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96月

子どもがどんなオモチャよりも夢中で遊び続ける“asobi基地” お家でのやり方まとめ

asobi基地は、自宅でも簡単にできます。

2012年の第1回開催からasobi基地に遊びに行っている、asobi基地歴約3年の我が家が、asobi基地のやり方、コツ、注意点などを、たっぷり紹介します。

 

子どもは市販のオモチャにすぐ飽きる

どんな名作映画も、名作小説も、二度目には魅力が目減りします。すでにストーリーを知っているので、先が読めてしまうからです。

もちろん、名作なのだから、ストーリー以外の部分を、じっくり味わうこともできるでしょう。でも、やっぱり、「未知」という要素は、他に代えがたい魅力があるのも事実です。

さて、市販のオモチャは、どんなに手の込んだ作りでも、子どもは割とすぐに飽きてしまいます。

理由は簡単で、遊び方が決まっているからです。

うちの息子(3歳)は、保育園のお友達の多くがそうであるように、戦隊モノが大好きです。でも、トッキュウオーを買ってあげても、ロクに遊びませんでした。

子どもは、「このオモチャでは、どんなことができるかな?」と一通りいじくり回してみて、把握してしまうと、途端に興味を失うんです。

 

asobi基地が飽きないのは、子どもが自らストーリーを作り出すから

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asobi基地では、子どもがとにかく飽きません。

午前中から夕方まで遊び通しても、「いや!まだ帰らないから!!」と絶対に納得しない子が、珍しくありません。

うちの娘(6歳)も、何度「まだ遊び足りない\\٩(๑`ȏ´๑)۶//」と言って、泣いたでしょうか。

asobi基地が、こんなにも子どもたちを惹きつけるのは、子どもたちが自ら、遊びを作り出しているからです。

3歳の息子が、ふと思いついて、瓶ビールの空き箱に紙コップを突き刺しはじめる。「かき氷やさん!」

3歳の息子が、ふと思いついて、瓶ビールの空き箱に紙コップを突き刺しはじめる。「かき氷やさん!」

それを聞いたお姉ちゃん(6歳)が、「ちょっと待ってて!」と張り切って、色画用紙をちょきちょき。桃味とバナナ味のかき氷に。

それを聞いたお姉ちゃん(6歳)が、「ちょっと待ってて!」と張り切って、色画用紙をちょきちょき。桃味とバナナ味のかき氷に。

ストーリーは、ほとんど無限に変化し、一度として同じにはなりません。

常にマルチストーリー、常にマルチエンディング。

これは間違いなく、この世で最高のエンターテイメントの一つです。

子ども時代はTVゲームをやり尽くし、学生時代は作家を志し、いまはディズニーを仕事にしている私は、asobi基地で遊ぶ子どもたちを見ていて、確かにそう思います。

 

asobi基地とは「子どものやりたい!という意欲が豊かに引き出されている場」

asobi基地は、保育士の小笠原舞さん、こども精神科医の小澤いぶきさん、子育てアドバイザーのよしおかゆうみさんの3人によって、2012年に設立されました。

asobi基地 オトナもコドモも平等な場所

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今では、子育て支援コミュニティ全体の名称となっていますが、大元は、特徴的な子どもたちの遊び場の名前です。

“子どもたちの遊び場” としてのasobi基地は、子どもの自由な発想や、「やりたい!」という意欲が、豊かに引き出されている場を指します。

物理的な特徴は、はさみ、のり、セロテープなどの「シンプルな道具」と、紙コップ、ダンボール、画用紙などの「素材」しかない、ということです。

そんなもんで遊べるのか、と思うのが、大人の感覚ですが、子どもの想像力、固定観念に縛られていない自由さというのは、本当に凄いんです。

好きに遊んでいいとわかると、子どもは次から次へと遊びを作り出します。

 

子どもに「ダメ」と言ってはいけない

子どもの「やりたい!」という意欲が引き出されるようにするには、どうしたらいいか。

いくつかポイントがあるのですが、第一に「否定しない」「禁止しない」ということが重要です。

大人だってそうですよね。会社の上司に「会社の不利益になることはするな」と頭ごなしに叱責されたら、やる気がなくなります。

有能な上司は、「それはいい。会社の不利益にならないように、どういうやり方があるか、アイデアを出してみてくれ」と、肩をポンと叩く。

「危ないからそんな持ち方しちゃダメ!」と言いたくなるけれど、ちょっと一呼吸。彼の笑顔を見よ。楽しくてたまらないのだ。「手をこっちにもってきて、ここを持ってごらん」と、刃の下に手がこないように誘導。「ハサミがここ(手)に刺さったらどうなるかな?」と捕捉するのもいい。

「危ないからそんな持ち方しちゃダメ!」と言いたくなるけれど、ちょっと一呼吸。彼の笑顔を見よ。楽しくてたまらないのだ。「手をこっちにもってきて、ここを持ってごらん」と、刃の下に手がこないように誘導。「ハサミがここ(手)に刺さったらどうなる?」と補足するのもいい。

asobi基地では、子どもの自由な発想を引き出すために、子どもに対して「ダメ」と言ってはダメ、というルールがあります。

「ダメ! あなたにはまだ危ないから、ハサミは触らないで!!」

我が子に、こんなことを言っていませんか?

「こういうふうに持ってごらん。じゃあ、一緒に切ろうか」

同じ「安全に遊ぶ」という目的でも、禁止するかどうかで、こんなにも印象が変わってきます。

 

たった2,000円で立派なasobi基地ができる

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asobi基地は、近所に100円ショップさえあれば、2,000円程度で、誰でも自宅で簡単にできます。

・はさみ(2つ)
・のり
・セロテープ
・クレヨン
・色画用紙
・折り紙
・紙テープ
・洗濯ばさみ
・パステルカラーのふせん
・紙コップ
・割り箸
・リース(玄関の飾り)の原型
・スポンジトレイ
・パーティ飾り
・ふとんたたき
・シューズハンガー

上の写真にあるものは、以上の17アイテム。

100円ショップなので、税込1,836円です。

【ポイント】
・遊び方が決まっているもの(オモチャ)は除外する
・何を買っていいかわからなかったら、子どもたちに選ばせる
・大人の感覚で「こんなもの、つまらない」「遊びの道具じゃない」と決め付けない(この日の一番人気は、ふとんたたきとシューズハンガー。大人の感覚ではまず選べないアイテム)
・床のシートは必須ではないけれど、あると特別感が出て、子どもたちが喜ぶ
・なるべく禁止しないで済むように、「場所選び」や「準備」を万全に
・たとえば、壁に絵を描きそうだったら、最初から壁に模造紙を貼っておこう

 

asobi基地らしい場を作るための、親の心構え

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asobi基地には、4つのルールがあります。

これを噛み砕いて、具体的にどうすればいいか、私なりに「親の心構え」を解説すると、以下となります。

 
1. 子どもの「やりたい」という意欲を最優先に尊重する。「まだ小さいからできない」「危ない」でなく、「どうしたらやらせてあげられるかな?」と考える

2. 禁止・否定する言葉は使わず、うまく言い換える(例:走っちゃダメ! → 歩いてね)

3. 子どものやりかた、遊び方が変でも、口出ししないで見守る。大人の自分には考えつきもしない遊びを連発する我が子を、褒め称えよう

4. 親の価値観で、正解を押しつけない。asobi基地はテストじゃない。「ちゃんとできるか」ではなく、「楽しいかどうか」が何よりも大切

 

おうちでasobi基地のススメ

とまあ、偉そうに書いていますが、私も普段からこんなにゆったり構えていられるわけじゃありません。

ほとんど毎日のように、子どもたちを叱り飛ばしていますし、「ダメ」と言うことも多々あります。

そんな中、自宅でasobi基地をやってみると、不思議といろいろ諦められます。

どんなにメチャクチャな遊び方をして、散らかしても、まあasobi基地だから仕方ないか、と。

子どもたちの自由さや、個性を、見つめ直す機会にもなります。この子はあんな感性を持っているんだ、こんな遊びが好きなんだ。

何より、夢中で遊ぶ子どもたちを見ていると、豊かな気持ちになれるんですよね。

まずは、Facebookページでasobi基地のイベントを探して、「なるほど、こういう感じなのか」と肌で感じる。

次は、自宅でやってみる。

本当に、誰でも簡単にできてしまうので、おすすめです。

 
ということで、asobi基地常連のみなさま。自宅でasobi基地をやって、レポートをUPしましょー!

レポート総数100件とか積み重なったら、なんだかムーブメントになりそうな気がしないですか?

75月

asobi基地アウトドア部をはじめました。

近況報告。2015年春から、『asobi基地』で、「asobi基地アウトドア部」をやらせてもらうことになりました。

asobi基地 アウトドア部 | 仲間を見つけて、asobi基地らしいアウトドア遊びを楽しもう!!

 

asobi基地=子どもの自由な発想、「やりたい!」という意欲が、豊かに引き出されている場

asobi基地は、保育士の小笠原舞さん、こども精神科医の小澤いぶきさん、子育てアドバイザーのよしおかゆうみさんが2012年に始めた、子育て支援コミュニティです。

各種メディアに取り上げられたり、クラウドファンディングに3度成功したり、と露出が増えてきているので、ご存知の方も多いんじゃないでしょうか。

asobi基地とは、一言で説明すると、子どもの自由な発想や、「やりたい!」という意欲が、豊かに引き出されている場のことです。

そこにあるのは、新聞紙、ダンボール、紙コップ、はさみ、のりなど、素材と、最低限の道具だけ。

するとあら不思議、思いのままに遊ぶ子どもたちは、親の私たちが今までに見た経験がないくらい、いきいきとした姿を見せるんです。

 

第1回asobi基地を偶然見つけて遊びに行った縁

asobi基地には、「子どもに“ダメ”と言ったらダメ」など、4つのルールがあります。

私は、第1回asobi基地をネットで偶然見つけて、遊びに行っているんですけど、「これだ!」と直感したんですよね。

以来、ユーザとしてイベントにちょくちょく遊びに行きながら、ブログでasobi基地を取材記事にしたり、

asobi基地 | Handmade Future!

代表の小笠原舞インタビュー記事を制作したり、

【前編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “女性の権利は語るのに「こどもにとって」は議論しない日本社会”

HP制作の相談に乗ったり、キャスト向けにブログ運営&Webライティングをレクチャーしたり、と色々な関わりが続き、現在に至ります。

 

たくさんの人が、asobi基地らしいアウトドア遊びにアクセスできるように!

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以前、コールマン・ジャパンの広報さんに聞いたんですが、子育てファミリーのアウトドア需要というのは、相当なものなんだそうです。

ほとんど全ての親が、「子どもを自然の中に連れ出したい」と思っている。

ただ、アウトドアに慣れていない親にとっては、たとえばキャンプに行こうとしても、どうしていいかわからない。ハードルが高い。

だからこそ、「asobi基地アウトドア部」の存在意義があります。

asobi基地のフィロソフィーに共感する人たちが、asobi基地らしいアウトドア遊びに気軽にアクセスできるように、プラットフォームを作ってしまおう、と。

当面は、私自身がイベントを引っ張っていくことも少なからずあるかもしれないですが、基本的にはマネジメントが役割だと思っています。

 

asobi基地でのキャンプは、最高です。

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実は、アウトドア部は、いきなり始めたわけじゃないんです。

足かけ2年くらいの試行錯誤があって、いよいよ形にできるかな、というところで、まあ諸々のタイミングもあって、発足しました。

何度かトライアルをやっているんですけど、asobi基地でのキャンプは、最高です。

特に、昨年7月のキャンプ。私を知っている人はご存知のとおり、我が家は、年5〜10回くらいはキャンプをするんですが、今までのどんな大人数キャンプよりも、居心地が良かったんですよね。

もともと、「素材こそが、子どもたちを輝かせる」という考え方のasobi基地なので、素材しかない自然の中に持ち出したら、そりゃ素敵な空間になるはずなんです。

と同時に、参加メンバーは全員、asobi基地の価値観に共感して集まった人々なので、子どもたちを見守る視線が同じなんですよ。

これが、本当にすごい。大人も子どもも、それぞれが自由に関わり合う。よく知っている人も、そうでない人もいるけれど、互いにフォローし合える信頼感がある。

ピンと来た方は、ぜひホームページをチェック。

もうすぐ、asobi基地キャンプ2015の募集を開始しますよ!

asobi基地 アウトドア部 | 仲間を見つけて、asobi基地らしいアウトドア遊びを楽しもう!!

132月

こどもの立場になって世界を見てみたら何が見えてくるだろう。『こどもみらいdesignフォーラム 2014』レポート

小笠原舞さん、小竹めぐみさんが共同代表を務める「こどもみらい探求社」による『こどもみらいdesignフォーラム 2014 〜人権って何だろう?〜』(2014年2月11日開催)を取材してきましたので、レポートします。

「人権」はともすると堅苦しく感じられてしまうテーマですが、集ったスピーカーが多様性にあふれ、また “フォーラム” といいながらも対話をベースにしていたため、とても豊かで興味深い場となっていました。

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大人のみなさん。今日はみなさんに質問があります。

『こどもみらいdesignフォーラム』とは、

既にこども達の未来をデザインしている人同士が思いや考えを知り合い、学び合う日。

毎年、こどもに関わる社会課題の中から1つをテーマに掲げ、新しい気づきを得ることにより、こどもにとって、さらによりよい未来を一緒につくっていく場。

と、こどもみらい探求社のホームページに説明があります。

第1回のテーマに選ばれたのは、「人権」。なぜ、わざわざ堅苦しい「人権」というテーマを選んだのか。

想像するに、小笠原舞さん、小竹めぐみさんの思いを突き詰めていくと、結局はすべてが「こどもの人権」からスタートしているからではないでしょうか。

二人の共同代表の思いを端的に表しているのが、『こどもみらいdesignフォーラム』のために制作した、わずか100秒少しのこちらのPVです。

大人のみなさん。今日はみなさんに質問があります。

大人とこどもの違いはなんですか?

なぜ、個性は大事なんですか?

どうしたら、個性は見つかりますか?

どうしたら、楽しい人生を送れますか?

大人になれば、人生は楽しくなりますか?

私たちは将来、笑顔でいられますか?

きっと、人によって受け取り方は千差万別でしょう。私は、普段は隠れている、心の中にあるいちばん大切なものが浮かび上がってくるような感覚がありました。ジンときますね。

 

カタリストBAに集った「こどもの未来をデザインする」多士済々

会場は二子玉川のカタリストBA。噂には聞いていて、初めて足を踏み入れましたが、とても居心地のいい場所でした。

カタリストBA | Creative City Consortium

「既にこども達の未来をデザインしている人同士が思いや考えを知り合い、学び合う」という目的のとおり、保育士、小学校教諭、市会議員、NPO代表など、こどもに関わる多士済々が集いました。

また、スピーカーも、障害などのハンディについて(須藤シンジさん)、セクシュアルマイノリティの孤独感について(前田健太さん)、マイノリティを排除している現実について(東ちづるさん)、グローバル視点でのこどもの人権について(山下瑛梨奈さん)、ハーフやミックスというマイノリティについて(矢野デイビッドさん)と、非常に多様性を実感できる面々でした。
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こどもと一緒に参加した方も多く、会場内にはこども自由に遊び回っていました。
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asobi基地も併設されていて、こどもたちはのびのび過ごせる環境が用意されています。
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こどもみらい探求社の共同代表、小笠原舞さん(左)、小竹めぐみさん(右)。協賛をいただいたという、フェイス・ペイントとして利用できる天然ゴムラテックスを原料とした絵の具『ハガレックス』を試しているシーンです。
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「違いは、個性。ハンディは、可能性」(須藤シンジさん)

じっくり時間をかけ、参加者同士が互いを知り合ったのち、オープニングトークへと移ります。

スピーカーは、特定非営利活動法人「ピープルデザイン研究所」の須藤シンジさん。
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次男が脳性麻痺で出生し、障害児の親となったのをきっかけとして、障害者を特別扱いし、一般の健常者を分けて扱う福祉の世界に疑問を持ち、様々な活動を展開しています。

■バリアフリーの “バリア” は、ハード(物)ではなくて、心(ハート)のバリア

■田中、佐藤、鈴木、高橋、渡辺の姓を持つ人と、障害者の数はほぼ同数(姓は2013年末の明治安田生命調べ)。五つの姓の友人がいる人は大半だが、障害者の友人がいる人は少ない

■学校でクラスが分かれているなど、障害者は分けられており、幼少期から「障害者は違う」と刷り込まれていく

■駅員さんが車いすを誘導する、なんてやっているのは日本だけ。外国では乗客が手伝うのが自然

■誰もが持っている「思いやり」を “動き” に変えていくスイッチを、ファッション、スポーツ、エンターテイメント等を通して発信していきたい(=ピープルデザイン)

印象的だったのは、「困っている人がいれば、手伝ってあげればいい。でも我々は、「下手に手伝って迷惑をかけてしまったらどうしよう」など、できない理由を探してしまう」という指摘でした。

私自身もまさに思い当たります。日本人は差別意識を持っているというよりも、健常者以外は別である、自分の役割でなく専属の人の役割、と分けて考えてしまう環境にあるのだと認識できました。

 

傾聴のあとは対話

対話を重視する『こどもみらいdesignフォーラム』では、以上のような話をただ傾聴するだけではなく、思ったこと、感じたことを3人程度のグループを作って共有し、参加者がさまざまに気づきを得てゆきます。
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さらに、気づきを全体で共有します。
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世界から学ぶ子どもの「人権」(山下瑛梨奈さん)

続いて、こどもの権利について知り、考えるパートへと移ります。

登壇者は、NGOアムネスティインターナショナルジャパンの山下瑛梨奈さんです。専門家の立場から、グローバル基準での人権についてレクチャーがありました。
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■世界で最も広く支持されている「児童に関する権利条約」(こどもの権利条約)には、「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」という4つの権利が明記されている。4つの権利を守るために、国や家族や個人の義務と責任が明記されている

■理念は「差別のない処遇」「こどもの最善の利益」「生命、生存、発達の権利」「こどもの意見の尊重」の4つ

■193カ国が批准しているが、実態は様々。世界中のこどもの7人に1人が労働せざるを得ない環境にあり、19カ国25万人がこども兵士として徴用されているなど

■日本のこどもでは、社会において当たり前とされる生活が困難な「相対貧困」の割合が約15%という問題等がある

日本人が考えている「人権」は、世界基準での「人権」と乖離している、という指摘が印象に残りました。

須藤シンジさんの話とも通じますが、日本は経済や文化では先進国となれたのに、人権や福祉の価値観では世界とは隔絶してしまっている問題点があります。
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まぜこぜ社会がおもしろい(東ちづるさん)

お昼休みを挟み、様々なこどもを知り、考える時間へと移ります。

午後最初の登壇者は、TVでおなじみの女優・東ちづるさん。骨髄バンク、ドイツ平和村、アールブリュットの活動支援等のボランティア活動を20年以上続けており、現在は一般社団法人「Get in touch」の理事長でもあります。
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東ちづるさんの全身から滲み出ていたのは、「おかしいものはおかしい」という意志の強さです。さまざまな活動を展開するなか、「Get in touch」を立ち上げるきっかけになったのは、東日本大震災だったそうです。

震災で壊れたのは、建物など物理的なものだけではありません。町の機能などソフト面も停止しました。すると避難所では、普段は交わる機会のない人たちが交わる結果になりました。車いすの人、発達障害の人、セクシュアルマイノリティの人、高齢者、病人、外国人などなど。

当時、報道では、「絆」など希望ばかりが取り上げられていたのは、記憶に新しいところです。が、現実には、これら少数派の人が結果的に社会的弱者になり、被災によってさらに追いつめられてしまっていました。

これもやはり、須藤シンジさんの「心のバリアフリー」に通じるところがあります。我々は意図的に排除しようとしているわけではないけれど、普段から分断されてしまっているので、(特に余裕のない状態では)マイノリティに気を配るという概念が抜け落ちてしまうわけです。

東ちづるさんは、誰も排除しない「まぜこぜ」社会を実現するために、一般社団法人「Get in touch」を立ち上げるに至ります。「Get in touch」の活動そのものがとてもクールで興味深いものですが、詳細に説明していると記事が丸々一本出来上がってしまうので、別途紹介します。
Get in touch! PROJECT | getintouch.or.jp

今回、私は初めて東ちづるさんのトークを目の当たりにしたのですが、会場をアグレッシブに引っ張ってゆく力強さがあり、話の内容も興味深い事例が多く、とてもおもしろい時間を過ごさせていただきました。また、参加者からは、「大笑いして涙して、心に染みる言葉をたくさん頂きました」などの声も聞かれました。
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セクシュアルマイノリティの孤独感を涙ながらに語る(前田健太さん)

続いての登壇者は、男性同性愛者の立場から、LGBTについて語り、セクシュアルマイノリティの人々の居場所をつくろうと活動する “はる” (前田健太)さんです。
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自らのセクシャリティについて、自らの意志で他人に伝える “カミングアウト” についての、はるさん自身の比喩が印象的でした。

すなわち、底の見えない中でロープが垂らしてあって、今の安全を守るために、必死にロープにしがみついている状態であると。しがみついているので、自由は奪われているわけです。

未来を切り開くためには、ロープから手を離して飛び降りなくてはいけないように思う。けれども、底が見えないので、そのまま死んでしまうかもしれないし、大けがをしてしまうかもしれない。底知れぬ不安がある。

もし、底から、「ここは大丈夫だよ」「安心してこっちへきて」という声が聞こえてくれば、どんなに勇気づけられるかわからない、と、何度も感極まりながら、はるさんは訴えます。

 

世界中でシェアしあうことで、世界は幸せになる(矢野デイビッドさん)

最後の登壇者は、矢野デイビッドさん。父が日本人、母がガーナ人のハーフであり、波乱万丈の半生の経験から、存在自体がマイノリティであるハーフやミックスという存在について語ります。

軽妙なトークで会場に笑顔をもたらし、自分が殺されるかどうかという深刻な場面の描写でも、常にジョークを交えて笑わせる人柄が、とても印象に残りました。私も、何回声を出して笑ったかわかりません。
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6歳で日本に来て以来、ガーナを一切知らずに育ったデイビッドさんは、常に自分のアイデンティティについて悩まされたと言います。

日本でサッカーをやっていると、あのチームには外人がいるぞ、と言われる。目立つのは嫌だと、ガーナへ行ってみると「君は一瞬でガーナ人じゃないとわかるよ」と言われる。ならば自分は何者なのか。

結局、「自分はどこの国の人間か、肌の色はどうか」ということよりも、「これからどういう人間になろうか、ということを積み重ねて行こう」という結論に達します。

自らの経験を振り返って「難しい」と感じるのは、存在そのものがマイノリティであるハーフやミックスは、周囲の大人をロールモデルにできないことだ、とデイビッドさんは語ります。

また、日本とガーナの両方を知って、必ずしも資本主義の物差しだけで優劣は決められないと実感したといいます。例えばガーナでは、障害者がいても自然に助け合うので、すぐには障害がある子だとは気づかないほど。

経済的に発展しているからと言って、日本からガーナに持っていくばかりではなくて、ガーナ(ほか外国)から分けてもらう要素もあるのではないか、それこそが個人の幸せにつながるのではないか、という指摘は、新鮮な驚きに満ちていて、とても共感できました。
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対話〜チェックアウト

ブレイクタイムを挟み、『こどもみらいdesignフォーラム 2014 〜人権って何だろう?〜』はクライマックスへと向かいます。

①こどもの自由な権利:大人がこどもを保護する権利。どこまでが、こどもの為となるのだろう?
②こどもの人権が、守られていない現実の根本原因は何だろう?
③そもそも人権って何だろう?
④人権における、日本ならではの難しさ・可能性って何だろう?
⑤一番近くのこども とても遠くのこども それぞれの人権を大切にするために出来ることは何だろう?

以上の5つのテーマに分かれ、4人程度のグループでの対話の時間です。
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ゆっくりと対話を重ねたのち、全体でシェア。
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全員で大きなサークルをつくり、この日に得られた気づきや、生まれた思いを、

「人権とは●●、私の役割は●●」

という一文にまとめ、共有します。
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以上で『こどもみらいdesignフォーラム 2014 〜人権って何だろう?〜』は終了しました。10:00〜18:00の長丁場でしたが、非常に濃密で、多様性に溢れ、充実した時間でした。

 

一緒に活動するあなたとつながる

『こどもみらいdesignフォーラム』は、2014年を皮切りに、テーマを変えて毎年開催予定とのことです。

なお、主催の「こどもみらい探求社」とともに活動したい方は、

いろいろな方と手をつなぎたいと思っています。手をつなぎたいなーと思った方は、ぜひ連絡をください。(小竹めぐみ)

ということでしたので、ぜひ連絡をしてみてください。
こどもみらい探求社 | 子ども達にとって本当にいい未来を探求し続ける

また、東ちづるさんの「Get in touch」も、あらゆるマイノリティ団体や関連活動とつながり、ムーブメントを起こそうとしています。誰も排除しないで一緒にいる「まぜこぜ」な社会に賛同する方は、ぜひコンタクトしてみてください。
Get in touch! PROJECT | getintouch.or.jp

2611月

子ども達のことを考える1週間が、日本の未来を変える。|Child FutureSession Week

こどもや、こどもを取り巻く環境のために何かしたい。でも、具体的にどう行動していいのか、わからない。

Child FutureSession Week(チャイルド・フューチャーセッション・ウィーク)は、そんなあなたのための1週間です。

年齢・性別・職業等問わず、誰でも参加できます。こどもたちのために、新しい何かを始めてください。あるいは、新しい何かを始めようとする人を、あなたなりのやり方で応援してください!

 

とある保育士の新しい挑戦

当メディアで、7,000いいね!を超える反響となった、小笠原舞さんのインタビュー記事を覚えているでしょうか。

前編では待機児童政策への問題提起を、後編では問題を認識した上でどう行動していこうとしているかが語られています。

【後編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “一人では変えられない社会も、それぞれが自分事として取り組めばいつかシフトチェンジする”

『Child FutureSession Week』は、後編で語られている “社会を動かすための取り組み” の一つである、Child FutureSessionの進化形です。

Child Future Session Week

日程:2014年2月8日(土)〜15日(土)

単発のフューチャーセッションだけでは、大きなムーブメントを生み出したり、社会に強いインパクトを与えるのが難しい。

そこで、「こども」をテーマに、各分野の人々が同時多発的にフューチャーセッションを開催する1週間を企画したというわけです。

 

誰でも参加できる

フューチャーセッションの特徴は、けっして門を閉ざさないということ。

「こどもや、こどもを取り巻く環境のために何か行動したい」という思いと、セッション個別のテーマ(人権、伝統文化、お金、モビリティ、政治、多様性、インクルーシブ、防災コミュニティ、まち、音楽、学生、アウトドアなどなど)に関心さえあれば、誰でも参加できます。

教育関係者や、子育て中の親はもちろん、役所職員、ライター、会社員、土木作業員、社会起業家、トラック運転手、医者、Webデザイナー、カメラマン、ミュージシャン。

いえ、何なら近所のオバちゃんや、年金生活をしているお年寄りだっていいんです。

他の人とは違った、あなたならではの視点を求めています。自分がこんなところへ行って大丈夫かな? とちょっと不安になるような人こそ、フューチャーセッションには必要です。

 

仲間や同志を見つける場

フューチャーセッションとはなんぞや。

細かいことは気にしなくてOKです。

Child FutureSession Week期間中に設けられるさまざまなセッションは、「こどもや、こどもを取り巻く環境のために何か行動しなきゃ」と思っていたあなたが、仲間や同志を見つける場となります。

「こんなことができたら、面白いよね」
「いいね。それ、絶対やろうよ!」

同じ志を持った誰かと理想像を共有することができたら、あとは実現に向けてリサーチし、細部を詰め、実行に移すだけ。

そんなに簡単に行くの? と疑う方もいると思いますが、(場づくりに成功すれば、という条件付きですが)うまくいきます。フューチャーセッションは、世代間ギャップや、組織間の硬直した対立関係すら無効化してしまうケースすらある、優れた方法論です。

 

先頭には立てなくても、共感できる人を応援する方法がある

毎日の生活や仕事に余裕がなければ、自分が先頭に立って新しく何かを始めるのは、難しいかもしれません。

そんなときは、共感できた人の取り組みを応援する、という関わり方があります。

もちろん、共感できる人が見つからなかった場合は、そっと帰ってくればOKです。強制する人なんか、どこにもいません。ここでは、いやいやながら関わる人など、求められていないからです。

 

自分なりの特徴や個性を活かして関わる

応援の仕方や、関わり方はさまざまです。

Webデザイナーなら、新しくはじめる取り組みのWebサイトを作るという関わり方。ライターなら、広告ちらし制作を手伝ったり、イベントのレポート記事を書くという関わり方。会社員なら、会社として協力できることがないか考えたり、近所のオバちゃんなら近所付き合いを活かして人を集めたり。

自分の得意とする方法、自分がやりたいと思える方法で、自由に関わる道があります。

 

好奇心の強い人は12/14(土)のプレセッションへ

セッションに参加することもできますが、セッションを企画して開催することもできます。

そのためにアイデアを練ったり、仲間を見つけたりするための企画が、こちら。

Child Future Session Week プレ・フューチャーセッション

日時:2013年12月14日(土)10:00〜12:30
場所:イトーキ京橋SYNQA

Child FutureSession Weekは、株式会社フューチャーセッションズ(取締役は第一人者の野村恭彦さん)が総合企画として関わっています。セッション開催のノウハウが無償提供され、開催日までサポートしてくれるはず。フューチャーセッションの方法論が気になっていた、という方にもおすすめですね。

 

全力で応援!

ということで、「こどもや、こどもを取り巻く環境のために何か行動したい」と思っていたあなた!

出番が来ましたよ。

ちなみにわたくし寄金は、FutureCenterNEWS JAPAN編集長として、主旨に賛同し、Child FutureSession Week期間中に開催されるセッションを、一つでも多く取材して、みなさんにお届けする予定です。

来年2月が楽しみです。

257月

ステークホルダーの結集こそが次なるステップ|6,000いいね!「小笠原舞さんインタビュー記事」への反響を振り返る

7月22日(月)に公開した小笠原舞さんのインタビュー記事は、7月25日(木)午前の時点で、6000いいね!・300ツイートの反響をいただきました。

【前編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “女性の権利は語るのに「こどもにとって」は議論しない日本社会”

 

Twitter上での賛否は五分五分

Facebookのいいね!に関しては、基本的にポジティブな反応であるケースが多いだろうとは想像していますが、言及の仕方を確認するすべがありません。

そこで、オープンに言及されているTwitterでの反応を紹介したいと思います。


手作業で集計したところ、

共感・賛同 30件
条件付or部分的賛同 4件
異論・反論 24件
賛否表明なし 48件

となりました。同一アカウントの複数言及は1件としてカウントしています。またRTは賛否を判断できない(または、判断するために多大な労力が必要)ので、カウントしていません。

賛否の判断など集計の仕方によって多少の変動はあるかもしれませんが、Twitter上での賛否はほぼ五分五分と理解しています。

 

賛否の内容

小笠原舞さんの「“こどもの気持ち” を中心に保育政策や子育て支援をつくりませんか」という呼び掛けに、「同じ思いだった」という保育現場の方、「ハッとさせられた」という保護者を中心に、共感や賛成の意思表示がありました。

一方で、保育行政の立場にしてみれば、ただでさえ不充分な保育施設や子育て支援を、必死に拡充させてきた流れがあります。本記事は水を差しかねないと捉えられてしまったようで(この点については、おそらくフローレンスの駒崎さんには、記事の作りがミスリードを招きやすくなっているだけで、誤解だと理解いただいていると思います)、「質と量の二元論で語るべきではない」「今困っている人への対策がない」と批判がありました。

また、私の記事の作り方や、インタビューの仕方に対する批判もありました。二児の親としての率直な感想を投げかけたにすぎず、どなたかにご迷惑を掛ける可能性があるのは重々承知のうえで、覚悟をもって発信しています。不快な思いをされた方は、どうぞご容赦ください。

また、「よくある “こどもがかわいそう” という話」「持論の補強のためにこどもの気持ちを利用している」という意見は、誤読であり、きちんと読んでいただければ絶対にそのような解釈にはなるはずがないという見解です。また、小笠原舞さんの思いとも全く異なります。メディア運営責任者として明確に否定します。

 

保育行政クラスタと保育現場クラスタの融合こそが次なるステップ

こうして賛否を紹介したのは、どちらが正しいかを決めるためではありません。まったく同じ構成の同じ記事を読んでいるのに、捉え方が180度異なっている事実を明確にするためです。

これは立ち位置の違いの影響なのだろうと解釈しています。同じ “保育” というテーマにかかわり、よりよい社会をつくろうという思いでは共通しているはずですが、保育行政を中心に見ている人々と、保育現場を中心に見ている人々の間には、大きな隔たりがあるのだと実感しました(念のため、保育行政と保育現場というくくりは大雑把なものです。両方に関わっている方もいるでしょうし、例外もあるのはもちろんです)。

よりよい子育て支援社会をつくっていくためには、本来は同じ目的を持っている両者が、協力して取り組んだほうが遙かに効率的であり、大きな影響力になるのは言うまでもありません。

 

対話による相互理解がソーシャルイノベーションを生む

とは言え、一見すると水と油にすら見える両者が手を取り合うことなんかできるのか、と疑念を抱く方もいるかもしれません。

実は、利害を同じくする者同士が力を結集して事に当たるための方法論は、すでに確立されつつあります。フューチャーセンターに代表されるように、対話を重ねてお互いの思いを共有し、相互理解を深めていく手法です。私はまったく心配していません。ステークホルダーの力を結集できれば、社会変革のスピードが加速します。

いま、小笠原舞さんが具体的アクションを探っています。もとより、インタビュー記事は、具体的なアクションに繋げることが目的でした。

この記事をベースに、保育士と、保育園を利用するお父さんお母さんと、行政、企業の方たちを集めて、待機児童問題や保育園について、こども達にとって作りたい社会について、話がしたいですね。文句を言いあうのではなくて、代替案などを出しながら話し合い、しっかりとみんなで協力して、形にして具体的に未来を変えていけるように。

【後編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “一人では変えられない社会も、それぞれが自分事として取り組めばいつかシフトチェンジする”

何かしら対話の取り組みが実現したあかつきには、記事に賛成だった方はもとより、異論・反論がある方も、ぜひ参加していただきたいと思います。インターネット上で明らかになった学びを活かして、実社会を動かしていきたいと思います。

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