254月

“読みやすくまとまった文章を書ける” 程度のライターなんかプロではない


「大好きな人が語るめちゃくちゃアツい記事がおもしろい」という記事の主旨に異論はないんですが、プロライターの定義についてはちょっと補足したいんですよね。

ウェブ時代は、プロのライターよりも大好きな人が語るアツい記事のほうが面白い! | 隠居系男子

プロのライターさんの記事というのは、やっぱり読みやすくまとまっています。読んだときのリズムもキレイで、彼らが持っているノウハウというのも大変素晴らしいと思います。

でもやっぱりそれは、“紙の上”で最大限発揮される能力だったのかなと。

文字数やスペースが限られ、発信できる人間も最小限に限られていた時代だったからこそ意味のある能力だったのだと思います。

しかしウェブ時代はそうではありません。誰もが自由に発信できて、誰もが自由にキャッチアップできる時代となりました。

それまではマスメディア主導で世の中が動いていたのに、そうではなくなったのです。

その結果、各ジャンルはドンドンと細分化が進み、必ずしも「面白いコンテンツ=プロのライターさんが書いた文章」ではなくなったのです。

 

プロフェッショナルの定義は時代と共に変わる

“プロライター” の定義としてよく言われるのは、

・文筆を職業にしている
・プロと呼ぶにふさわしいスキルがある

の2種類だと思います。

ただ、前者に関しては、それだけで食べている人を指すのか、副業も含めるのかで、だいぶ変わってきます。

あるいは、文筆だけで食べていても、月10万円で極貧生活をしているのかもしれないし、副業ライターでも月50万円の収入になっている著名人もいるかもしれないわけで、「言ったもん勝ち」のところがあるのは事実だと思います。

私の場合は、収入面から “プロライター” と名乗るのは、現時点では気が引けてます。“職業ライター” という言葉を使うケースが多いです。もっと仕事の単価を上げられると思っています。

今回、言及したいのは、後者のケースのプロライターの定義についてです。

つまり、「プロと呼ぶにふさわしいスキルとは何なのか?」という話です。

これは、情報爆発の現代において、メディアがライターに求めている必須スキルはなんなのか、という問いかけでもあります。

 

いま求められているのは優れたコンテンツ

ほんの20年30年前まで、理想のライター像とは、

・物事を正しく的確に伝える能力がある
・雇用主(メディア)が意図したとおりに書くことができる

と言ったところではなかったか、と想像しています。なにしろ私は30年前は子供だったので、詳しい業界事情は知りません。

ただ、インターネットが普及するまでは、マスメディアの影響力は絶対であり、王様はメディアそのものだったのだから、そう遠くはない推測であるはずです。

「消費者が知りたいこと」よりも、「メディアやスポンサーが伝えたいこと」が優先されていた時代です。

しかし、情報量が爆発的に増え、ルートも無数に枝分かれした現代では、まず消費者に興味を持ってもらう必要があります。

興味を持ってもらえなければ、そもそも発信をしたところで見てもらえないからです。

メディアは、高品質なコンテンツを、(マーケティング的な意味で)的確に提供する必要に迫られるようになりました。

コンテンツが王様になったのです。

 

“読みやすくまとまった文章を書く” のは学生でもできる

140km/h以上の速球が投げられるからと言って、必ずしもプロ球団からスカウトが来るわけではありません。

プロ球団が求めているのは、140km/hの速球ではなくて、着実にアウトが取れる投手であり、勝ち星を計算できる人材だからです。

130km/hの球しか投げられなくても、緩急の天才で、マウンド度胸があり、勝ち星さえ稼いでくれるのであれば、喉から手が出るほどほしいわけです。

ライターも同じで、「読みやすくまとまった文章が書ける」「リズムのいい文章がかける」「決められた文字数できっちりまとめられる」というスキルは、備わっているに越したことはない、という程度のものです。プロに必須の条件ではありません。

たとえば、「読みやすくまとまった文章が書ける」という程度の人材なら、学生にだってゴロゴロいます。でも、彼らをプロライターとして雇おうとするメディアは、そう多くはないはずです。

私自身、学生時代に書いた文章を読み返してみても、そんなにヘタクソだとは感じませんが、当時はメディアからの寄稿依頼はおろか、ブログを書いたって月に数百PVしか読まれませんでした。

 

プロライターとはマーケティング感覚に優れた書き手のこと

プロ野球において、投手になくてはならないのは、「着実にアウトが取れる」「勝ち星を計算できる」という要素です。

一方、情報爆発の現代において、ライターになくてはならないのは、「ヒットする記事が書ける」「求める成果が得られる文章が書ける」という要素です。

どちらも、意図して書くためには、マーケティング視点が必要です。「こういうネタを、こういう書き方をすれば、こういう人たちに読まれる」あるいは「この商品を売るためには、こういう悩みを抱えている人に、こういうふうにアプローチすればいい」というふうにです。

いま、プロライターと呼べるのは、マーケティング感覚に優れた人材である、というのが私の見解です。

 

編集者の役割をメディアが担うか、ライターが担うか

なぜ、大好きな人が語るアツい記事がおもしろいかというと、物事のおもしろさをいちばん知っているのは、それが大好きな人だからです。

ただ、マーケティング視点がない書き手は、具体的にどのように記事に仕上げればたくさんの人に読まれるのかがわかりません。あるいは、書き上げた記事を読んでくれる人がどこにいるのか、どうやって届けるべきなのかを知りません。

冒頭で取り上げた「MATCHA」さんの場合、このようなマーケティング視点(編集者の役割)はメディア側が担っているようです。

どういう記事を書けばいいかは、メディア側が判断し、それにあった人材を集めてきて執筆してもらうという形です。

ただ、メディアが編集者の役割を担う場合、メディア運営側の負担が増え、ライターへ多くの原稿料を支払うことはできないはずです。

一方で、優れたマーケティング感覚を持ったライター(=プロライター)を雇うことができれば、メディア運営側の負担は減りますが、そもそもそんなライターは少ないし、原稿料の負担も増えます。

これは、収益力に課題があるネットメディアの宿命ですね。

 

メディアが求めているのは、ヒットする記事を自ら量産できるライター

なぜ、「MATCHA」さんに集っているライターの多くがプロとは見なされないかというと、彼らは「何をどのように書けば目的を達成できるのか?」の判断が充分でない、あるいは判断する必要がない環境にあるからです。

もし「何をどのように書けば目的を達成できるのか?」を自分で判断できるのであれば、「MATCHA」さんに集っているライターさんたちも、多くがプロライターとして活動できるはずです。

今やライターに頭抜けた文章力なんか求められていません。

メディアが求めているのは、単純に、ヒットする記事を放っておいても量産してくれるライターなんです。

そういう意味では、ブロガーのヘッドハンティングが注目されるのは、自然な流れであるように思います。

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