実践者・現場主義者は迷わず進め。常識に囚われて歩みを止めるな!

「理由はよくわからないけど、なぜか●●するとうまくいく」みたいな、経験上の知恵ってありますよね。仕事でも、社会貢献活動でも、趣味でも、なんでもそうです。どういうわけか、偶然と呼ぶわけにはいかない確実性がある。

昔から、“職人の勘” とか “洞察力” とか “直感” と言われてきたものです。

これらって、ともすると軽視しがちですよね。優秀な人ほど、「機能する理由がわからないのは、分析を怠っているから」と考えるはずです。

常識的には、物事を細かく分割し、丁寧に分析していけば、(対象が大きければ労力が必要かもしれないが、最終的には)結果が出た理由を理解できると考えられています。

でも、田坂広志・著『まず、世界観を変えよ――複雑系のマネジメント』では、これがすばらしく明快な理屈で否定されてます。

まず、世界観を変えよ――複雑系のマネジメント

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しかし、実は、「複雑な問題」は、それを小さな部分に「分割」し、どれほど徹底的に「分析」しても、その解決策は見つかりません。

なぜなら、この世の中には、一つの冷厳な「法則」があるからです。

物事が複雑になっていくと、「新たな性質」を獲得する。

その法則です。

それゆえ、物事を「分析」するために、それを小さな部分に「分割」すると、その瞬間に、獲得された「新たな性質」が消えてしまうからです。

これは僕は、めちゃくちゃ納得しました。というか、大興奮ですね。たぶん、経営者やリーダー、現場主義の方、実践者ほど、「そうか、だからだったのか!」と溜飲を下げるはずです。

例えば地域おこしで、「どこそこでこんなお土産が流行っているから」と真似をしてみたけど、ちっとも売れない。成功しているマーケティングを流用したのに、思うような成果が出ない。

こういうのって、分析が足りずコピーが不十分だから失敗しているわけじゃないんです。同じ部品を使えばまったく同じものが完成する、という機械的世界観が間違っているんです。

物事が複雑になっていくと、「新たな性質」を獲得する。

物事を「分析」するために、それを小さな部分に「分割」すると、その瞬間に、獲得された「新たな性質」が消えてしまう。

相乗作用とか、シナジーとか呼ぶものを軽視してはいけない。副産物などではなく、むしろ本質なんです。

これら “複雑系” となった物事や組織は、さながら生命みたいなもの。コントロールできるような代物じゃないんですね。

帯にはこうあります。

「分析ではない。洞察をせよ。」

この本、まちがいなく、数年間は僕のバイブルになります。

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