インターネットの普及により、個人による情報発信は当たり前になりました。
情報量が飛躍的に増えた世の中において、ブログやソーシャルメディアでの情報発信スキルの重要性は大きく増してます。
なぜなら、どんなにいい商品やサービスをつくったり、あるいは志の高い社会貢献プロジェクトに取り組んだりしても、それらを人々の元へ届ける手段を持たなければ、海の真ん中でコップの水を撒くようなもの——人々は見向きもしてくれないからです。
なかでもブログは、情報発信の核となります。
ソーシャルメディアに比べて伝えられる情報量が多く、人々がアクションしてくれやすい特長があります。
また、Google検索により、日本中、場合によっては世界中の人々へ届けられる潜在力を秘めています。
とはいえ、どんなに重要なスキルだとわかっていても、実際にブログを書き始められる人は少ないのが現実です。
そこでブログ歴15年の僕の経験から、今すぐブログを書き始めたほうがいいと思う7つの理由を紹介します。
「情報発信くらい、できなきゃまずい」という意識の学生は、どうぞ参考にしてください。
1. 情報発信の「最大のコツ」を学べる
情報爆発の現代において、ただ発信することに意味はありません。
人々の元へ届けることこそが重要です。
学生が情報発信で苦労するのは(実は、社会人の多くも同様なのですが)、自分中心の発信から、受け手中心の発信への、意識の切り替えです。
「好きなことを発信して満足」というやり方にも良さはありますが、多くの人へ届けるには向きません。
情報発信の最大のコツは、「いかに受け手を意識した発信ができるか」です。
ブログを書いていれば、読者の反応をダイレクトに実感できます。
受け手のメリットを最優先に考えた発信になっていれば、ソーシャルメディアで広く拡散されたり、Google検索でたくさんの人が読みにきてくれたり、はっきり数字となって成果に現れるからです。
トライ&エラーを積み重ねるうちに、自然と「受け手を意識した発信」が身についていきます。
当WEBマガジンでも紹介しているように、情報発信の考え方や技術を学ぶのも大切ですが、同時に、肌で学びながら経験を積み重ねることも重要です。
頭で理解した内容が体に染みついてはじめて、スキルを駆使できるようになるからです。
2. 始めるのなら早ければ早いほうがいい
学生の強味は、いわゆる“デジタルネイティヴ”である点です。
もの心ついたときから大量の情報に囲まれていた影響で、情報発信の良し悪しを判断する感性に優れています。
情報発信のコツさえ学べば、すぐにでも社会で活躍できる可能性を秘めています(これはインターネットが普及する前に社会人になった世代にはない宝物です)。
しかしながら、潜在力があっても発揮できなけば「できない」のと同じです。
そしてコツを学ぶには、それなりの時間が必要です。
大学3年時からブログを書き始めれば、責任ある仕事を任されるようになるだろう社会人3〜4年目まで、約5年の猶予があります。
今すぐにでも始めてください。
始めるのが早ければ早いほど、多くの経験を得られ、早い段階で強味を発揮できるようになります。
3. ビジネスで通用するマーケティングの視点が身につく
アテンションを集め、タレントをモチベートする機能を持っているのがメディアです。だからこそ、私は、これからは何のビジネスをするにも、メディアについてある程度の理解をしておくことがビジネスパーソンには重要だと思います。
田端信太郎『MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体』第2章 一般ビジネスパーソンもメディアの知識が必要な時代 より
みなさんは将来、どんな活動に取り組むことになるんでしょうね。
おそらく、自分自身でさえわからないんじゃないかと思います。
ビジネスマンとして企業内で縦横無尽に活躍しているのか、フリーエージェントとして自分のやるべき仕事に専念しているのか、それともNPOや社会起業で世の中を動かそうとしているのか。
ブログを書き続けて身につけた情報発信スキルは、どんな環境にあっても、心強い武器になるはずです。
ブログやソーシャルメディアで情報を発信し、人々の注目を集め、ビジネスならセールス、社会貢献プロジェクトならイベント参加などにつなげていく手法を、インバウンド・マーケティングと呼びます。
(逆に、電車の中吊り広告や、ポスティングチラシ、テレビCMなど、情報を直接プッシュする手法をアウトバウンド・マーケティングと呼び、区別します)
つまり、「ブログを書き、受け手を意識した発信を学び、情報を人々の元へ届ける経験を積む」というのは、マーケティングスキルの重要な一部分を実践しているのと全く同じです。
社会に出ても、そのまま活かせます。
それどころか、インターネットが普及し出した2000年を境に、特に必要とされるようになったスキルであるため、担い手が少なく、引く手数多の重要スキルと言って過言ではありません。
4. 世の中の仕組みが理解できる
これからの時代、“情報爆発の社会構造”の正確な理解は、どんな立場の、どんな職業の人にも必須となってきます。
例えばフリーランスで仕事をしたり、社会貢献プロジェクトに取り組んだりするのなら、広告費がかけられないケースが大半です。
前述のインバウンドマーケティングをベースにPRを考えるはずです。
企業内で働いても大きな違いはありません。
広報・PRを担当する場合は言うまでも無く、商品やサービスを開発する場合でも、人々の生活・行動様式を理解していなければ、いいものは作れないからです。
特に、個人の重要度は増します。
国や行政、大企業には手の回らないことを、積極的に個人や非営利団体が担う世の中になっていくはずだからです。
一生、大企業の中でスペシャリストとして過ごす気であれば話は別です。
が、3年後、5年後、あるいは20年後に何をしているのか可能性を限定しないのであれば、どうしたら情報を人々の元へ届けられるのか、情報爆発の現代の仕組みをよく理解しておく必要があります。
ブログを初めていれば、どう発信すれば人々の元へ届くのか(あるいは逆に、届かないのか)、それは何故なのか、自然と情報爆発の世の中に対する理解が深まってきます。
5. 可能性が広がる
せっかくブログで発信するのであれば、個人的には、実名での発信をお勧めします。
なぜなら、にわかには信じられないかもしれませんが、ブログを書いているだけで、様々な“出会い”と“機会”を得られるからです。
これは、有名人でもなく、大して何も成し遂げていないような僕でも、現実に起きていることです。
あるとき、一通のメールをもらいました。
早稲田大学広告研究会の面々からのコンタクトでした。ブログ記事を見て、「ソーシャルメディアマーケティングについてレクチャーしてほしい」と言うのです。
おもしろい経験になりましたし、「砂が水を吸うように」知識を吸収する学生の可能性に気づくきかっけにもなりました(この学生向けの記事を書いている遠因、とも言えます)。
またあるときには、なかなか評判のいい、某有名コンサルティング会社からコンタクトがありました。
神社専門SNSコンサルティングを掲げているのを見て、「寺社のSNS活用の現状について話がききたい」ということでした。
Google検索をすればわかりますが、これは僕しかやっていない活動なので、白羽の矢が立ったのでしょう。
総じて言えるのは、どちらも、ブログで情報発信をしていなかったら起きなかった、という事実です。
もちろん、ブログを書けば必ず何かが起きる、とは断言できません。
けれども、少なくとも発信しなければ可能性はゼロのままです。
書いたそのときは、それほどたくさんの人に読まれないかもしれません。
が、気にせずに発信を続けてください。
Google検索が、まだ見ぬ利害関係者と引き合わせてくれます。
特にあなたしか目を付けていないこと、あなたしか取り組んでいない活動なら、より届きやすくなります。
6. 社会に出る上で最も重要な「抽象化」のスキルが身につく
個人差はあると思いますが、僕の場合、考えがはっきりしないままブログを書き始めることがよくあります。
文章にまとめることで、論旨や主張が明確になり、他人にもスムースに話せるようになります。
よく「文章を書いて考えを整理する」と言いますけど、より正確には、抽象化です。
個人的な思いであったり、経験であったりは、そのままではかなり曖昧なものです。
誰にでも理解できるように抽象化して始めて、はっきりとした形になり、人に伝えられるようになります。
実はこの“物事を抽象化する能力”は、社会に出る上で最も必要とされるものの一つです。
例えば上司から、「ミスが多いから、気をつけて作業しろ」と言われたとして、どうしますか?
言われたとおりに注意して作業するのでは、並以下です。
なぜなら、上司の要求は、気をつけて作業をすることではなく、ミスをしないで作業することだからです。
抽象化の能力に秀でた人ならば、ミスの原因を探り、(集中力などという全く頼りにならない方法に頼らずに)ミスを減らす方法を考え、実践します。
付け加えれば、こういう人こそ管理職に向いているのは言うまでもありません(また、物事を抽象化して捉えるのがうまい人は、例外なく、文章を書くのも上手です)
人に伝える文章を書く練習は、抽象化スキルの向上に繋がります。
社会で必須と言える「抽象化」スキルの訓練ができる、という意味で、文章を書き続けるのは大きなメリットです。
7. 文章を量産する練習になる
ライティングスキルは、うまく伝えるための文章力と、できる限り短時間でアウトプットする執筆効率とに大別できます。
個人的な考えでは、文章力を向上させるには、ブログだけでは不充分です。
自身を振り返ると、幼少期からかなり本を読むほうでした。
中学、高校と少し落ち着いたものの、学生時代には、昭和期の日本文学を中心にたくさんの小説を読みました。
言葉の使い方や、表現のバリエーションなど、下地があったからこそ、そこそこの文書が書けるのだと実感しています(何が役に立つか、わからないもんですね)。
しかしながら、「頭にある考えを、いかに的確、かつ素早くライティングできるか」は、練習次第で飛躍的に向上させることができます。
これから一生の間に、どれほど大量の文章を書くのか、考えてみてください。
どれほどデジタル技術が進化しようと、私たちのコミュニケーションからテキストのやりとりが消え去ることは、少なくとも命あるうちにはないでしょう。
例えば、1日10分の短縮でも、365日積み重なれば60時間、50年積み重なれば丸125日間に相当する時間になります。
短期的に見ても、ソーシャルメディア全盛の時代、考えていることを瞬時にアウトプットできるのは、大きなメリットです。
ぜひ、なるべく短時間で的確にアウトプットすることを念頭に置きつつ、ブログにチャレンジしてください。
終わりに – 発信しないのはもったいない!
「自分で発信してみてはじめて、情報発信の仕組みや、その本質を理解できる。」
15年ほどブログを書き続けてきて、強く実感しています。
誰でもそうだと思いますが、ブログを書き始めて最初にぶつかる壁は「誰にも読まれない」という経験です。
ただ、その中でも、反応のいい記事というのがちらほら出てきます。それはなぜかと考えると、「その情報が知りたい」「その記事が読みたい」という人がいたから、という当然すぎる結論にたどり着くはずです。
多くの人に届けたいのなら、受け手を最優先に考え、多くの人が知りたい記事、読みたい記事を書けばいい。
わかってはいても、理屈や知識で理解しているだけでは、なかなか行動に移せないんですよね。
積み重ねてきた経験があってはじめて、「これじゃダメだ、なんとかしなきゃ」と本気になれるわけです。
「情報発信をしたい」という気持ちがあるのなら、今すぐにでもブログを始めてください。
きっと、自分の人生の、重要な一部分になるはずですよ。
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