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1012月

産後クライシスを100%回避できる簡単な方法(ただし子育てが嫌いではない男性限定)

産後クライシスを回避するのは簡単です。夫であるあなたが、いちばんワクワクする道を選択すればいいんです。

 

問題に対処するときの最悪なやり方

みなさんは、何か問題に対処しなければならないときのベストなやり方と、最悪のやり方を知っていますか?

最悪のやり方は、妥協点を探る方法です。

問題を解決しようにも、様々な制約があるのが普通です。

例えば、子供が熱を出してしまった。一緒にいてあげられればいいけれど、仕事をどうしても休めない。こんなときに頼れる友人なんかいないし、実家や親戚は200kmも離れた地方に住んでいる。藁にもすがる思いで探しまわって、なんとか病児保育を見つけられた!

万事解決? いえ、うまく解決できたはずなのに、なぜかモヤモヤします。子供を病児保育に預けられたからとワクワクしながら仕事に行く親はいないでしょう。

これが、妥協点を探る方法の特徴です。「本当はこうしたいけど……」「現実問題として……」「どうしようもないから……」と、山のように諦めた結果、どっちつかずのイマイチな解答を手に入れるんです。

その場はしのげても、根本的な解決にはならないケースが圧倒的に多いので、かなりのストレスを感じます。

 

実現できるかどうかを考えちゃダメ!

一方、ベストなやり方は、未来志向です。つまり、「お、こんなふうにできたら、ワクワクしてたまらないぜ!」というアイデアをベースに、それを実現するにはどうしたらいいかを考えるんです。

ポイントは、ワクワクするアイデア(理想の未来)を考えるときに、実現できるかどうかを一切考えないこと。

幼児が「プリキュアになりたい!」とか、小学生が「宇宙飛行士になりたい!」と高らかに宣言するように、自分自身に「ガキじゃねーんだからw」とツッコミを入れつつ、本気で妄想してください。

仕事や生活上の制約を抜きにして、自分は本当はどうしたいと思っているのか?

 

みんな、そんなに働きたいの?

たとえば、あなたが、本当はもっと育児に参加したいと考えている夫だとします。

でも、現実問題として、仕事は残業が多く、通勤時間もバカにならず、家に帰り着く頃には子供たちがとっくに眠ってしまっている、という状況です。

理想の状況を考えてみましょう。

おっと、「残業がもっと減ればいい」「自宅の近くの会社に転職できればいい」なんて、小さなことを言っているようじゃ、小学生に笑われます。

そもそも、そんなアイデアでワクワクするんですか?

僕ならこう考えます。仕事なんかしたくないなぁ、と。

だってそうでしょう? 仕事なんて、しなくて済むならしないほうがいい。

みんな、そんなに働きたいんですか? 20代・30代までしかプレーできないプロ・スポーツ選手でもなければ、仕事を絶対に辞めたくない人なんて、そうそういないはずです。

もちろん、働かなければ生活ができないという事情はわかります。我が家もそうです。でも今は、実現できるかどうかを一切考えないことが大切、というルールを共有しました。

 

「自分が本当に大切にしたいもの」が認識できる

僕の「お、こんなふうにできたら、ワクワクしてたまらないぜ!」というアイデアは、仕事なんか一切せずに、子供たちの成長を見守りながら、ゆったり暮らす生活です。

子供たちと一緒に日本中を車で旅したり、世界中の景色を見せて回ったり。夏は山にこもって一ヶ月くらいテントで生活するのもいいですね。

子供たちは、いろいろなものを、どん欲に吸収します。毎日見ていると、昨日はできなかったことが、今日はできるようになるのがわかるんですよ。驚きに満ちあふれた日々。

いやーもう、考えただけでヨダレが出そう。心臓がバクバクする!

(一つだけ断っておきますが、この時点で、子供中心の生活なんて真っ平御免だぜ、と感じる方は、この方法で産後クライシスを回避することはできません。あしからず)

さて気になるのは、「こんな妄想をして、いったい何の意味があるのか」というところだと思います。

メリットは明確です。

自分が本当に大切にしたいものが、はっきりと認識できる、ということ。

僕は会社で働きたいわけでも、ましてや残業時間を減らしたいわけでもなく、子供たちと一緒にいたいんです。少なくとも、子供たちが小学生になるくらいまでは。

 

納得のいく選択ができる

大切なものがはっきりすれば、あとは行動あるのみ。

もちろん、理想そのままの生活は、宝くじでも当たらない限り不可能です。

でも僕自身は、子供たち中心の生活設計を実現できました。時間を効率よく使うために労働形態を変え、フリーエージェントになる選択もできました。

夜は、子供たちと一緒に21時過ぎには眠ります。朝4時に起床して仕事を開始し、17時頃には終わりにして、あとは家事をしたり、子供たちとの時間を過ごしたりしています。もちろん、子供たちが病気になればいつでも休めるし、妻と分担している役割もフレキシブルに交代できます。

僕自身は、会社勤めをやめることに、何の躊躇もありませんでした。そんなもん、「本当に大切にしたいもの」に比べれば、屁みたいなもんです(個人でやっていく準備をしていなかったので、不安はありましたけどね)。

稼ぎが少なくなる? 塾や習い事や学費にお金がかかる? それって本当に重要な問題なんでしょうか。一家が路頭に迷う事態ならわかりますが、やりくりでなんとかなったり、トレードオフで諦められる話ではないんでしょうか。

もちろん、フリーになるのが正解だと言っているわけはありません(現実問題として、フリーになる以外に、子供たち中心の生活する方法は少ないとは思いますが。世の中の仕組みが追いついていないんです)。

重要なのは、「自分が本当に大切にしたいもの」を認識し、心から納得のいく選択をするということ。

当然ながら、人それぞれ考え方は異なります。僕にできるのは、こういう考え方をしたらどう? という提案までです。

 

子育ては母親が中心になってやるもの、という風潮に負けるな

子育てに関する問題を本気で解決したいのなら、男性は大きく2つの制約を果敢に無視して、「自分が本当に大切にしたいもの」と向き合う必要があります。

一つは言うまでもなく、仕事の制約です。

もう一つは、言葉を選ぶのが難しいのですが、“社会の仕組み” の制約とでも言いますか。

例えば、最近、妻の仕事が忙しい事情があり、いつもは妻が担当している保育園のお迎えを、僕がやっています。

すると妻は、さっそくママ友から「最近、旦那さんがお迎えに来てるんだね」と言われるそうです。わざわざ話題にするような出来事であるわけです。

特別な事情がない限り、夫が中心になって子育てをするのは妙だ、と考えるのが、世の中の一般的な感覚です。

なぜなら、夫が中心になって子育てをするのは、今の社会の仕組みの中ではかなり大変だからです。

会社勤めをしている男性が、17時台、18時台に保育園へお迎えに行くには、多くの場合、特別待遇が必要です。ましてや育児休業するなどと言い出せば、珍しいものを見るような目で見られるわけです。

こんな社会の風潮の中にいれば、男性も女性も、子育ては母親が中心になってやるもの、と思い込みます。

 

男性はもっと、子育てがしたい! と胸を張って主張していい

子育てなんかするより、仕事をガンガンしたいという人は別です。もう、そういう人は、子供を作らないか、他人を頼れる子育て環境を整えるか、思いっきり産後クライシスに陥るか、選ぶしかないでしょう。

が、「仕事なんかしたくねー。生まれた赤ちゃんと一緒に過ごしたいよ」とわずかでも思うのなら、“未来志向” を試してみてください。

せっかく、我が子が生まれたんですよ? 好きでもない仕事なんかしていて、本当にいいんですか?

僕はもったいないと思いますけどねー。

産後クライシスが話題になるのは、若い世代の価値観に社会の仕組みが追いついていないからでしょう。この点は完全に、NHKあさイチで産後クライシスを取りあげた内田明香記者に同意です。

いまの若い男性は、仕事を頑張れば頑張るほど将来が豊かになるとは限らない時代で、家族との生活をしっかり充実させたいと思う様になっているんじゃないでしょうか? だからこそ、いま「産後クライシス」という言葉に大きな反響があった。

でもまだまだ上の世代の価値観に縛られてしまっていて、「55年体制」が生き残ってしまっている。そのせいで男性は早く帰れないとか育休が取りにくいとかつらい思いをされているんじゃないかなあと思いますね。

SYNODOS|どうして妻は不機嫌なんだ?――産後に冷え込む夫婦の愛情『産後クライシス』著者・内田明香さんインタビュー

「仕事なんかしたくねー。生まれた赤ちゃんと一緒に過ごしたいよ」という思いは、今や異端でも何でもなく、普通だと僕は思います。

男性は世の中の雰囲気に負けずに、子育てがしたい! と胸を張って主張しましょうよ。

以前詳しく書いていますが、産後クライシスは、夫が子育ての当事者になり損ねてしまうから起きます。

“産後クライシス” は原因不明の難病ではないよ。

夫であるあなたが、いちばんワクワクする道を選択すれば、産後クライシスを100%回避できます。

1411月

“産後クライシス” は原因不明の難病ではないよ。

「最近、産後クライシスって言葉が話題なんだって。旦那が家事を手伝うのがことごとく気に入らなくて、嫌味を言うらしいよ。排水溝のヌルヌルの取り方が違う!とか言って。せっかく手伝ってくれてるのに」

と妻に笑い話をしたら、妻はポツリとひと言、

「“手伝う” っておかしくない?」

僕は、我が意を得たり、とばかりに、

「そう、根本的にはそこなんだよね。旦那に当事者意識がないから、いちいちムカつく」

 

産後クライシスは原因不明の難病なんかじゃないよ

話題の発端は、NHKの『あさイチ』。

夫婦を壊す?! “産後クライシス” |NHK あさイチ

家族にとって幸せなイベントである出産。しかし、昨年、ある民間の調査機関がおよそ300人に行った調査で、「出産直後から妻の夫への愛情が急速に下がる」という実態が明らかになりました。また、別の研究ではこの期間に生じた不仲はその後の夫婦関係に長く影響するなんてデータも。中には、長年連れ添ったにも関わらず、出産後わずか1年半で離婚に至ってしまう夫婦もいます。実は産後とは夫婦仲に大きな危機が訪れるタイミングなのです。

こうした問題はこれまで『育児ノイローゼ』『産後ブルー』といった言葉で主に母親たちの問題であるように語られてきました。しかし、番組ではこれを夫婦や社会の問題であると捉え、「産後クライシス」と名付け、その実態に迫りました。

東洋経済オンラインには、NHKあさイチ取材班の追加記事も掲載されています。

日本人を襲う「産後クライシス」の衝撃 | 産後クライシス | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

「出産は、家族の幸せの始まり」――。日本のメディアはこれまで、そうしたイメージをある種”無邪気に”発信してきた。

だが、NHKの朝の情報番組「あさイチ」取材班が取材した現実は、そんなに生易しいものではなかったという。

問題提起としては秀逸だと思うんです。

ただ、これでは、結婚や子育てに尻込みする人を増やすだけ、という印象があります。

なぜなら、産後クライシスが、原因不明の難病のように説明されているからです。なぜ産後クライシスが起きるのかについて、結論の周囲だけをなぞって、決して核心には触れていません。

産後クライシスの克服方法についても、すべてが対処療法です。必ず産後クライシスに陥る前提で書かれているように見えてしまいます。

そんなふうに脅されたら、「やっぱり結婚なんかするべきじゃないな」と思いますよね。子育てって素晴らしく楽しいのに、まったく残念な。

これは、すでに子育て中の親をメインターゲットとしているからなのか(当事者にならなければ意識しないから、原因を書いても意味が無い、とするスタンス)、それとも原因が見えていないからなのか、どちらでしょうか。

 

育児や家事が妻の役割であると誰が決めたのか

冒頭で書いたとおり、産後クライシスの原因は、夫の当事者意識の欠如です。

これについては、実にうまく描写している記事がありまして。

妻の不機嫌ループ ~困惑する夫たちに捧ぐ~ : MAMApicks -子育て・育児・教育ニュース&コラムサイト-

ほぼすべての「母親になった妻」が直面する変化は、意外とシンプルで、かつ劇的なものだ。

●自分のペースで物事を進められる時間がまったく無い。
●自分以外の存在をひと時たりとも頭から離せない。
●自分以外の命がおもに自分の手に委ねられる。

これが一日に5時間ずつとか、短時間の役割として区切れるなら、たいしたことではない。しかし24時間絶え間なく、週末も休む事無く続く。
そして、いつ終わるのかもわからない……。

いっぽう夫は、これまで同様、朝仕事に出かけ、夜帰って来る。それまでと変わらぬ時間を過ごしている。

ここに妻として、いちいち腹が立つのだ。

(中略)

おむつ替えだの、お風呂に入れるだの、子育てのエッセンスが追加されたところで、基本、仕事と家での生活という、切り替えのある生活は続けていられる。それ自体がうらやましいのだ。

そして、その自由度に無自覚であることが、さらに腹立たしい。

私のすべての生活時間や精神は、完全に赤ちゃんの生活ペースに支配されているのに、あなたはなんて気楽なんだ!……不機嫌の、始まりだ。

以前にも書いていますが、たぶん女性は多くの場合、母親になる前から「育児は自分がやらなければ」と思い極めているわけではないんです。出産してから、夫が関わってくれないので追いつめられて仕方なく、自分がやらなきゃ……と覚悟する結果となる。

[パパ育]母親が1人で“子育ては自分の役割”という意識を持った時点で敗北決定

そんな状況で夫に「手伝おうか」と言われれば、そりゃカチンと来ますよね。

“手伝う” って何なんだよ、育児や家事が母親の役割だと誰が決めたんだボケ! おまえだって親だろうが!! となるわけです。

 

育児や家事は「手伝う」ものではなく「分担する」もの

この問題は、なかなか根深いです。

例えばNHKあさイチの「産後クライシスをいかに克服するか」という項を見てみると、無意識に “育児や家事は母親の役割” という前提のもとに書かれています。

産後クライシスをいかに克服するか
企画では産後クライシスの克服方法についてもとりあげました。大事なのは『夫が父親として自覚をもち、産後に家事・育児協力をする事』です。番組ではネットクラブへのアンケートを通し、『産後クライシスが起きなかった』という妻たちがどんなことをしていたのかご紹介しました。

1.自分が何をして欲しいかを言葉で伝えている。
(略)

2.家事協力してくれた夫をほめる
(略)

3.家事をした場合に『6割でOK』と考える
(略)

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2012/09/05/01.html

いやいや、「自分(妻)が何をして欲しいか」ではなくて、「家族としてどう分担するか」でしょう。「家事協力」って、なんで夫が妻を助ける前提なんですか。「6割でOK」とか言っている場合じゃないですよ。

子育てや家事を妻が主となってやらなければならない決まりなんか、ありません。家族の誰にとっても必要なことで、誰かがそれをやらなければ家庭がまわらないんだから、合理的に分担しましょうよ。

 

夫は「育児は母親のほうがうまくできるから、首を突っ込みすぎると悪い」くらいに思っている

ただ、基本的には、夫の側に悪意があるわけではありません。

むしろ、「父親は、育児では母親に勝てるはずがない」「育児は母親のほうがうまくできるから、首を突っ込みすぎると悪い」くらいに思っています。加えて、乳幼児に触れた経験が少なければ、育児の楽しさも想像できない。

単に育児への関わり方が分からなかったり、育児へ関わる積極的な理由を見つけられなかったりしているんです。

妻はこれを、夫の非協力的態度と受け取ります。結果、「自分がやらなきゃ」と覚悟するハメになるというのは、先ほど書いたとおりです。

だから夫が育児の当事者になれないのは、文化習俗的背景だったりとか、今まではそれが常識だったからとか、「何となくそんな気がする」程度の要因が強く影響しています(たぶん)。

しかも悪いことに、妻の側もなんとなく「仕方ないのかな」と諦めてしまうケースが多いんです。実際、夫に不満を持っている妻に話を聞くと、ほぼ100%と言っていいくらい、妻自身が、“子育ては自分の役割”と考えています(あくまでも僕個人の経験ですが)。

 

産後クライシスを回避する2つの方法

「何となくそんな気がする」は、非常に厄介です。

そもそもそれが間違っている可能性を考えないからです。

幼い頃からそれが普通だと刷り込まれていれば、どんなにわかりやすい理屈でも、「そんなのナンセンスだ」と拒否したくなります。

時代が変わった、働き方が変わった、家族構成が変わった、と冷静に考えれば夫婦で分担すべきなのは明白なのですが、耳に入れようとしないわけです。

逆に言えば、あと20〜30年もすれば、人々の常識が時代に適応して自然に変化して、あまり目立たない問題になるかもしれません。

それまで待てない人は、結婚相手を選ぶしかないでしょう。

僕自身、昔は「好きな人と結婚すればいいじゃん」派だったんですが、いまは考え方が変わりました。

だって、子育てって、人生を費やすに値する楽しいイベントなんですよ。その子育ての満足度が低ければ、僕は絶対に結婚生活を続けられないだろうと思うんです。

でなければ、出産前から「あなた(夫)も子育てをしていいんだよ」ということを、根気づよく伝えることでしょうね。そして子育ての魅力を想像できるような場所へ引っ張りだす(例えばasobi基地とか)。

本当に大半の夫は、妻に対して遠慮しているだけなんですよ。なんて明後日な方向の遠慮なんでしょうね。(^^;;



56月

[パパ育]母親が1人で“子育ては自分の役割”という意識を持った時点で敗北決定

先日取材へ行った『Child Future Session vol.4』で、アクションにつなげるために話し合われたテーマの一つに、「パパ育」がありました。

世間には、子育てに協力的でない(あるいは関わり方がわからない)父親が多く、母親の多くが不満を抱えているのは事実なようです。

ただ、育児Men’s日本代表を自称してもいいかな、というほど子育てを人生の中心に置いている僕としては、父親の育児参加についての議論に、どことなく物足りなさを感じていました。

今回、こうして考えるきっかけをもらって気づいたのは、「とは言っても、そもそも母親の多くが、自分で、“子育ては自分の役割”と考えているよね」という事実でした。

【取材記事】
7つのテーマが羽ばたく!『子ども達にいい社会をつくるためのChild Future Session vol.4』レポート | FutureCenterNEWS JAPAN

 

子育てって、人生をかけるに値するほど楽しいんだけど、変かな?

僕は、子育てがしたくてたまらなくて、どうやって時間を確保しようかと考えていたら、フリーライターになっていました。午前4時に起きて仕事をはじめ、17時頃には終えて、21時過ぎには、4歳と1歳のこどもたちと一緒に眠る生活です。

「仕事のほうを子育てに最適化するなんてすごいよね」としばしば言われるのですが、僕としては“すごい”という気はしません。だって、人生をかけてやりたいことがあって、そのためにワークスタイルやライフスタイルを合わせるのって、普通ですよね。

例えば、人生をかけるものが、趣味であったり、仕事であったりすれば、違和感ないはずです。

とすると、僕が特殊(かどうかはわからないですが、周囲に同じ考えで行動している人をあまり見つけられないのは事実)なのは、「子育ては人生をかけるに値する!」と思い切れた選択そのものなのかもしれません。

 

「父親は母親に勝てない」は単なる思い込み

妻が妊娠したとき、生まれてくる赤ちゃんのことを考えると、僕はワクワクして仕方ありませんでした。

人によってはちょっと不謹慎と感じるかもしれませんが、冒険ゲームでキャラを成長させようとしたり、新しいペットが家に来たり、ミニトマトの苗を買ってきたりしたときと、本質的には変わらない楽しみがありました。

自分の子供を、自分の手で育てられるんだと考えると、嬉しくてたまらなかったんです。

実際、生まれてから、オムツ替えも、寝かし付けも、それこそ授乳以外は、日常的になんでもやりました。今でもこどもたちを寝かし付けるのは、基本的に僕の役割です。誰よりも深くこどもたちと繋がっていると、胸を張って言えます。

もちろん、乳児の時期は、どうしても寝付かないケースもあるんですよ。

が、観察していれば明白なとおり、妻が抱いていても同じです。父親だから寝付かないわけじゃないんです。

寝付くかどうかは、その子の性質でしかありません。年中抱いていれば、誰にだってわかる事実です。

どうにも寝付かないときは、イライラしてしまうので、「ちょっと変わって」とお互いに投げ出して、妻と乗り切ってきました。

と同時に、試行錯誤もたくさんしました。はじめての子育てって、知らない知識だらけなんですよ。経験不足。

熱を出したり、泣き止まなかったり。そのたびに、妻と同じレベルで、悩んだり、心をすり減らしたりしました。

妻のほうが精神的ダメージは大きかったみたいですけど、単に持って生まれた(あるいは後天的に育まれた)、プレッシャーに打ち勝てるか、打ち勝とうとする意志がどれくらい強いかという、精神的打たれ強さの問題でしかありません。

 

母親の特権を尊重しつつ、冷静に役割を見極める

例外的に、妻にしかない要素なのは、出産と授乳です。妊娠出産にともなう肉体的・精神的変化と、授乳にともなう問題(思うように母乳が出なかったり、乳首が切れて授乳が苦痛だったり)は、確かにプラスアルファとして妻にのしかかっていました。

ただ、だからと言ってどうというわけでなく、出産と授乳は母親として乗り越えなければいけない壁です。というか、特権なんです。

僕は正直、妊娠出産の経験により深まる母子の絆や、授乳によるスキンシップが、うらやましくてたまりませんでしたね。なんだよそれ、反則じゃん!! という感じです。

もっとも、実際に子育てをして、いくらでも取り返せるとわかったので、今では何とも感じなくなりましたけどね。

“産後うつ”や、授乳の苦痛には配慮しつつも、妻に特別対応はしませんでした。

ただ、子供を殺されちゃかなわないので(冗談ではないのは、核家族での子育て経験のある方なら理解できると思います)、妻が抱えきれない分を冷静に見極めて、僕が担う役割の量を調整しただけです。

想定外に妻の負担が大きくて、当時の仕事を辞める結果になりましたが、それだけの話でしかありません。

 

不充分な父親と不充分な母親。どちらか1人で子育てができるはずがない

僕には「子育ては妻に勝てない」なんて考えは1ミリもありませんでしたし、実際に勝てないのだとしても絶対に認める気はありません。

うちのこどもたちは、妻の子でもあるけれど、僕の子でもあるからです。妻にできて、僕にできない役割なんかあるはずない、と思っています。

妻のほうが頭も心も絶対的に強くて、夫はひれ伏すしかないなら、夫は負けを認めたほうがいいかもしれません。

でも、一般的な夫婦はそんなことはなくて、お互いに足りない部分を補いながら暮らしているはずです。

だとしたら、子育てをどちらか一方に任せていいはずがないんです。世の中の父親たちは「妻ひとりに任せておくなんて心配だ!」と、どうして感じないのか、僕は不思議でならないんですよ。

家庭の力が夫婦合わせて100だとしたら、妻だけが子育てをしたら、50とか30とか70の力でしか子育てができないわけです。

夫婦一緒に子育てをすれば、100の力で子育てができるのに、どうして子供の一生の重要な部分が決まる子育てを、50とか30とか70の力で済ませちゃおうって思えるんでしょうか。

1人では足りない部分がたくさんある、という感覚は、ひとり親の方は強烈に実感しているはずです。

僕も想像すると、子育て中は妻を残して死ねないなと感じるし、また妻に死なれても困ると感じています。「1人でもやってやる」という覚悟はありますけど、物理的にはどうにもならない問題です。

 

母親の“子育ては自分がやるもの”という意識は、後付けの理屈

子育てに積極的でない父親を語る上で、問題解決には2つのフェーズがあります。

1つは、すでに子供が生まれている家庭で、実際に子育てにあまり関わらない父親にどう対処するか。世の中のイクメンやパパ育をめぐる問題は、ほとんどがこちらの視点です。

もう1つは、出産前に、いかに父親の当事者意識を育むか。

すでに子供が生まれている家庭の場合、母親が自分で「子育ては自分の役割」という意識でいるケースが圧倒的に多い実感があります。

でも、我が家はそうでないんです。

不思議に思って、妻に尋ねました。なぜ出産したとき、子育ては自分の役割だと思わなかったのか、他の家庭と何が違ったのか、と。

回答は「なんにも考えていなかった」というものでした。

じゃあ、もし僕が子育てをちっともやらない夫だったら、自分がやらなきゃと思ったかと尋ねると、YESとの回答でした。

つまり、世間の母親の圧倒的大多数が持つ「子育ては自分の役割」という感覚は、後天的なものであるという事実がわかります。

多くの妻は、最初から自分がやると決めているわけではなく、夫が関わってくれないので、自分がやらなきゃ……と覚悟する結果となるわけです。

夫の非協力への絶望感と、自己防衛もあって、頑なになってしまうんでしょう。例えば、「夫がたまに手伝ってくれるんだけど、そこじゃない感がハンパなくて、逆に苛立つ」みたいな話をよく聞ききます。

【参考記事】
イクメンもどき! NHKあさイチの特集とその反応がおもしろい

夫も、そんな妻の反応を見れば負い目を感じるし、子育ては自分の役割でないという思いを強くします。

コミュニケーションの行き違いが大きくなってしまうと、問題を解消するのは極めて難しいというのが僕の意見です(もちろん、それはそれで対処しなければならないのですが)。

 

出産前に父親の子育て当事者意識を育めれば、根本的解決になる

であれば、出産前に、

・父親も子育てをしていいと気づいてもらう
・子育ての上で(授乳を除き)父親に不可能な役割なんか存在しない事実を知らせる
・夫婦で協力しないと100の力で子育てができない事実を認識してもらう
・子育ては人生をかける価値があるくらい楽しいと想像してもらう

等の対策がとれれば、根本的な解決になるはずです。何より、父親も子育てをする権利があるんだよ、という事実は、外から指摘されなければ思い至らないケースが多そうです。

また、「こどもについては母親のほうがよく知っている」という思い込みを打ち砕く作業も重要です。はじめての子育てなんだから、父親も母親も、同じくらい無知なんです。

具体的にどうすればいいのかまでは、現時点では僕は回答を持ち合わせていません。これからの課題です。僕自身がなぜ子育ての楽しさを知っていた(想像できた)のか、理由を考えてみると、

・大人から子供まで一緒に遊び、年上が自然と年下の面倒を見るようなコミュニティに参加していた
・4歳くらいからずっと犬を飼っていた。魚、昆虫、植物まで、生き物にたくさん触れてきた
・母親の親としての姿勢が素晴らしかった

くらいしか思いつきません。すべては環境ですよね。自分からは選択しにくいもので、こうすれば解決するとはなかなか言いにくいところがあります。

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