[依存症の研究]親に一貫性がないと、こどもの「あれ買って」「これ買って」は激しくなる


ただいま、糖質制限に絡めて、炭水化物の中毒性について調べるため、依存症の研究書を読んでいます。

溺れる脳: 人はなぜ依存症になるのか

M. クーハー 東京化学同人 2014-01-14
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by ヨメレバ

炭水化物に中毒性なんかあるの?と疑問に感じるかもしれませんが、過食症も依存症の一種だし、そこまで極端でなくとも、丼飯を腹一杯に食べたときの陶酔感ってありますよね。

あとは、「甘い物がどうしても止められない」とか。糖質制限について発信していると「米やパンや麺を食べない生活なんて考えられない!」という反応もあります。

これ、ただ好きだというだけなら、トレードオフで冷静に考えられると思うんですよ。本を読むのは好きだけど、お金がないから今月は我慢しておこう、というように。

でも、これがタバコになると、今月は我慢しておこうという喫煙者はまずいない。アルコールも同様です。

理屈でなく、体が欲してしまうというか、無意識に求めてしまう。

冷静に考えるとどんなに割に合わない状況でも、理屈がねじ曲げられ、たとえば食費を削ってでも買ってしまうというふうになる。

こうなると依存症です。

脳内を見てみると、依存症というのは、脳内における神経伝達物質のやりとりに異常が発生してしまう状態を指します。

脳内のやりとりとして見ると、炭水化物は、コカインと同様にドーパミンの放出量を増やすとあるんですよ。

炭水化物の依存症になったとして、いったいどんな問題があるのかについては、たとえばこちらをご覧ください。

糖質制限の仕組み | 炭水化物は嗜好品

また、糖尿病という致命的な病気の原因にもなります。私も以前のままだったら危険だったな、と感じています。

 

ヒトの依存症の治療法を探る優秀な動物実験モデル

で、この『溺れる脳』を読んでいたら、たいへん興味深い実験が記載されていました。

“薬物自己投与の動物モデル” というものがあります。外科的手術によって頸静脈にカテーテルを繋ぎ、レバーを押せば薬物を摂取できる状態にしておくと、動物は喜んでレバーを押すようになるそうです。

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薬物自己投与の動物モデルは、薬物依存の研究において、ますます重要となっている。興味深いことに、モデルの評価方法も変化し続けている。モデルの評価方法をさらに開発し、綿密に精査することによって、薬物依存の別の側面である依存形成の各段階を研究することができる。それにはつぎの事項が含まれる。

①薬物摂取の開始および動物が薬物を自己投与することを学習する初期段階
②レバーを押すことを学習して、レバーを押す行為が安定的または比較的変化しない、薬物摂取の維持段階
③レバーを押しても薬物報酬が得られなくなり、徐々にレバー押しをやめるときに起こる薬物摂取の消去段階
④ストレス、引き金もしくは薬物に誘発され、薬物をやめた被験動物が再び薬物を求め始めるときに起こる薬物摂取の再発段階

M・クーハー『溺れる脳: 人はなぜ依存症になるのか』より

これはかなり優秀な実験モデルだそうで、ヒトの依存症の治療法を探る大きなヒントになっているとのことです。

 

不確実あるいは不定期の報酬は依存性が高い

こうした依存症の解明を目的とした動物実験のなかで、不確実あるいは不定期の報酬は依存性が高い、という結果が出ているそうです。

“薬物自己投与の動物モデル” よりももっとシンプルに、通路を通ったら餌を与えるという実験です。

実験ではラットを二群に分け、一方の群には、通路を下向するたびに報酬として餌を与えた。もう一方の群には、通路を下向したときの約三〇%のみ報酬を与えた。両群とも報酬を期待して、通路を下向することを学習した。つぎに、両群について食物報酬をやめたが、ラットが食物を探して通路を下向できるようにしておいた。

(中略)

毎回報酬が得られたラットよりも、下向時の三〇%しか報酬が得られなかったラットのほうが、長時間餌を探索するために通路を下向する行動を持続したのである。

M・クーハー『溺れる脳: 人はなぜ依存症になるのか』より

 

子育ての観点で考える

これには興味深い話が添えられています。

たとえば、ペットの行動をコントロールしたいと思う場合がある。犬が食卓の食べ物を欲しがると考えてみてほしい。あなたは自制しようとするものの、しばしば与えてしまうだろう。

あなたは、自分自身にいつもそうするわけではないと言い聞かせ、自分は上手くやっていると思うが、実際は、犬が欲しがらないようにすることをかえって難しくしているのである。

子どもや学生などの場合も、似た状況を容易に想像することができる。

M・クーハー『溺れる脳: 人はなぜ依存症になるのか』より

5歳と2歳の子を持つ親として、正直なところ読んでギクッとしました。

「いつもそうしているわけではないから」という自分への言い訳は、私もかなり身に覚えがあります。

そして、それで自分がうまくやっているつもりになっているというのも、正にその通りなんですよね。

 

親に一貫性がないと問題が起こりやすい

たとえば、こどもが「あれ買って」「これ買って」とキリがない。親の気分次第で買い与えるのが、いちばん問題をややこしくするわけです。

スマホやDSで遊ばせるのも同様です。親の都合で、今は食事中で静かにしていてほしいからと遊ばせるが、普段はゲームばかりするなと叱っていれば、よりゲームがやりたくてたまらなくなると推測できます。

100%与えるか、100%与えないか。あるいは、定期的にルールを決めて与えるか。

「あれ買って」「これ買って」なら、基本的に買わないか、「日曜に1個だけ」などルールを決めて買う、という方針がよさそうです。我が家では、先日記事にしたとおり、基本的に買い与えず、自分のお給料で買わせています

ゲームやYoutubeなら、我が家の方針では、自由に好きなだけやらせています。ただ、他に優先すべきことがある場合は(挨拶する、着替える、歯を磨く、出かける、などなど)必ずすぐに中断するというルールを設けています。

ただ、欲求が強くなるのが必ずしも悪いとは、私は思いません。

滅多にないからこそ嬉しい、というのは、人間として素敵な感情ではないでしょうか。

「子育てはルールで縛ればいい」という短絡的な話ではないのが、親としては難しいところですね。

溺れる脳: 人はなぜ依存症になるのか

M. クーハー 東京化学同人 2014-01-14
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