Yahoo!トップに上がっていた記事『「綺麗ごと」を真に受けるな! 「キラキラワード」が日本をダメにする(横山 信弘)』への賛同と異論。
個人は企業と違い、多くの失敗が許されます。個人は、無理だと思ったらすぐに止めて、次々に新しい方法に手を出してみるべきです。
「綺麗ごと」を真に受けるな! 「キラキラワード」が日本をダメにする(横山 信弘) – 個人 – Yahoo!ニュース
こちらの記事がYahoo!トップにあがっていたので、見物に行ってきました。
コンサルタントとして現場に入る際の違和感として「小さな労力で大きな成果を手に入れたい」と考える輩へ警鐘を鳴らしています。
「大数の法則」という言葉をご存知でしょうか。夥しい量の試行を実践することで、経験的確率が理論的確率に近づくことを言います。つまり、少量の試行、短期間の実践で、そのプランが正しいかどうかは決め付けられないということです。個人でも企業でも、ダイエットでも営業改革でもかまいません。誰かの考え、方法論にのっとって新しいことをスタートさせたはいいが、なかなか期待成果が得られない、ということはあります。しかしだからといって、途中でやめてしまうことはナンセンスです。小さなマネジメントサイクルを回しながら改善していきましょう。その歴史が個人や組織を成長させていくのです。
要するに、成果が出ないからと、次々に新しいことに手を出そうとするような、移り気な経営姿勢はいかん、と言っているわけです。
すごくよくわかるんですが。
個人は、企業に比べて多くの失敗ができる点で決定的に違う
でも、一方で、なぜそこに言及するんだろう? と疑問符が付く部分もあるんですよね。
● 「楽しいと思える仕事を見つけろ」
→ 成功者が発する最も多い「キラキラワード」。人が幸福感、充足感を覚えるのは過去との相対評価です。他人との比較ではありません。過去できなかったことができた。昔苦しいと思っていたことが楽になってきた。その相対評価によって自分の成長を実感するのです。そうしてはじめて「楽しい」と感じるのです。「ひたむき」に頑張っていた人が何事も楽しいと思えるわけで、掲げた目標を達成した過去がないのに、楽しいと思える事柄はかなり限定的になってしまいます。● 「心の底からやりたいと思えることだけやればいい」
→ 同上。そんなはずはありません。「やりたいこと」「やるべきこと」「やれること」の3つを並べたとき、「1.やるべきこと」「2.やれること」「3.やりたいこと」の順序にならないといけません。まず「やるべきこと」を実践し続けることで自分の「やれること」が増えていきます。そうして「やりたいこと」ができるようになるからです。特に若い人、これから社会人になる人はこういう「キラキラワード」に惑わされないようにしてもらいたいです。
なぜか、企業経営の話から、個人の生き様の話になっています。
ここはちょっと、異論があるんですよね。
個人が企業と決定的に違うのは、いくらでも失敗が許される点です。無限にではないでしょうが、企業よりもはるかにキャパは大きいわけです。
例えば、お金を掛けた施策に失敗したからと言って、株主に怒られるようなことは、自立した大人にはありません。
失敗が自己責任でしかない個人は、どんどん新しいことに手を出して、やりつくしてみるべきです。
しかも個人の場合、それが自分に合っているかどうかは、それなりに経験を積んできた大人であれば、短期間で直感できます。企業ではそもそも、直感では許されず、間違っていると気づいても効果が無いと実証してからでないと動けません。
機動力がまったく異なるんです。だから企業は、一つ一つの失敗の影響が大きく、それほど多くの失敗はできません。個人のものではないので、すぐに「誰が責任を取るんだ」という話になり、動きを縛ります。
心の底からやりたいと思えることだけをやれ。ただし即断即決で
個人は、無理だと思ったらすぐに止めて、違う方法を試してみるべきです。少なくとも、「小さなマネジメントサイクルを回しながら改善していく」だけが正解だとは思いません。
「相対評価で幸福感や充足感を覚える」という見方には同意します。そうやって無数に試行して、可能性をどんどん限定していく中から、本当に自分に合った楽しいと思える仕事が見つかります。
不思議と自分に合った要素って、細々ながらも続けていたりするんですよ。でも、そんな本当に自分に合ったものって、やはり相対評価でないとなかなか認識できないんですよね。
結論は、心の奥底にストレスを抱えたまま働きたくないのであれば、心の底からやりたいと思えることだけやればいい。
ただし、即断即決で。
個人だからこその機動力は最大限に活かす。
「心の底からやりたいと思ったことだから」と言い訳をして、違和感を見ないふりするんじゃ、横山氏の言う通り、ただ楽をしたいだけです。