実写『シンデレラ』は子連れで観に行ったほうがいい、と断言する3つの理由

ディズニーメディアのディレクターとして、いちディズニーファンとして、そして何より6歳と3歳の子供の親として、断言します。

実写『シンデレラ』は、子連れで観に行くべきです。

映画として文句なしの傑作

はじめに、実写『シンデレラ』の映画としての評価をしておくと、これは文句なしの傑作です。

ディズニーのおとぎ話が好きだろうが、嫌いだろうが、そんなことはお構いなしに、「映画として優れた作品である」という、敢然たる事実があります。

リリー・ジェームズ(シンデレラ役の女優)の存在だけでも、映画館で105分を費やす価値があると感じる人がほとんどだと思います。

来日記者会見で、リリー・ジェームズ本人を見ました。

彼女は「女優として」という前に、ひとりの人間として、知的で、ユーモアがあり、自分自身であるということを怖がらない(たとえば、照れも戸惑いも、ありのままに表現できる)、魅力的な女性でした。

監督ケネス・ブラナーは、シェイクスピア劇出身の俳優でもあります。王宮のシーンを描かせたら、ピカイチなんです。

私は(ディズニーに対し)「古典的(Classical)なシンデレラをつくりたい」と答えました。
伝統的であり、おとぎ話ではあるんだけれども視覚的に豪華な作品でもあって、キャラクターと演技がとても現代的な作品をつくりたい、と答えたんですね。

【前編】『シンデレラ』監督インタビュー「なぜ今“シンデレラ”を実写化するのか?」

監督本人にインタビューをしましたが、たとえば最大の見せ場の一つである舞踏会のシーンなど、クラシカルで、素晴らしく豪華です。

映画館の大きなスクリーンで見る価値のある、掛け値なしの映像美と言えます。

実写『シンデレラ』を子連れで観に行くべき3つの理由

私には6歳と3歳の子どもがいます。きっと、同世代のお父さん、お母さんが気になるのが、

ディズニーのおとぎ話『シンデレラ』とはいえ、アニメーションではなく実写映画でしょう? 幼児や、小学校低学年の子どもと一緒に観に行けるかしら?

ということだと思うんです。

私は、心配しなくていい、という意見です。いや、むしろ、子どもを連れて観に行くべきだと思います。理由は3つです。

1. 同時上映の「アナ雪」新作短編がおもしろい

はなっから『シンデレラ』と無関係ですみませんが、同時上映が、子どもたちが大好き『アナ雪』の新作短編『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』です。

本編の前に上映する、おまけのような短編なので、本当に短いです。

が、流石は乗りに乗っているウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。

映画館を出てから、子どもたちに、

「映画はどうだった?」

と聞くと、1時間45分の『シンデレラ』本編を見終わった直後にもかかわらず、

「おもしろかった! アナの誕生日のお話が!!」と答が返ってくるくらいには、むちゃくちゃおもしろいです。

人気キャラが総登場するうえに、各キャラクターの個性が生きている!

『Frozen 2』(アナ雪2)の製作が決まっていますが、エルサが作った氷の城が残っていたり、とある主要キャラの現状が垣間見られたり、次回作に向けていろいろ想像をたくましくすることもできます。

2. 子どもたちが大人になったときに、周囲に自慢できる

たとえば、1950年公開のアニメーション『シンデレラ』を、リアルタイムに映画館で観ていたとしたら、ちょっとした自慢話にできます。

古典『シンデレラ』は、ディズニー・ラブストーリーの原点であり、ディズニーのDNAとも言える作品だからです。

今回の実写『シンデレラ』が傑作である、という事実は、冒頭でさんざん語りました。

単に優れた映画であるだけでなく、ディズニーの新しい歴史を作る作品になった、と私は思っています。

【実写映画『シンデレラ』レビュー】パーフェクト。今後「ディズニーのシンデレラ」と言えばこの作品を指すようになる(1/3) – D*MANIA

ケネス・ブラナー監督インタビューで、とても興味深いコメントがありました。

ディズニーは、新しく、ポジティブな「始まり」の機運を感じていて、アニメーションを実写化していく創造的なプランの先駆けとして、『シンデレラ』を考えていたようです。

【前編】『シンデレラ』監督インタビュー「なぜ今“シンデレラ”を実写化するのか?」

ジョン・ラセターをトップに迎え、『塔の上のラプンツェル』で復活を果たしたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオは、『シュガー・ラッシュ』『アナと雪の女王』『ベイマックス』と、立て続けに、世界を感動の渦に巻き込む作品を世に放ちました。

アニメーション部門は、数十年後に「黄金期」と呼ばれるに違いない、奇跡的な成果を出し続けています。

一方の実写『シンデレラ』は、ケネス・ブラナーの言葉を信じれば、ディズニー実写部門のマイルストーンとなるべく製作された作品なんです。

3. 子どもたちに見せたい、と思える作品に仕上がっている

そして実際、実写『シンデレラ』は、ディズニー実写部門が “新時代” を宣言するに値する作品です。

実は私は、古典『シンデレラ』をはじめ、ディズニーの古いおとぎ話を、子どもたちに積極的に見せたいと思った経験がありません。

ところが、試写で実写『シンデレラ』を観て、これは絶対に子どもたちに見せなければ!と直感したんです。

なぜなら、実写『シンデレラ』は、「堪え忍んでいたら、幸運や魔法が助けてくれた」という古くさい物語ではなかったから。

最愛の人々に、心から愛されて育ったシンデレラは、不運や、理不尽にも負けず、世界を広げていける……というお話だった。

ありのままの自分自身を受け入れ、信頼すること(つまり、自己肯定感)こそ、本当の魔法。

これはもう、現代社会を豊かに生きるための、ほとんど唯一の真理と言ってもいいわけです。

現代の子どもたちと、その親のために作られた、ディズニーのおとぎ話

古典『シンデレラ』が公開されたのは、第二次世界大戦の爪痕が残る1950年。シンデレラの人物像には、時代背景が色濃く反映されていたといいます。

私たち現代の親の感覚からすると、アニメーションの『シンデレラ』が古くさく感じられて当然なんです。

実写『シンデレラ』は、現代の子どもたちと、その親のために作られた、ディズニーのおとぎ話。

きっと「子どもと観に行って良かった」と思えるはずです。