マーケティング

259月

私がWEBマーケティングのコンサルティングを仕事にしない理由

マーケティングが成功するには、的確な戦略と同時に、取り組み(または商品やサービスなど)そのものが優れている必要があります。

私は、合理的でないプロジェクトや、ロクでもない商品を、マーケティングの力で無理やり広めたり、売ったりする気になれません。

大して効果がないので、おもしろくないし、やる意義が感じられないからです。

 

いちおうWEBマーケティングは強味です

WEBマーケティングは、ブロガーやライターとって必須スキルです。

なぜなら読まれる記事をシステマチックに量産するには、興味のある層はどれくらい存在するのか、どういうパイプで届ければいいのか、ストレスなく&興味を持って読んでもらうにはどういう編集をするべきなのかなど、マーケティング視点が欠かせないからです。

 

取り組みそのものの完成度が必須

WEBマーケティングを成功させるには、ブログやソーシャルメディア、Google検索、広告などをうまく活用するだけでなく、取り組みそのものが優れている必要があります。

ビジネスであれば、商品やサービスが優れていてこそ、マーケティングが真価を発揮するわけです。

もちろん「どんな商品でも売るのがプロのマーケターだ」という立場もあります。が、私は “結果としてどう社会を動かせるか” にしか興味がないので、例えば買った人が不満を持つ結果になるようなマーケティングは、他の人に任せたいですね。

 

優れた取り組みをしている人たちはマーケティングに手が回らないのが実情

ところが、本当の意味で “優れた取り組み” をしている人たちは、取り組みに全力を注いでいて、マーケティングなんかに時間を割いている余裕がないケースが、圧倒的に多いように感じています。

課題を感じていたとしても、マーケティングを外注しようなどと考える人は(あるいは実行できる資金的余裕がある人は)、たぶんいません。

結果的に、コンタクトがあるのは、取り組みが中途半端で、行動の優先順位の判断を誤っている方々がほとんどです。

その状況でWEB発信に力を注いでも、効果はほぼないか、あっても限定的だろうと容易に想像できるんです。マーケティングよりも先に、グループの理念を整理したり、コンテンツを作り込んだりするほうが、はるかに効率がいいですよ、と。

※例外として、学生団体がマーケティングを学びたいです、みたいな場合は、効果のあるなしに関係なく、喜んでレクチャーします。効果がないんだと知るのはいい経験になるし、単純に知識をインプットする意義はあると思うからです。

 

約9000いいね!の衝撃

asobi基地を展開する小笠原舞さんのインタビュー記事を制作したときには、衝撃を受けました。

【前編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “女性の権利は語るのに「こどもにとって」は議論しない日本社会”

二人の子育て中ということもあって、小笠原舞さんの活動には共感していましたし、Facebook上で見かけた待機児童ゼロに対する彼女の問題提起も、すごくおもしろく、魅力的だと思ったんです。

ただ、彼女は行動第一の現場主義なので、WEBマーケティングの知識はありません。Facebookを中心とするソーシャルパワーは持っていましたが、それだけでは友人知人の枠を超えて広く訴えるのはほとんど不可能です。

そこで私が、インタビュー記事にしましょうかと持ちかけました。ミーティングをして、多少批判を受けたとしても無視されるよりはマシ、広く訴えかけたいよねと方向性を確認し、記事の編集制作とマーケティング全般を引き受けました。

結果は驚きの約9,000いいね!。

 

いい取り組みをしている人を勝手に応援しようと決めた

小笠原舞さんの主張内容は多くの人の興味・関心を引くだろうという確信はありましたが、さすがにこれには驚きました。

元々の要素が優れていれば、あとはメディアやチャンネルを的確に活用できさえすれば、こんなにも多くの人へ届くわけです。

もうなんか、仕事でWEBマーケティングのコンサルティングをするのが、途端にばかばかしくなりました。

先ほど触れたとおり、優れた取り組みに心血を注ぐ人は、マーケティングまで頭や手が回らないケースがほとんどです。

だったら私は、「これはいいな!」と思った取り組みを、勝手に応援することにしようじゃないか、と。これが私なりの、世の中への関わり方だと思っています。

146月

たった1回キャンプに行ったら無印良品が “良品” を生み出せる理由がわかった。

先日遊びに行った無印良品津南キャンプ場は、キャンプ場であるにもかかわらず、徹底的に“無印良品らしい”場でした。しかも、キャンプ場の本来の役割・魅力を問い直してすらいます。経営理念や企業哲学、ブランドイメージが揺るぎないからこそ、無印良品は“良品”を生み出せるのだと実感しました。

 
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新潟、群馬、岐阜でキャンプ事業を展開する良品計画

無印良品を展開する株式会社良品計画は、生活雑貨だけでなく、『Café MUJI』や『Meal MUJI』の飲食事業、『無印良品の家』の住空間事業等を手がけています。

良品計画の事業の一つに、キャンプ事業が存在するのをご存じでしょうか。新潟県津南町、岐阜県高山市、群馬県嬬恋村の3箇所で、キャンプ場を運営しています。

無印良品キャンプ場

僕は子供の頃からキャンプが好きです。たぶん3年くらい前に無印良品キャンプ場に興味を持ち、キャンプ場のPR冊子『外あそび』を題材に、「宣伝しないで宣伝する無印良品の凄味」という記事を書いたほどです。ただ、2009年に長女が、2011年に長男が生まれいるので、実際に遊びには行けていませんでした。

 

徹底的に“素材”を活かす無印良品キャンプ場

子供たちも充分に成長したので、2013年6月8日(土)〜10日(月)の日程で、念願の無印良品津南キャンプ場へ遊びに行ってきました。

端的な感想は「キャンプ場であるにもかかわず、どこからどう見ても無印良品」でした。すごく楽しくて再訪は確定なのですが、それにも増して、ブランド哲学が貫流している事実に感心せずにはいられませんでした。

無印良品の商品って、簡単にイメージできますよね。シンプルかつベーシック。装飾がなくお洒落で、なぜか手元に置いておきたくなる。などなど。キャンプ場も、店舗に陳列されている生活雑貨や食品と完全に地続きで、運営されていたんです。

津南キャンプ場のシンボル的存在の山伏山。
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山伏山の麓の薬師湖。カナディアンカヌーやカヤック教室が開催されます。
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設備は必要最小限。キャンプサイトは造成せず、自然の地形のまま。
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朝の景色は、日の出とともに蒸発する夜露に輝き、
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夜は染みいるような夕焼け。山伏山から風が吹き下ろし、グッと気温が下がります。
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また、無印良品キャンプ場では、夏休みシーズンを中心に、アウトドア教室や家族体験教室がたくさん開催されます。これらイベントはすべて、その土地の自然環境、気候風土、特産など、素材を活かす発想で構成されています。

同時に、地元コミュニティをも活かし、地元の人間にアウトドア教室の講師を務めてもらったり、地元農家と連携して畑の新鮮野菜を収穫するイベントを開催したりもしています。

アウトドア教室 | 無印良品キャンプ場

スタートとなった1995年の津南キャンプ場のオープン時から変わらないコンセプトに、「自然環境の保護」と「地域とのつながり」があります。当時はまだ企業のリゾート開発に難色を示す地元の方が多くいらっしゃったのですが、私たちはそこにある美しい自然を壊さないこと、そして何をするにも地域の方々と話し合いながら丁寧に進め、キャンプ場を利用いただく方々にその場所ならではの伝統や文化を感じてもらえるようにして参りました。

無印良品キャンプ場の魅力について

家族体験教室『朝採りアスパラ収穫&アスパラ料理』に参加しました。
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地元農家の畑に生えているアスパラガスを、
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収穫して、その場で素揚げ。
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感動的に美味しかったです。収穫したてのアスパラは、スジっぽさがなく、甘みがきわ立ちます。やわらかいアスパラは、太ければ太いほど美味しいのだと知りました。

アスパラそのものに自信があるので、料理も素揚げです。「これが一番好きなんです」と、地元出身のインストラクターは笑顔を見せていました。

まさに、この地の「自然」と「コミュニティ(農家)」という素材の良さを最大限に活かしたうえで、参加者に特別な体験をしてもらおうという趣向というわけです。

 

サービスを追求しないのに、キャンパーにとっては断然おもしろい不思議

株式会社良品計画にとってキャンプ事業は、社会貢献事業の位置づけなのだそうです。

キャンプ場運営にあたり、周辺の約70万坪(3ヶ所合計)の森林を管理するほか、ゴールデンウィークや夏休み期間、秋の連休を中心に開催されるアウトドア教室では、地元の方々に講師を務めていただくなど、周辺地域に根ざした運営を行っており、当社の社会的な貢献を担う事業の1つとして位置づけております。

株式会社良品計画 主な事業

つまり、営利が最優先ではないというわけです。実際、料金も良心的ですし、儲かっているようには見えません。また、サービスも必要最小限で、キャンパーの居心地のいい設備をどんどん整えようという感じでもありません。

営利目的も良し悪しで、儲けばかり見ていると弊害が出るケースもあります。一方で、営利目的であるからこそ消費者向けサービスが充実するのも事実です。

無印良品キャンプ場が不思議なのは、営利が最優先でなく、キャンパー向けサービスを追求しようとしていないのに、僕自身は無印良品津南キャンプ場が素晴らしく気に入ってしまった点です。楽しいし、居心地がいいし、何度でも訪れたい場所だと実感しているんです。無印信者だからとか、イメージに振り回されているとかではなく、明らかに他のキャンプ場に比べて優れていると言えます。

 

キャンプとはその土地を好きになり味わう過程である

ふだんキャンプ場は、スペックで語られるケースが多い気がしています。設備は整っているか、サイトは広くて平坦か、アクセスはしやすいか、などなど。

でも、そもそも、キャンプってどういうレジャーなんでしょうか? 何を楽しんでいるんでしょうか? スペックが高ければいいキャンプができるんでしょうか。

僕は小学生の頃から、地元の教師が始めたボーイスカウトのような団体に参加していて、静岡県の大井川へキャンプに行っていました。キャンプ場ではなく、魂が抜けて飛んでいっちゃうんじゃないか、というくらい広く開放的な河原にテントを張って、ご飯を作って、川で泳いでいました。

僕はこの大井川キャンプが好きで好きでたまらなくて、毎年毎年通っていました。団体に参加はしなくなりましたが、今でもこの場所は大好きです。長男が生まれる前、長女を連れて遊びに行ってもいます。

ふと気づくのが、僕はこの場所が好きなんだな、という事実です。みんなでワイワイやるのも楽しみの一つではあるんですけど、本質ではないように思います。

キャンプとは、その土地、その場所にある自然を好きになる過程だと僕は思います。誰と行くか、どうやってキャンプをするかは、楽しみ方の方法論の問題でしかないわけです。ましてやスペックなんかでは、キャンプの良し悪しは決められないはずです。

 

津南キャンプ場は津南町の自然を味わう手助けをしてくれる

無印良品(生活雑貨)が支持されているのは、「●●って本来、こういうものだったよね。その機能とか、装飾って、必要だったんだっけ?」という問いかけが、人々に共感されているからだと僕は考えています。

結果として出来上がったプロダクトは、シンプルで、お洒落で、無駄がない、いつもの無印の “良品” です。

新潟県津南町は、日本一の規模と言われる河岸段丘に抱かれていて、なおかつ特別豪雪地帯にも指定されています。なかなかそこいらでは味わえないような、深く豊かな自然があります。神秘としか言いようがないスポットも存在します。

余計な手を加えたり、余計なサービスをしたりせずとも、そのままでいくらでも、両手に抱えきれないくらい楽しめるんです。

無印良品津南キャンプ場は、津南町の自然を味わう手助けをしてくれます。たとえば、どんなに津南町で採れるアスパラが美味しいとしても、収穫してその場で素揚げで味わうのは、ちょっとハードルが高いわけです。観光で訪れただけでは、ちょっと手が届かないようなところまで、橋渡しをしてくれる役割なんです。

 

「●●って本来、こういうものだったよね」という問いかけこそ “良品” を生み出せる理由

無印良品キャンプ場のスローガンは「過剰なサービスは省きましたが、自然は豊かです。」。キャンプの本質を、いつもの無印良品のプロダクトと同じように、しっかり問いかけたのだと想像します。キャンプって本来どういうものだったんだっけ、キャンプ場の役割ってどういうことなんだっけ、と。

結果、社会貢献事業と位置づけているのにもかかわらず、世の中にたくさんあるキャンプ場よりも優れたキャンプ場ができるあがる(蛇足ですけど、これってすごく貴重なモデルケースですよね。良品計画は企業理念の行動基準に「地域コミュニティーと共に栄える」を掲げていますけど、過剰なサービスを追求するより、地域を活かしたほうが優れたキャンプ場ができるわけですから)。

無印良品津南キャンプ場へ遊びに行って、なぜ良品計画が “良品” を生み出せるのか、心の底から実感できました。

 

164月

mixiとLINEが1記事10万PV以上を生む衝撃

mixiはまだ終わっていない(&LINEは本当に凄かった)

『Handmade Future !』では、SNSマーケティングに関して、TwitterとFacebookに絞って紹介しています。

なぜTwitterとFcebookかと言うと、ソーシャル題材との親和性があり、学生団体やNPOが成果を出せる可能性が高く、なおかつ個人レベルでもマーケティングに利用しやすいからです。

とは言え、題材によっては、TwitterやFacebookよりも、mixiやLINEのほうが向いているケースもあります。例えば、エンターテイメント系の話題を10代〜20代の若年層に届けたい場合には、mixiやLINEのほうがはるかに有効です。

先日、mixiやLINEの衝撃的な効果を実感する機会がありました。そこで今回は、mixiとLINEにおけるマーケティングの可能性について紹介します。

学生団体やNPOでは、なかなか活用できる場面は少ないはずですが、参考までに頭に入れておいていただければと思います。

 

mixi、LINE経由で10万PV超え

個人的な話になるのですが、我が家は年間パスポートで通っているディズニーファンです。当ブログ経由の(全く別件の)問い合わせがきっかけとなり、2月頃から大手メディアの一つでディズニー記事を書いています。先週は、30周年イベントのプレスプレビューがあり、取材&記事ライティングで大忙しでした。

僕個人としては、やってて楽しいことだけを徹底的にやって、そのすべてをお金に換えていくということに挑戦しています。ディズニー取材&記事執筆もその一つです。例えば、先日は娘の誕生日で、バースデーパスポートでディズニーシーへ行ってきました。誕生日限定グッズを始め、さまざまな特典があります。ただ楽しんできただけですけど、それがそのまま取材になります。楽しめば楽しんだだけお金になる、逆に言えばどんどん楽しまなければお金を稼げないという、ある意味攻撃一辺倒なスタイルです。

ライターとしては「コアなファンだからこそ書ける」+「ブロガーとして培ったマーケティング感覚(どういう題材をどういう切り口で書けば読まれるか?)」を明確に武器と捉えています。2月〜3月に書いた記事は、mixi、LINE経由でバズらせることができ、とある記事は単体で10万PVを超えたとの報告をいただきました。

10万PVというと、おおよそHandmade Future !1ヶ月分のページビューに相当します。僕の感覚では、ブログ記事+Twitter・Facebook・はてなブックマークの組み合わせでは、1記事3万PV前後が限界です。単体で10万PVを稼ぐブログ記事が存在しないとは言いませんが、極めてハードルは高いはずです。

一時期の勢いが完全に止まり、どうにもマイナスイメージが拭えないmixiですが、いまだ他にはない価値があります。また、「凄い凄い」と言われつつ、個人レベルのマーケティングでは、なかなかその威力を実感できないLINEも、やはり評判そのままに凄かったと実感できました。

 

mixiニュース、LINEニュースの関連記事から流入

10万を超えるPVがどういう経路で生まれたかというと、mixiはmixiニュース(各メディアから配信)、LINEはLINEニュース(各メディアから配信されているlivedoorニュースからピックアップ)に取り上げられた記事の、関連記事からの流入です。

mixiニュースのトップページ

mixiニュースのトップページ

構造としては、ヤフートピックスの関連記事流入と同じです。ブログメディアを運営していると、ニュースの関連記事として、Yahoo!に記事タイトルとURLが掲載されることがあります。国内最大のポータルサイトだけあって、この威力は凄まじく、数時間で1万〜2万PVの流入があるケースもあります。

今回のディズニー記事の場合は、mixiやLINE(livedoor)に配信した記事そのものも僕が書いた記事ですが、配信した記事は転載の形になるので、PVはカウントされません。ただし、転載記事の中に関連記事としてURLを3個程度表示できます。

livedoorニュースの場合。最下部に関連記事を表示し、本サイトへ誘導できる

livedoorニュースの場合。最下部に関連記事を表示し、本サイトへ誘導できる

この関連記事流入が中心となり、10万を超えるPVが生み出されました。

パッと見た感じでは目立たないので意外に思うかもしれません。が、読み終えれば必ず別ページに遷移するので、記事下は最もアクション率が高い場所の一つです。WEBメディア運営の経験がある方ならそれほど違和感はないでしょう。

 

mixiの特殊なソーシャルグラフ

mixiでは、マーケティングの手段として、Facebookページと同じようなmixiページという機能がありますが、どうも評判はよろしくないようです。僕も20代の頃はユーザでしたけど、むしろmixiの強味は、例えば女子高生のマクドナルドでのおしゃべりのような、気の合う人たちとざっくばらんにコミュニケーションできるところにあります。

mixiニュースでは、ニュース記事を元に日記を書いたり、つぶやいたり、mixiチェックを付けたりすることができます。誰かが記事を元に日記を書けば、その人とつながりのある人がコメントを書き込んだりイイネ!をつけたりして盛り上がり、より多くの人の目に触れる結果になります。

チェック、つぶやき、日記を合計した話題数は5000以上

チェック、つぶやき、日記を合計した話題数は5000以上

「なにか一言いいたい」と思わせるような記事であれば、TwitterやFacebookと同様に大きく拡散します。TwitterやFacebookと違うのは、半匿名空間であり、またユーザ層が若い点です。笑い、エンターテイメント、ゴシップほか、「じゃがりこのフルーツ味が出た」というような話題でさえ盛り上がったりします。

また、おそらくmixi編集部が人力で選んでいる「注目のピックアップ」に取り上げられると、注目度があがり、話題にされやすくなります。人が選んでいるのは、ヤフートピックスと同じですね。どれだけmixiユーザに響くコンテンツを配信できるかが勝負になります。

 

LINEの特徴は10代〜の最も若いユーザ層

一方のLINEは、Facebookページのような公式アカウントの運用に費用がかかり、完全に企業向けになっています。続々と開設する企業が増えているところを見ると、それなりに効果はあるようです。

LINE@ 料金体系 | LINE公式の法人・ビジネスアカウントで集客

LINEの特徴として、“スマートフォン時代に合わせて設計されたSNSである”という事実が挙げられます。メールよりもストレスフリーなコミュニケーション手段を武器に、ケータイからスマホに持ち替えた10代〜の若年層に深く食い込みました。

「LINEニュース」という公式アカウントをフォローすることにより、livedoorニュースの中から編集部がピックアップした“注目ニュース”、大きな事件の速報“速報ニュース”などを受け取れます。

LINEニュースの一例

LINEニュースの一例

詳しいデータはもらっていないのですが、「LINEニュース」の“注目ニュース”で紹介されたときの流入が、とくに凄かったと聞いています。ちょうど春休み期間だった影響もあり、中学生、高校生、大学生などLINEのメインユーザに、ディズニー記事が強く響いたのだと考えられます。

 

mixiは終わった、はトレンドが終わっただけ

マーケティングをトレンドで考えるのは危険です。新しく流行っているところで露出しようとばかり考えると、視野が狭くなってしまい、実は古びたのではなく円熟味を増していて、成果を出せる場所があるのに、見落としてしまう可能性が高くなるからです。

もう一つ無視できないのは、トレンドが局所的なものになりつつある事実です。例えば、以前より減ったとはいえ、mixi内で活発にコミュニケーションしている人々は、確かに存在しています。題材によっては、無視するのはもったいないほどの勢力です(ディズニー記事で10万PVを稼ぐ手段は他にあまりない)。しかし、自分がFacebookばかりやっていてmixiを利用していなければ、まったくその事実に気がつけません。

mixiは終わったというイメージに引きずられて、mixiを選択肢から除外してしまうとしたら、たいへんもったいない結果になります。僕も今回、かなり勉強になりました。

154月

東京ディズニーリゾートとソーシャルゲームの違い

今日4月15日、東京ディズニーリゾートが30周年を迎えました。そんな中、運営するオリエンタルランドの上西京一郎社長へのインタビューをベースにしたこちらの記事が、とても興味深いものでした。

朝日新聞デジタル:節約してでも幸福追求、明確に オリエンタルランド社長 – 社会
「削るものは削る。でも、使いたいと思うものには、削った部分を投入してでも自分の幸せ感、満足感を達成する。そんな消費マインドが明確になってきているのではないか」

朝日新聞デジタル:「魔法の王国」デフレ知らず TDR開業30周年
ツアー代とは別に、ミッキーマウス柄の子供服や菓子などのおみやげに3万円近く。「ディズニーでは金銭感覚がなくなりますね」TDRは、スーパーのチラシを見比べるような、ふだんの暮らしを忘れさせる。

 

 

ディズニーはソーシャルゲームなのか

個人的には、朝日新聞のこの記事の作り方は「かなり際どいな……」と思っていて、例えば、

■生活切り詰め、夢に惜しみなく
13日夕、福岡県久留米市の造園業、佐藤康博さん(25)が羽田空港から帰路についた。妻の明菜さん(24)、長女の未海(みう)ちゃん(1)との東京旅行。3泊4日で最大の楽しみはディズニーだった。
ツアー代とは別に、ミッキーマウス柄の子供服や菓子などのおみやげに3万円近く。「ディズニーでは金銭感覚がなくなりますね」
TDRは、スーパーのチラシを見比べるような、ふだんの暮らしを忘れさせる。
神奈川県横須賀市の森武美さん(49)は11日、次女の綾乃さん(23)と2人でグッズを5万円分買った。
自宅では明かりをこまめに消す。夫や子には弁当をもたせる。500円玉は「ディズニーで使う用」に開いた口座に。「自宅はもうディズニー商品でいっぱいだけど、新商品なら買わずにはいられない」
バブル後の90年代、来園者は年1700万人前後で足踏みしたが、「シー」で2千万人台になり、この3月までの1年は2750万人。過去最多だ。使うお金も、過去最高だった前年を超す1万420円(入園券込み)との予想を公表している。ハウステンボス(長崎)の約8千円、サンリオピューロランド(東京)の約4500円を引き離す。
オリエンタルランドの上西京一郎社長(55)は「削ったお金を幸せが味わえるものに使う。そんな消費者の志向は明確だ」と話す。ただし、90%超のリピーターの財布のひもが緩むのは経営努力があってこそ。

「魔法の王国」デフレ知らず TDR開業30周年

この部分なんか、まるで低所得層がソーシャルゲームにのめり込む様子を紹介しているような印象を受けます。

もちろん、似通っている部分もあります。趣味の圧倒的大多数がそうであるように、お金を払っている人たちが何を得ているのか? は、他人には想像しがたいのが普通です。ディズニーに魅力を感じない人にとっては、どちらも「なんでそんな無意味なことにお金をつぎ込むのか」というのが、率直な感想であるはずです。

 

超一流コンテンツがひとり勝ちの要因

とは言え、逆に言えば、趣味とは基本的に他人には理解されないものです。当人が何かしらポジティブな影響を受けているのであれば、言うまでもなく、趣味そのものを否定するのはナンセンスでしょう。

東京ディズニーリゾートとソーシャルゲームの明確な違いは、コンテンツが一流かどうかです。ソーシャルゲームの圧倒的大多数は、クラシック・ゲームに比較して、質が低いと感じさせます。今、30代40代の社会人にとっては、過去の作り込まれたゲームたちの輝かしい記憶があるので、「なんであんな三流ゲームにお金と時間を無駄にするんだ」という思いが拭えません。

僕としても、その感覚はとてもよくわかります。ゲームそのものに否定的な意見もあるとは思いますが、特にソーシャルゲームが叩かれる大きな要因となるのは、コンテンツの質の低さだと考えています。

おそらく朝日新聞としては、悪意があるわけではないのだと思います。単に経営手法の面からディズニー好調の要因を紐解き、実際にその手法で購買行動を起こしている顧客がいると示しているわけです。

ただし一方で、経営面だけを切り取ってしまうと、重要な部分が抜け落ちてしまいます。コンテンツが超一流である、という事実です。ホスピタリティ、景観、ショーやパレードのエンターテイメント性やダンサーの質など、テーマパークとしては他の追随を許さないハイレベルを維持し続けています。

 

震災直後に実感した本物のエンターテイメント

僕は今でこそ、家族で年間パスポートを所持していて、大手メディアにディズニー記事を寄稿していますが、最初からディズニーを認めていたわけではありません。むしろ人混みが嫌なので、避けていたくらいです。妻と出会って徐々に行く回数が増え、オリエンタルランドの経営手法に興味を持ち、次第に東京ディズニーリゾートに注目するようになりました。

本当の意味でのファンになったのは、実は震災がきっかけでした。震災直後の日本社会の雰囲気を覚えているでしょうか。津波で壊滅する沿岸部の様子が、テレビで連日放映されていました。昨日までの日常がもろくも崩れ去った事実に、多くの人が、衝撃を受けていました。東北を支援しようと、多額の支援金が集まり、ボランティアが活動しました。

特に娯楽は自粛ムードで、桜が咲いても花見宴会さえ堂々とはやりにくい空気がありました。東京ディズニーリゾートは、施設自体への被害は軽微だったものの、周辺の生活・交通インフラの復旧を考慮し、約1ヶ月間閉園を迫られました。

当時の僕は、子供が2歳になったばかりで、妻が妊娠している状況でした。胎児は母体の影響を受けますし、2歳の娘もかなりナーバスになっていました。「自分にできることは、まず家族を守ることだ」と思い、積極的に娯楽を楽しもうと考えていました。

ディズニーランドが再開したと聞いて、さっそく家族で出かけました。歩いていて、滅多に人とすれ違わないくらいに空いていましたね。見慣れていたはずのショーやパレードを前に、知らず知らず涙腺が緩んだのを覚えています。ちょっとこれは衝撃的な体験でした。冷静な頭で「いや、これを見たら、誰も自粛なんて言えない」と考えていました。

人によって、ポイントは違うかもしれません。個人的には、ダンス&ミュージックが創り出すエンターテイメント空間と、ダンサーたちの笑顔が、クリティカルに響きました。ピリピリした社会情勢だったからこそ、「自分が求めているもの、欲しがっているものが、確かにここにあるんだ」と気がつけたのだと思います。

 

 

社会情勢が厳しくなればなるほど、本物だけが生き残る

オリエンタルランドには“いつわりなく夢や希望を与えられる、超一流コンテンツ”を抱えている自負がある、という前提の元に読むと、上西京一郎社長の言葉も、またひと味違って感じられるはずです。

――世の中は節約志向です。
「全体として、消費者がしっかり財布のひもを締めているのは間違いない。将来への不安もあるだろう。『アベノミクス』といっても、まだ、財布が重く厚くなっているわけではない。でも人間には、何かを買いたい気持ちがどこかにあるものだ。削るものは削る。でも、使いたいと思うものには、削った部分を投入してでも自分の幸せ感、満足感を達成する。そんな消費マインドが明確になってきているのではないか」

――いつごろからですか。
「そんな流れは、10年くらい前からあったように感じる。私どもの売り上げの一人当たり単価に表れてきたのはここ4、5年ぐらいではないか」

――節約志向は08年秋のリーマン・ショック後に強まったと言われます。そのころから、メリハリが出てきたということですか。
「そうだと思う。バブル経済が崩壊した後は、消費はしばらく(落ちないで)余韻を引きずっていた。リーマンの時は完全にがくっと落ちた。そこが大きな転機になったかもしれない」

――使う時は使うといっても、使う先に選ばれねばなりません。
「政府がいま、デフレをインフレに変える目標を立てているが、消費者のマインドは、すぐには変わらないだろう。我々は、選ばれ、来園してもらえる努力を続ける」
節約してでも幸福追求、明確に オリエンタルランド社長

この、選んでもらえるという自信。

震災直後の個人的体験を蒸し返すまでもなく、社会情勢が厳しくなればなるほど、本物だけが生き残る傾向は明確になります。

オリエンタルランドは、これだけ的確に現状を把握しているんですね。素晴らしい戦略眼。どんな世の中になっても、当面は東京ディズニーリゾートのひとり勝ちが続きそうです。

222月

PlayStation 4にわくわくしないのは何故か

先日発表されたPlayStation 4を題材に、昨今のライフスタイルの変化を踏まえつつ、マーケティングについてあれこれ語ってみたいと思います。僕はPS4は成功しないだろうと思っています。そう考えるのはなぜか、というお話です。

 

ライフスタイルの変化は優れたプロダクトも消し去る

F1にも参戦していた自動車メーカー、HONDAの技術力は素晴らしいものがあります。市販車では、『TYPE – R』を冠したスポーツカーにその技術力が最大限に活かされていました。

スポーツカーなので好きな人は改造しようとするのですが、「素人が改造しようとすると逆に遅くなる」と言われたほどバランス良くチューニングされていて、まるで自動車メーカー純正の改造車でした。僕もインテグラTYPE – R (DC5)に乗っていた経験があります。車というものの認識を180度変えてしまうくらい鮮烈な体験でした。

でも、『TYPE – R』の良さを体験するのは、一部の人だけです。一般人にとっては、どんなにカーブをスムーズに曲がれようが、どんなに軽快にエンジンが吹け上がろうが、そんな性能はオーバースペックであるだけで、必要ないからです。スポーツカーよりもコンパクトカーやミニバンのほうがライフスタイルに合っています。

実際、2013年2月時点、『TYPE – R』は販売されていないようです。採算がとれないからでしょう。もしかしたらこの先、新たな『TYPE – R』が販売されるかもしれませんが、それはブランディング戦略でしかないはずです。つまり、「技術力のHONDA」を印象づける広告のようなものです。もはや採算がとれるほど売れることはありません。ライフスタイルが変わり、車を趣味にする人が減ってしまったからです。

 

「〜しながら」に急激にシフトしつつあるライフスタイル

先日ソニー・コンピュータエンターテイメントより、PlayStation 4が発表されました。最新鋭のゲームマシン『PS4』ではあるのですが、わくわくしない人は意外に多いはずです。あるいはわくわくしても、早々に「まあ買わないな」との結論に達した方も多いでしょう。

僕自身、ファミリーコンピュータからPlayStation 3まで、TVゲームは一通り遊んできた世代です。小学校〜大学まで、みながファミコン、スーパーファミコン、PlayStationで遊んでいました。TVゲームをやらないほうが少数派、と感じたほどでしたが、同世代のみなさんはどうだったでしょうか。

でも、その僕がPS4の発表にちっともわくわくできないでいます。妻はさらりと一言、「もうTVではゲームをしないかな」と言いました。

タブレット端末がデスクトップPCを抜いた!…BCN調べ : BCNニュース : ニュース : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
会見の冒頭、道越一郎アナリストは「先月発売したWindows 8の出足が鈍い。OSが新しくなったタイミングでPCを買い替える時代ではなくなった」と、パソコン市場の厳しい状況に触れた。

上の記事にデータがありますが、今や売れているパソコンの6〜7割がノート型で、残りをデスクトップとタブレットが分け合っているという状況です。記事ではタブレットの売れ行きが伸び、デスクトップ市場はますます縮小傾向であると伝えています。

 

国内で来年にはスマートフォン普及率が過半か(団藤保晴) – BLOGOS(ブロゴス)
13歳以上のインターネットユーザーの4割が既にスマートフォンを使っており、半年で1割も嵩上げされるペースが続けば来年には全人口を母数にした普及率でも過半に達する見込みです。

またスマートフォンの急激な普及は、ご存じのとおりです。スマートフォン(賢い電話)は、もはや携帯電話というより、通話機能もあるミニパソコンです。ゲームもできれば、情報収集もできます。

これらが表しているのは、ここ数年でライフスタイルが様変わりした事実です。私たちは、趣味や情報収集のために、まとまった時間を確保しようとしなくなっています。それらの大部分は移動しながらであったり、ベッドに寝転びながらであったり、「〜しながら」できてしまうようになったからです。

学生や高齢者は別ですが、朝から晩まで仕事をしている世代にとって、椅子に座ってパソコンに向かったり、ソファーに座ってTVに向かったりする時間を確保するのは、一苦労です。無理してまとまった時間を確保するより、通勤電車でスマホをいじったり、ベッドでタブレットをいじるほうがライフスタイルに合っています。

 

PS4の懸念は「高額なゲーム専用機である」という存在そのもの

ソフトがどうとか、性能がどうとか、ましてやグラフィックがどうのという話ではありません。ライフスタイルが変わり、そもそも消費者に「TVに繋いでプレイする高額ゲーム専用機を買おう」と思わせること自体が難しくなっています。

PS4は、PS Vitaを利用して、ベッドや外出先でも遊べるように設計されているそうですが、機器代金の負担が大きすぎるのがネックです。最低でも6万円(PS4約4万円、PS Vita約2万円)、それに通勤中に遊ぼうと思えば、(スマホのWi-Fi接続が外出先でほとんど使い物にならない現状を考えると)PS Vitaの3G定額4980円/月が必要です。

Amazonが電子書籍端末を格安で売っているのはなぜか。どんなに優れたコンテンツがあっても、ハードが消費者の手元になければソフトを買ってもらえないからです。もしSONYがAmazonと同じ戦略をとり、ハードを安く売って、例えばソフトメーカーから手数料を取る収益モデルにするのであれば、復権の可能性はあります。が、現状伝えられている価格では、常識的に考えて一般消費者に普及させるのは極めて難しいと言わざるをえません。

 

PS4はゲーム業界の旧来的マーケティングの試金石に

ただし、PS4が採算がとれないほど売れないかどうかはわかりません。もし想定どおりPS4が一般消費者に普及しないとしても、プレイ動画の共有であったり、ストリーミング配信への対応は、使い勝手によってはコアなファンに支持される可能性があるように感じます。

その場合、問題は、高額ゲーム機器を買ってくれるほどのコアなファンがどれくらい残っているのかでしょう。HONDAの『TYPE – R』 程度しか残っていなければ採算がとれないし、プロ野球ファン規模で残っているのであればギリギリ採算ラインに乗るかもしれません。

どちらにせよ、PS4が試金石になるのは間違いありません。PS4のマーケティングは愚直にも今までどおりの延長であり、優れた性能とシステムを用意すれば高い機器も買ってくれるはず、という戦略です。「〜しながら」に大きく変化しているライフスタイルに一石を投じられるのか、それともHONDAの『TYPE – R』のように淘汰されてしまうのか。

PS4単体で採算ラインに乗ったとしても、「そういえば昔はよくゲームで遊んだよね」という層を引き戻せないのであれば(あるいは10代20代に、スマホをPS Vitaに持ち替えさせるほどの魅力と利便性を示せないのであれば)、結局はジリ貧です。

個人的には、妻や知人など、周囲にいるフツーの人たちに「買ってもいいかも?」と思わせられなかった時点で、マーケティングに失敗している予感がぷんぷんしています。PS4が優れたプロダクトだと仮定しても、現状のままでは、コアなファン専用のマニアックな製品に終わるのではないでしょうか。

2013年末と言われる発売が待たれますね。

 

どうやって人々の元へ届けるのか? という問いの重要性

さて、今回は主にPS4を中心に、マーケティングについての話を展開してきました。これが正解だと断言はできませんが、どうしてPS4が失敗だと考えるのか、理由は理解していただけたと思います。

もちろんこれはゲーム業界だけに言えることではありません。ビジネス全般はもちろん、世の中のほとんど全てが、同様の要素に支配されています。

例えば、ソーシャルイノベーション界隈では「いい取り組みをしていても、なかなか広がっていかない」という課題があります。活動やプロダクトそのものに明確な価値があるのは大前提ですが、それだけでは世の中は動かないというのは、学生からNPO職員まで、痛いほど実感しているところであるはずです。

これは、PS4がどんなに価値ある製品だとしても売れないかもしれないのと同じで、マーケティングの問題です。目の前の活動に没頭するだけでなく、「どうやって人々の元へ届けるのか?」という方法論を真剣に考えてはじめて、多くの人々を動かすことができます。

スタートは、人々がどういう生活をしていて、どういう基準で行動しているのかに目を向けること。きっと、みなさんの活動の影響力を高めるためのヒントが見つかるはずです。

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