[レポート]オルタナ編集部が語るライターの心得|社会貢献ライター育成講座「Writing for Good」第1回セミナー


NPOや学生団体による情報発信は、自らの活動の正しさを信じるがゆえに、自分たちが発信したい情報の押しつけになってしまうケースが多々あります。しかしながら、ライティングの良し悪しは「読み手にとって価値のある記事に仕上げられるか?」が分かれ目。

代表的ソーシャル系メディア『オルタナ』『オルタナS』編集部が、ライターの心得を語った貴重なイベントのレポートをお届けします。

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社会貢献ライター育成講座「Writing for Good」とは

CSRコンサルタント/ブロガーの安藤光展さんによる、CSR・社会貢献系ウェブライター育成プログラムです。

自己満足でしかない情報発信から脱し、“結果の出せる”社会貢献分野に強いウェブライターを養成しようという取り組み。

2013年4月27日(土)に第1回オープンセミナーが開催されました。

【イベント】社会貢献ライター育成講座「Writing for Good」第1回オープンセミナー | CSRの、その先へ

 

会場は木の香りが心地良いエコ メディア サロン

安藤さんより『Handmade Future !』へお問い合わせをいただき、とてもおもしろそうなイベントだということで、さっそく取材へ行ってきました。先月募集を始めてから、イベントの取材依頼は、安藤さんが初です。どうもありがとうございます!

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会場は、港区虎ノ門のエコ メディア サロン。見てのとおり閑静な路地裏で、一瞬、道を間違えたかと迷ったほど。

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ありました。

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中に入ると、意外すぎるほどお洒落な空間でびっくり。

『エコ メディア サロン』は、カワセ印刷が運営するコミュニティスペース。国産の間伐材を豊富に使い、部屋には木材の香りが漂います。なんともリラックスできるんです。

 

ゲスト講師はオルタナ副編集長・吉田広子氏、オルタナS副編集長・池田真隆氏

CSR・社会貢献系ライター育成プログラム「Writing for Good」のオープンセミナーでは、社会貢献系メディアや、ソーシャル題材に強いライターなどを講師として招きます。

今回のゲスト講師は、「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン『オルタナ』副編集長・吉田広子氏と、若者による社会変革を応援するソーシャル系メディア『オルタナS』副編集長・池田真隆氏です。

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オルタナ副編集長・吉田広子氏。

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オルタナS副編集長・池田真隆氏。

お二方とも、滅多に表には出てこないとのこと。

社会貢献系メディアは絶対数が少ないですし、その中でも実績のある『オルタナ』『オルタナS』編集部がどんな「ライターの心得」を語るのか、興味がそそられます。

 

何で発信するかより、発信する中身のほうが重要では

はじめに「Writing for Good」を主催する安藤光展さんより趣旨説明がありました。

安藤さんご自身が、NPOの情報発信や企業のCSRを支援する中で、「WebサイトやSNSで発信しようという人達が増えてきているが、何を使って発信するかよりも、どんなものを発信するのか、中身(コンテンツ)のほうがより重要なのではないか」との問題意識を抱えていたとのこと。そもそも、取材の仕方や、記事の書き方がわからないという声がある事実を踏まえ、ライティングの具体的な方法論を学ぶ「Writing for Good」を企画。

これは個人的にも共感するところで、ライティングやテキストコンテンツ制作スキルは、実際に書いて経験を積み重ねるのと同時に、技術であったり方法論であったり知識を学んだほうがはるかに効率がいいです。僕自身を考えてみても、インプットとアウトプットが揃ってはじめて、成長に手応えが感じられるようになります。とてもいい取り組みだと思います。

 

オルタナ編集部が語る「説得力のある記事を書く7箇条」

『オルタナ』副編集長・吉田広子氏より、『オルタナ』『オルタナS』の紹介や、メディアとしての心構えについての話がありました。

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個人的に意外だったのは、『オルタナ』編集長・森摂氏が日経新聞のロサンゼルス支局長出身という影響もあり、『オルタナ』が意外にトラディショナル(あるいはクラシック、ベーシック)なメディアであると感じた事実です。

フットワークの軽いWEBメディアとは一線を画し、例えば記事を書く際にミスをすれば始末書を書かなければならないなど、編集部としても記者としても、大きな責任感を背負いながら活動している様子がうかがえました。

続いて、説得力のある記事を書く7箇条が紹介されました。

 

1. 執筆前に見出しをしっかり決める

ブログ記事でもまったく同様のことが言えます。個人的にも、ぜひ実践してほしいコツです。なぜなら、ソーシャル拡散を狙うにしろ、検索流入を想定するにしろ、読み手にとって価値が明確な記事でなければ、話にならないからです。

「この記事で●●を伝えたい」と記事の価値が決まれば、自然と見出しも決まります。逆に言えば、見出しが思い浮かばない状態で書き始めても、一発で無駄のない記事は書けません。書いた後に記事の価値が明確になることは個人的にも多々あるんですが、結局は書き直しの無駄が発生します。

 

2. ひとりでも多くの人に取材する

『オルタナ』では、1,500文字程度の記事を書くのなら、最低3人には取材をし、コメントを盛り込むそうです。またインタビューをするのなら、インタビュー相手の著作やブログなどは全て読んでおくとのこと。相手への敬意もあるでしょうが、基本的な事実の確認などに時間を割きすぎてしまう弊害を防ぐためのようです。

 

3. 言葉のお化粧は逆効果

大げさな表現は読者の心に響かないとの信念のもと、言葉を飾るのではなく、数字など客観的事実で訴えかけるようにしているとのことです。

 

4. エピソードやファクトを盛り込む

「人」が主役なので、その人の“人となり”が原稿に滲み出るように、エピソード(ストーリー)を大切にしているそうです。記事を書いていくにあたって、一番おもしろいと感じる要素を頭に持ってきて、そのあとに事実を並べていくなど、共感をもって読み手に読み進めてもらえるような工夫もしているとのこと。

また、執筆者の主観を裏付けられるよう、数字や固有名詞をなるべく多く盛り込んで、客観性を担保することが大切との話がありました。吉田副編集長いわく、メディアとしての情報発信に、客観・中立は大前提です。ただし、取材先を選定したり、記事に使うデータを選択した時点で、書き手の主観が入り込みます。メディアとしては、主観が入り込んでいると認識したうえで、ファクトを盛り込んで客観性を担保する努力が重要、と仰っていました。

 

5. 相手の言葉をよく咀嚼する

思い込みや、記事のストーリーに当てはめたいとの思いから、どうしても相手の言葉を歪曲して受け取ってしまうケースがあります。しかしながらそれでは記事が成り立たないので、相手の言葉の意図をしっかり汲む必要があるとのこと。

本当に難しい問題なんですよね。悪意がなくとも、気を抜いてしまうと発生してしまうミスです。

 

6. 複眼的な取材を心がける

たとえ1人に対する取材でも、世間であったり、同業他社であったり、同僚であったりと、様々な立場からの見解を聞いているそうです。

例えばオルタナでは脱原発を表明し、自然エネルギーへ移行との立場から情報を発信していますが、もちろん自然エネルギーにも100%問題が無いわけではないので、脱原発以外の意見を無視するつもりはないとのこと。

 

7. 原稿は基本的に相手に見せない他

そのほか、

・中立メディアであるために、公開前には基本的に原稿を開示しない
・固有名詞の間違いが多いライターは信用されないため、3回はチェックする
・「てにをは」であったり、主語述語の関係であったり、文章の基本をきちんとする

などが語られました。

特に驚いたのが、インタビュー原稿であっても、原稿段階ではインタビュー相手に見せないという事実です(僕は知りませんでしたが、ジャーナリズムの基本とのこと)。

『Handmade Future !』をはじめ、僕がインタビュー取材をする場合、中立性よりも「相手の意図をいかに的確に表現するか?」に最も心を砕いています。取材する側の能力不足の心配ももちろんありますが、単に取材相手がトークに慣れていないケースもあるため、原稿チェックをしてもらうほうが相手の負担も少なく、確実だからです。

そこをすべてメディア側やインタビュアーが背負うということは、相当な能力が求められますし、尋常では無い責任感が必要です。『オルタナ』や『オルタナS』の編集・ライターさんたちを素直に尊敬します。メディアとしての価値観が如実にあらわれていますね。

 

いい見出しをつけるには、「これはいい見出し」と感じられる必要がある

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続いて、『オルタナS』副編集長・池田真隆氏が登壇します。「見出しによってクリックされるかどうかが決まる」「いい記事を書いても見出しが悪ければ読まれない」など、見出しの重要性についての基本的なレクチャーのあと、見出しの付け方のミニワークショップが行われました。

池田氏は参加者に、いい見出しとはどういう見出しだと思いますか? と問いかけます。

「記事の内容がわかる」
「読みたいと思える」
「共感してもらえる」

様々な意見が出ます。池田氏は、どれも正しくて、これという正解は無いのだと語ります。重要なのは、いい見出しとは何なのか、自分の中で基準をつくること。日常的に電車の中吊りや広告など、見出しを見て感覚を研ぎ澄ましてくださいと語ります。

見出しが付いていない原稿が配られ、原稿の中身を読んで見出しを付けるワークショップが行われます。いくつかタイトル案を発表してもらいます。優劣をつけるのではなく、どう思いましたかと参加者に感想を募り、感じ方は人それぞれなのだと浮き彫りにします。いい見出しをつけるには、自分なりの感覚を研ぎ澄ますことが近道なのだと実感できます。

 

ソーシャル系メディアはカッコイイを意識しよう

ワークショップの最後に、池田氏から、オルタナSで活動していて気づいた3点が語られます。いちばん記憶に残ったのは、「かっこいいメディアを作っていく」という話です。

NTTアドの調査によると、現在50代の人が20代のときにイメージしていた“かっこういい”は「上昇志向」「成り上がり」などのワードが多かったそうですが、いま20代の若者が思う“かっこういい”は「素直」「真面目」「誠実」などのワードへと変わってきているとのこと。読まれている漫画を見ても、個人で戦うのではなく、仲間を巻き込みながら戦っていく。

ソーシャル系の題材は、興味のある人には届くけれど、そうでない人にはまったく見向きもしてもらえない課題があります。そこでメディア運営でも、「今の若者にとってのカッコイイ」を意識しつつ伝えていくのが重要だと思っていますとのことでした。

 

日本一アクセスのあるCSR系ブログの結果を出すノウハウ

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最後のパートは「Writing for Good」主催の安藤光展さんによる、結果を出す社会貢献系ライティングのコツについてのレクチャーです。安藤さんは、CSR・社会貢献を専門に発信するブログ『CSRのその先へ』を運営しています。

CSR研修・CSR広告・CSRコンサルティング|CSRのその先へ

ポイントは3つです。

1. 2人の読者を意識する
ソーシャルメディアやRSSなどによる短期的なアクセスと、検索エンジンによる長期的なアクセスの両面を意識しようという話です。公開直後のアクセスと、1年後の検索流入が同程度であるという『CSRのその先へ』での実例が語られました。

『Handmade Future !』でもSEOの重要性とコツを紹介してきています。個人的には、検索エンジン対策ができないのであれば、ブログで発信する意味の半分以上が失われると思っています。ハードルが高いように感じますが、実は素人にでもできることがたくさんあります。ぜひ挑戦してほしいと思います。

2. 情報収集は情報通を探してフォロー
情報を探すより、情報を持っている人を探す方が効率がいいというアドバイスがありました。

3. 読み手が知りたい情報を提供する
自分たちが伝えたい情報をプッシュするのではなく、読み手のニーズを把握して、読み手が知りたいと思う情報を発信することが大切という話がありました。

私もこれは、情報発信の良し悪しを決定づける、最も重要な要素だと思います。頼んでもいないのに投函されるポスティングチラシは、ゴミ箱直行の運命なんですよね。稀に興味を持ってくれる人もいるでしょうが、効率が悪いですし、圧倒的大多数の人が迷惑に感じるわけですから、賢い選択とは言えないでしょう。

 

第2回セミナーはイケダハヤトさん

質疑応答の後、盛況のうちに約2時間のイベントは終了しました。

ソーシャル系大手メディアがどんな意識で活動しているのか、ソーシャル系ライターがどんな考え方で編集・ライティングをしているのかなど、普段はまったく知る機会がないので、とてもおもしろい時間になりました。

NPOや企業のCSR・広報担当者にとっても、具体的なノウハウを聞けて、刺激になっただろうと感じます。

次回、第2回セミナーは5月25日(土)とのことです。ゲスト講師はイケダハヤトさん。

【イベント】社会貢献系ライター育成講座「第2回Writing for Goodセミナー」 | CSRの、その先へ

第1回はメディアとしての姿勢や、ライティングの基本についての話が多かった印象ですが、第2回はよりWEBライティングに特化したハウツーが聞けますね。ソーシャル系ライターを目指す人、スキルを身につけなければならない人には楽しい時間になりそうです。

興味のある方はぜひ。僕も取材に行かせていただく予定でいます!

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