずつでも前進すること。困難でもやるしかないんですよね。だって社会主義国家や独裁国家は嫌でしょ? 近代民主主義だけが正解じゃないんだから、試行錯誤すればいいんです。

やっぱり僕は「選挙に行こう」は言えません。少なくとも僕の役割じゃないですね。選挙に行こうと言えばすべてが解決する “環境をつくる” ほうに、興味があります。

今回の選挙で、13年を経てやっと、自分自身の判断に納得して投票できるかもしれない、という予感があります。もし満足できたら、その方法で誰もが投票できるような仕組みを考えていきたいと思っています。

 

さて、政治の仕組みを理解し、自分の役割を整理するのに、『WEBで政治を動かす!』は最適な一冊。それこそ一度も選挙に行った経験のない若者から、政治制度の問題の複雑さに「何から手を付けりゃいいのか」と感じ始めた人まで、豊富な情報量で要望に応えてくれると思います。

スマホがあれば今すぐ読める(しかも安い)Kindle版がおすすめです。

 

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