Tag: 教育システム

2612月

「児童の生活習慣等と学力の関係」に潜む気持ち悪さ

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の一部において、“朝食を毎日食べると回答したグループはテストの平均点が高い” など、「児童の生活習慣等と学力の関係」を調査しています。

 

全国学力テストの分析結果から教育を改善

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の目的は、

・義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
・そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
・学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。

全国学力・学習状況調査の概要 – 文部科学省

だそうです。

実際、全国学力・学習状況調査の分析結果を元にした授業アイディア集なんかも出されていて、

平成25年度 全国学力・学習状況調査 授業アイディア例:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

中を見ていただければわかるんですが、これは至極真っ当なもので、教育現場を改善して学力を向上させようとしているんだというのが、すごくよくわかります。

 

「児童の生活習慣等と学力の関係」って、どう活かすんだろう

一方で、先ほど記事にしたんですけど、

「新聞読む子、勉強もできる!?」って、こんな統計で大丈夫なの(; ̄Д ̄)

まぁ新聞社の我田引水は華麗にスルーするとして、なぜか「児童の生活習慣等と学力の関係」についても調査しているんですね。

・朝食を毎日食べていますか
・自分には,よいところがあると思いますか
・人の気持ちが分かる人間になりたいと思いますか
・友達との約束を守っていますか
・家の人と学校での出来事について話をしますか

とか尋ねて、回答とテスト平均点に相関関係があるとかないとかやっているんです。

直感的に「え」という感覚はあるんですが。とりあえず是非は置いておきましょう。

これ、具体的にどんな活用の仕方をするつもりなんでしょうね。さっぱり想像つかなくて、なんだか気持ち悪いんです。

某新聞みたいに、都合のいいデータだけ抜き出して、持論の補強に利用するような事態にならないといいな、という懸念も少しだけ感じます。

もし、授業アイディア集と同じような使われ方をするとしたら、「朝食を毎日食べないと10点下がるので、必ず朝食を食べさせるように家庭に指導する」とかになるんでしょうか。

ちょっとこのデータの取り扱いについて言及している部分を見つけられていないので、実際のところはわからないわけですが。生活習慣と学力が無関係なはずないから、とりあえずデータを蓄積してから何に使えるか考えましょう、ということなのかもしれません。

 

義務教育以外の選択肢が広がってほしい

難しいのは、「教育機会の均等」と「学ぶ自由」の境界だと思うんです。

ぶっちゃけ、テストの点数を上げる目的で存在する学校だったら、僕はこどもを勉強させたいとは思いません(もちろん、義務教育以外に優れた選択肢がある前提です)。テストの成績は、社会で生き抜く力とはほぼ無関係。社会に出てからほとんど役に立たない、という価値観でいます。

一方で、国として、国民全体の教育水準を高めようと務め、対策を講じようとすること自体は、理解できるし、必要だとも思います。その際に、テストの点数以外に、評価指標として妥当なものがないだろう状況も想像できます。

国民が等しく教育を受けられるということは重要です。でも、居心地が悪く感じる児童や、そのやり方ってなんかおかしいんじゃないのという親は、当然ながらいるわけです。

だから重要なのは、結局のところ、日本社会において義務教育以外の選択肢が充実することなのかもしれません。

「朝食を食べる習慣があるとテストの点数が10点あがります」ってやっても、別にいいと思うんですよ。それが本当に事実なら、一つのやり方です。

ただ、馴染めない児童と親にとって、選択する自由はあるべきです。

個人的にも、義務教育に拘泥する気はありません。もし、こどもたちが小学校に行きたくないと言ったら、様々な選択肢を提示してあげられるように、今から情報収集しています。

ただ、個人の裁量でやるしかない現状は、なんとかしたいですね。

国や行政は、テストの点以外の評価指標を持つ学校の可能性にも、ぜひ目を向けてほしいなぁ。僕が知らないだけで、検討しているところもあるんでしょうか。

小学校や中学校に登校できなかったら落伍者、みたいな風潮が現実問題としてあると思います。でもそれって、一つの価値観に馴染まないと言っているだけだと思うんですよね。

2612月

「新聞読む子、勉強もできる!?」って、こんな統計で大丈夫なの(; ̄Д ̄)

産経新聞が脊髄反射したくなるオモシロい記事を出しています。

新聞読む子、勉強もできる!? 全国学力テストで相関関係 文科省調査+(1/2ページ) – MSN産経ニュース

新聞を読む子は勉強がよくできる-。今年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を文部科学省が詳しく分析したところ、新聞を読む習慣と学力との間に相関関係があることが25日、分かった。こうした分析調査を行うのは今回が初めてで、文科省では「新聞を読むことは、幅広い興味や関心を引き出すことにつながる。家庭学習の教材としても活用できるのでは」としている。

 

新聞を読むって、テレビ欄のことでしょうか

大前提として、この調査は、小学校6年、中学校3年のみを対象とした、いわゆる「全国学力テスト」のうち、「生活習慣や学校環境に関する質問紙調査」の内容を、テスト結果に照らし合わせて分析したものです。

全国学力・学習状況調査の概要:文部科学省
生活習慣や学校環境に関する質問紙調査 …

で、

新聞を「ほぼ毎日読んでいる」と答えた小学6年の算数B(応用問題)の平均正答率は65%で、「週1~3回程度」63%、「月1~3回程度」59%、「ほとんど(または全く)読まない」55%-と、多く読んでいる方が正答率が高かった。

と言うんです。

これ、報告書のPDFがWeb上にあるんですけど、どんな質問項目だったのかな? と思って見てみたら、

2013-12-26_0551

モロに「新聞を読んでいますか」としか質問していないんですよ。

小学生や中学生のとき、僕はTV欄とスポーツ欄くらいしか「読んだ」記憶がないんですよね。今の小中学生がどうなのかは、もちろん知る由もないのですが。

TV欄やスポーツ欄だけでも、毎日チェックしていたら、「ほぼ毎日読んでいる」と解答するケース、少なくない思うんですよねー。

相関関係を否定したいわけではなく、こんな統計の取り方で、データとして有為なんだろうか、というのが僕の疑問です。

 

朝食を食べるだけでテストの成績が10点も上がる!?

これ、相関関係をチェックしているのは、新聞を読む習慣だけじゃないんです。例えば、

・朝食を毎日食べていますか
・自分には,よいところがあると思いますか
・人の気持ちが分かる人間になりたいと思いますか
・友達との約束を守っていますか
・家の人と学校での出来事について話をしますか

などに「当てはまる(している)」と回答すると、テストの平均点がいいという結果が出ています。

一方で、

・普段(月~金曜日),1 日当たりどれくらいの時間,インターネット(携帯電話やスマートフォンを使う場合も含む)をしますか
・難しいことでも,失敗を恐れないで挑戦していますか
・いじめは,どんな理由があってもいけないことだと思いますか

では、(国語A・B、算数A・Bのうち)一教科だけでしか相関関係が見られないと出ており、

・家の手伝いをしていますか
・家の人に「勉強しなさい」と言われますか
・地域社会などでボランティア活動に参加したことがありますか

では、まったく学力との相関関係が見られないそうです。

毎日朝食を食べていると、どちらかと言えば食べている人と比べて(食べない人との比較じゃない)、8点から10点も平均点が上がっているんですよ。

一方で、インターネットの利用時間やボランティア活動はテストの点とは無関係(らしい)。

詳細はこちら

うーん。

こんな統計で本当に大丈夫なんでしょうか。(; ̄Д ̄)

余談ですが、産経新聞の記事の、

また、「地域や社会で起きている出来事に関心がある」かどうかを聞いたところ、「ある」と回答した子供のほうが「ない」とした子供より、小・中学生とも国語Bの正答率が15~18ポイント高く、こうした社会への関心についても新聞が役立っているといえそうだ。

は、我田引水すぎて微笑ましすぎる気がします。「地域や社会で起きている出来事に関心がある」が新聞の影響かだと、どうやって判断したんでしょう。まあいいですけど!

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