56月

[パパ育]母親が1人で“子育ては自分の役割”という意識を持った時点で敗北決定


先日取材へ行った『Child Future Session vol.4』で、アクションにつなげるために話し合われたテーマの一つに、「パパ育」がありました。

世間には、子育てに協力的でない(あるいは関わり方がわからない)父親が多く、母親の多くが不満を抱えているのは事実なようです。

ただ、育児Men’s日本代表を自称してもいいかな、というほど子育てを人生の中心に置いている僕としては、父親の育児参加についての議論に、どことなく物足りなさを感じていました。

今回、こうして考えるきっかけをもらって気づいたのは、「とは言っても、そもそも母親の多くが、自分で、“子育ては自分の役割”と考えているよね」という事実でした。

【取材記事】
7つのテーマが羽ばたく!『子ども達にいい社会をつくるためのChild Future Session vol.4』レポート | FutureCenterNEWS JAPAN

 

子育てって、人生をかけるに値するほど楽しいんだけど、変かな?

僕は、子育てがしたくてたまらなくて、どうやって時間を確保しようかと考えていたら、フリーライターになっていました。午前4時に起きて仕事をはじめ、17時頃には終えて、21時過ぎには、4歳と1歳のこどもたちと一緒に眠る生活です。

「仕事のほうを子育てに最適化するなんてすごいよね」としばしば言われるのですが、僕としては“すごい”という気はしません。だって、人生をかけてやりたいことがあって、そのためにワークスタイルやライフスタイルを合わせるのって、普通ですよね。

例えば、人生をかけるものが、趣味であったり、仕事であったりすれば、違和感ないはずです。

とすると、僕が特殊(かどうかはわからないですが、周囲に同じ考えで行動している人をあまり見つけられないのは事実)なのは、「子育ては人生をかけるに値する!」と思い切れた選択そのものなのかもしれません。

 

「父親は母親に勝てない」は単なる思い込み

妻が妊娠したとき、生まれてくる赤ちゃんのことを考えると、僕はワクワクして仕方ありませんでした。

人によってはちょっと不謹慎と感じるかもしれませんが、冒険ゲームでキャラを成長させようとしたり、新しいペットが家に来たり、ミニトマトの苗を買ってきたりしたときと、本質的には変わらない楽しみがありました。

自分の子供を、自分の手で育てられるんだと考えると、嬉しくてたまらなかったんです。

実際、生まれてから、オムツ替えも、寝かし付けも、それこそ授乳以外は、日常的になんでもやりました。今でもこどもたちを寝かし付けるのは、基本的に僕の役割です。誰よりも深くこどもたちと繋がっていると、胸を張って言えます。

もちろん、乳児の時期は、どうしても寝付かないケースもあるんですよ。

が、観察していれば明白なとおり、妻が抱いていても同じです。父親だから寝付かないわけじゃないんです。

寝付くかどうかは、その子の性質でしかありません。年中抱いていれば、誰にだってわかる事実です。

どうにも寝付かないときは、イライラしてしまうので、「ちょっと変わって」とお互いに投げ出して、妻と乗り切ってきました。

と同時に、試行錯誤もたくさんしました。はじめての子育てって、知らない知識だらけなんですよ。経験不足。

熱を出したり、泣き止まなかったり。そのたびに、妻と同じレベルで、悩んだり、心をすり減らしたりしました。

妻のほうが精神的ダメージは大きかったみたいですけど、単に持って生まれた(あるいは後天的に育まれた)、プレッシャーに打ち勝てるか、打ち勝とうとする意志がどれくらい強いかという、精神的打たれ強さの問題でしかありません。

 

母親の特権を尊重しつつ、冷静に役割を見極める

例外的に、妻にしかない要素なのは、出産と授乳です。妊娠出産にともなう肉体的・精神的変化と、授乳にともなう問題(思うように母乳が出なかったり、乳首が切れて授乳が苦痛だったり)は、確かにプラスアルファとして妻にのしかかっていました。

ただ、だからと言ってどうというわけでなく、出産と授乳は母親として乗り越えなければいけない壁です。というか、特権なんです。

僕は正直、妊娠出産の経験により深まる母子の絆や、授乳によるスキンシップが、うらやましくてたまりませんでしたね。なんだよそれ、反則じゃん!! という感じです。

もっとも、実際に子育てをして、いくらでも取り返せるとわかったので、今では何とも感じなくなりましたけどね。

“産後うつ”や、授乳の苦痛には配慮しつつも、妻に特別対応はしませんでした。

ただ、子供を殺されちゃかなわないので(冗談ではないのは、核家族での子育て経験のある方なら理解できると思います)、妻が抱えきれない分を冷静に見極めて、僕が担う役割の量を調整しただけです。

想定外に妻の負担が大きくて、当時の仕事を辞める結果になりましたが、それだけの話でしかありません。

 

不充分な父親と不充分な母親。どちらか1人で子育てができるはずがない

僕には「子育ては妻に勝てない」なんて考えは1ミリもありませんでしたし、実際に勝てないのだとしても絶対に認める気はありません。

うちのこどもたちは、妻の子でもあるけれど、僕の子でもあるからです。妻にできて、僕にできない役割なんかあるはずない、と思っています。

妻のほうが頭も心も絶対的に強くて、夫はひれ伏すしかないなら、夫は負けを認めたほうがいいかもしれません。

でも、一般的な夫婦はそんなことはなくて、お互いに足りない部分を補いながら暮らしているはずです。

だとしたら、子育てをどちらか一方に任せていいはずがないんです。世の中の父親たちは「妻ひとりに任せておくなんて心配だ!」と、どうして感じないのか、僕は不思議でならないんですよ。

家庭の力が夫婦合わせて100だとしたら、妻だけが子育てをしたら、50とか30とか70の力でしか子育てができないわけです。

夫婦一緒に子育てをすれば、100の力で子育てができるのに、どうして子供の一生の重要な部分が決まる子育てを、50とか30とか70の力で済ませちゃおうって思えるんでしょうか。

1人では足りない部分がたくさんある、という感覚は、ひとり親の方は強烈に実感しているはずです。

僕も想像すると、子育て中は妻を残して死ねないなと感じるし、また妻に死なれても困ると感じています。「1人でもやってやる」という覚悟はありますけど、物理的にはどうにもならない問題です。

 

母親の“子育ては自分がやるもの”という意識は、後付けの理屈

子育てに積極的でない父親を語る上で、問題解決には2つのフェーズがあります。

1つは、すでに子供が生まれている家庭で、実際に子育てにあまり関わらない父親にどう対処するか。世の中のイクメンやパパ育をめぐる問題は、ほとんどがこちらの視点です。

もう1つは、出産前に、いかに父親の当事者意識を育むか。

すでに子供が生まれている家庭の場合、母親が自分で「子育ては自分の役割」という意識でいるケースが圧倒的に多い実感があります。

でも、我が家はそうでないんです。

不思議に思って、妻に尋ねました。なぜ出産したとき、子育ては自分の役割だと思わなかったのか、他の家庭と何が違ったのか、と。

回答は「なんにも考えていなかった」というものでした。

じゃあ、もし僕が子育てをちっともやらない夫だったら、自分がやらなきゃと思ったかと尋ねると、YESとの回答でした。

つまり、世間の母親の圧倒的大多数が持つ「子育ては自分の役割」という感覚は、後天的なものであるという事実がわかります。

多くの妻は、最初から自分がやると決めているわけではなく、夫が関わってくれないので、自分がやらなきゃ……と覚悟する結果となるわけです。

夫の非協力への絶望感と、自己防衛もあって、頑なになってしまうんでしょう。例えば、「夫がたまに手伝ってくれるんだけど、そこじゃない感がハンパなくて、逆に苛立つ」みたいな話をよく聞ききます。

【参考記事】
イクメンもどき! NHKあさイチの特集とその反応がおもしろい

夫も、そんな妻の反応を見れば負い目を感じるし、子育ては自分の役割でないという思いを強くします。

コミュニケーションの行き違いが大きくなってしまうと、問題を解消するのは極めて難しいというのが僕の意見です(もちろん、それはそれで対処しなければならないのですが)。

 

出産前に父親の子育て当事者意識を育めれば、根本的解決になる

であれば、出産前に、

・父親も子育てをしていいと気づいてもらう
・子育ての上で(授乳を除き)父親に不可能な役割なんか存在しない事実を知らせる
・夫婦で協力しないと100の力で子育てができない事実を認識してもらう
・子育ては人生をかける価値があるくらい楽しいと想像してもらう

等の対策がとれれば、根本的な解決になるはずです。何より、父親も子育てをする権利があるんだよ、という事実は、外から指摘されなければ思い至らないケースが多そうです。

また、「こどもについては母親のほうがよく知っている」という思い込みを打ち砕く作業も重要です。はじめての子育てなんだから、父親も母親も、同じくらい無知なんです。

具体的にどうすればいいのかまでは、現時点では僕は回答を持ち合わせていません。これからの課題です。僕自身がなぜ子育ての楽しさを知っていた(想像できた)のか、理由を考えてみると、

・大人から子供まで一緒に遊び、年上が自然と年下の面倒を見るようなコミュニティに参加していた
・4歳くらいからずっと犬を飼っていた。魚、昆虫、植物まで、生き物にたくさん触れてきた
・母親の親としての姿勢が素晴らしかった

くらいしか思いつきません。すべては環境ですよね。自分からは選択しにくいもので、こうすれば解決するとはなかなか言いにくいところがあります。

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