富士山の須走口登山道は、吉田(河口湖)口や富士宮口とは違い、樹海から荒々しい火山の素顔まで、富士山の大自然をフルコースで満喫できる登山道です。
五合目の標高が2,000mとやや低いことから、混雑も比較的ゆるく、じっくりと富士登山を味わうことができ、おすすめです。
須走ルート(須走口登山道)の特徴
・五合目の標高2,000m(富士宮口の2,400m、河口湖口の2,300mと比べると低い)
・富士宮口、河口湖口と比べると、混雑がゆるい
・約1,700mの高度を、約7kmかけて登る
・初心者の場合、休憩を含め、登頂まで7時間、下山3時間が目安(僕は2回目で登頂5時間半、下山2時間半)。
・五合目は樹海。六合目あたりで森林限界となり、荒々しい岩場・砂礫に変わるため、(登山者の少なさもあり)富士山の自然をフルコースで満喫できる
・登山は他ルートと比べてこれといった難所はなく、比較的に楽
・下山は「砂走り」がメイン。砂地とはいえ大きめの石がゴロゴロしている。脚力のある男性なら駆け下りられる。逆に女性や子供、シニアにとっては難所になる
五合目(標高2,000m)
世界文化遺産登録後、初の山開きをうけ、2013年7月2日にさっそく登ってきました。個人的には2回目ですが、やっぱり須走ルートは富士山のさまざまな表情が見られて素敵だと思ったので、紹介したいと思います。
なお、所要時間は登り5時間半、下山2時間半でした。目安としてラップタイムも書いておきます。
午前4時30頃。平日とはいえ、駐車場にはそれなりに車が駐まっていました。ただ、溢れている車はいなかったので、混雑はそれほどではないですね。
ここから6.9km、310分の表示。おそらく休憩なしでの所要時間です。
古御岳神社の参道をすすみ、いざ出発。本殿右奥から本格的な登山道へ。
静かな樹海の中を進む。
空気がうまいし、心が落ち着く。
が、はやる心を抑えきれずにペースを上げてしまうと危険。息が切れずに登れるペースを見つけて、ゆっくり黙々と。
このあたりの樹木は、みんな斜面に斜めに生えています。冬季の雪の重みの影響で、不思議な光景に。
六合目(2,400m)
六合目の長田山荘。五合目から1時間10分。
水分補給だけして、すぐに出発。
しばらくすると視界が完全に開け、山頂までくっきり見えるように。
すでに雲の上。五合目は濃い霧が出ていたんですが、快晴。
本六合目(2,700m)
本六合目の瀬戸館。
背後には山頂がドン!
このあたりで明らかに高木が見当たらなくなってきます。
七合目(3,090m)
七合目の太陽館へ到着。本六合目から45分(トータル2時間25分)。
標高が3,000mをこえてきたこともあり、そろそろ高山病のリスクを頭に置いておく必要が出てきます。
呼吸は、腹筋を使って深く吐き切る。
胸の中の空気をすべて出してしまうことで、自然に新鮮な空気を多く取り込めるからです。
本七合目(3,200m)
本七合目の見晴館。七合目から55分(トータル3時間20分)。
八合目(3,350m)
八合目の下江戸屋。本七合目から30分(トータル3時間50分)。
“皇太子殿下御宿泊所”の文字。昭和63年だそうで、皇太子は現在(平成)の天皇陛下のこと。
この八合目前後がかなりキツイ。
砂地が柔らかく、傾斜もかなり急なので、踏みしめた足場が崩れてしまい、なかなか登っていけません。
酸素の薄さが本格的にこたえ始めます。
一歩一歩、ゆっくり着実に進むしか方法はありません。
本八合目(3,400m)
本八合目には、胸突江戸屋とトモエ館があります。
八合目からは20分(トータル4時間10分)。ここで吉田ルートと合流します。
残り1.3kmです。
ここまで順調に来られて、高山病も問題ければ、登頂も見えてきます。
八合五勺(3,450m)
八合五勺の御来光館。本八合目から30分(トータル4時間40分)。
7月2日時点では頂上の山小屋が営業していなかったので、ここが最後のトイレでした。
山頂まで残り900m……ですが、ここからが厳しいです。
空気が薄く、筋肉系の疲労も蓄積してきているので、一歩一歩が本当に重い。
九合目(3,600m)
ついに九合目。八合五勺から35分(トータル5時間15分)。
最後の試練。岩場に突入です。
段差が大きいので、一歩登るごとに5秒くらい休まないと、肩で息をするハメになります。それくらい空気が薄い。
富士山頂で見られる景色
九合目からは30分。今回はトータル5時間35分でした。
下山道
須走ルートは、基本的には下山専用道があります。
八合目〜七合目は登山道と重なる部分もあるものの、七合目からは砂走りです。
砂走りとは言え、大きめの石がゴロゴロしているので、駆け下りるにはそれなりの脚力が必要です。
たぶん足を痛めているんだろう人や、シニア世代を中心に、前に進めなくなって座り込んでいる人も見かけました。
吉野屋は建て替え?の最中でした。なぜか犬が座っていたので、おもわずパチリ。
ちなみに、砂走りを駆け下りてくると、こんなに汚れます。
今回、デジタル一眼レフカメラを持って行きましたが、これはやばいと思い、途中でしまい込んでしまいました。