政治

241月

家入一真・都知事選出馬について| “焼け野原” の向こう側にあるもの。

政治には人並みに関心を持っているつもりの私ですが、正直なところ、今回の都知事選からは目を背けたくなっています。

私は都民ではなく、隣の神奈川県民なので、実際に他人事ではあるのですが、「他人事で良かった」という気すらしてしまうんですよね。もし、当事者だったとしたら、投票先に悩んだ挙げ句、棄権していたかもしれない。

なぜ、(副知事時代から)ここ10年 5・6年の東京を支えた、最も有能な都知事が、都政のうえでは何の瑕疵もないまま、辞める事態になってしまったのか。

都民は、こんなどうしようもない選挙に臨むくらいなら、猪瀬直樹を辞めさせるなと運動をするべきだったんじゃないのか、とまあ、お隣の神奈川県民ながら思うんです。

猪瀬さんが、お金の問題をしっかり説明できなかったのは、だから痛恨でした。仕方ないですね。

 

選挙後、インターネット空間は焼け野原になる

都知事選にあたり、様々な人が、色々な意見を表明しています。

私がざっと見渡した限りでは、今回は東浩紀さんの意見にシンパシーを感じました。思いの根本にあるものは全く違うはずなんですけど、ただ結論は似ているように思うんです。

インターネット上の一部で話題になっているのが、家入一真さんの都知事選出馬です。立候補を賞賛したり、歓迎したりする声を、たくさん耳にしました。

ただこれは、若い世代を中心に、「選挙だとか政治だとかは、自分には場違いだ」と思っていたところに、よく知っている、やはり場違いな人が出てきたので、ちょっと興奮して、神輿を担いでいるだけなんですよね(家入さん本人も、それを自覚している)。

でも、祭りが終われば、あの高揚感はいったいなんだったんだろうか、というほどの静寂が訪れて、そこにあるのはいつもと変わらぬ、寂れた公園なんです。

いや、単に静寂が戻って来るだけだったら、まだいい。

たぶん、都知事選のあと、家入一真さんを熱狂的に支持した(一部の)インターネット空間は、焼け野原になります。

あれだけ盛り上がったのに、結局は何の意味もなかった、これしか票が取れなかった、という絶望感。猫じゃらし一本残らないでしょう。

 

家入一真は選挙に勝とうとしていない

たとえば、こんなグラフを作成している方がいました。

これを見て、妄想たくましく、盛り上がる人はいるでしょうね。

でも、ちょっと立ち止まってみてください。たぶんあなたの家族に、家入一真を知っている人はいないんじゃないでしょうか。

イケダハヤトさんは、自分のことを知っているのは日本中で1,000人に1人くらいだ(から炎上を恐れずに発言するべきだ)と言っていますが、これは感覚値としてそんなに間違っていないだろうと思います。

家入さんが、仮にイケダハヤトさんより10倍有名だとしても、100人に1人です。彼を知っている人が1人いたら、知らない人が99人いるんです。

もし、本気で人口ピラミッドを活かそうとするのなら、家入一真さんが真っ先にやるべきなのは、マスメディアへの露出であり、知名度を高める作業です。

が、家入さんに、そんな気はないでしょう。

そもそも、短期決戦の都知事選では、のんきに知名度を高めているような余裕はないわけです。元から知名度が高い候補を擁立して、人気投票合戦を制する。これが仕組み上の王道にならざるを得ない。

圧倒的大多数の家入一真を知らない人が、家入一真をどう見るか。常識を知らず、場違いな、キワモノの泡沫候補以外の何者でもない。

得票数は、過去の投票結果を見る限り、5桁が現実的な目標で、せいいっぱい背伸びをして6桁を目指すと言ったところでしょうか。

平成24年 東京都知事選挙 開票結果

平成19年 東京都知事選挙 開票結果

仮に6桁(10万票)に届いたとして、得票率はおおよそ2%前後です。

 

落選にともなうマイナスを軽視するべきでない

前回の参議院選挙で、佐々木俊尚さんをはじめ、インフルエンサーが投票を呼びかけたのにもかかわらず、鈴木寛氏は落選しました。インターネット空間では、これ以上はなかなか考えられない規模のキャンペーンだった印象を受けたのにもかかわらず、です。

インターネットは、選挙で現実を動かすには、無力。

だからと言って、家入一真さんの立候補が無意味だとは思わないんですよ。

たぶん彼がやろうとしているのは、小さいけれど無数に聞こえてくる声に応える、ということ。その声が、中二病の延長であったり、無知蒙昧の極みであったとしても、問題ではない。

出馬に何か具体的な意味があるとか、物事を実際に動かせるのかとか、一切考えていないに違いないと思います。

彼の行動によって、政治という空間にも居場所を得るということを、身体的に理解する人が出て来るわけです。

なぜぼくが家入一真を応援するのか? – トークのイチロー就活日誌

だからこそ家入一真の都知事選出馬には意味がある、という意見もあるでしょう。

が、同時に、落選にともなうマイナスを軽視するべきでもないとも思うんです。

盛り上がれば盛り上がるほど、「当落にかかわらず出馬した意味があった」と口では言っていても、“結局、自分たちの投票は政治には何の影響も与えられなかった” という事実は、重くのしかかります。

必ず。

絶対に。

家入一真が出馬し、たくさんの人を巻き込んだからこそ、本当の意味で政治に絶望する人が続出するんです。

 

焼け野原から “本物” が芽吹くかもしれない

そして、私はそれでいいと思っています。だって、近代民主主義は限界なんだから。

インターネットが世界にあまねく浸透したからといって、家入一真のようなカリスマが登場したからといって、その程度の変化で修復できてしまうような、簡単な話ではない。

近代民主主義の次はどうするんだ、と、そういう根本的な話をしなきゃいけない。

心ある人は、とっくの昔に政治に期待するのをやめ、自分なりの関わり方で、物事を前に進めようとしているわけです。

だから、焼け野原でいいと思う。

いったん灰燼に帰してこそ、太陽が差し込む余地が生まれ、今まで人目に触れることがなかった雑草が芽吹くはず。

政治のせいにしても、無駄だ。

絶対数は少ないかもしれないけれど、焼け野が原からそんな「気づき」が芽生えたとき、家入一真の都知事選出馬も成功だったと言えるのかもしれない、と、複雑な気持ちを抱きつつ、お隣の県から見ているところです。

1012月

2013年総決算! 世の中に意見や思いをぶつけたら(良くも悪くも)手応えがあった記事ベスト10

『Handmade Future !』のオピニオン、政治、ソーシャルグッドカテゴリの記事のうち、2013年に平均ページ滞在時間が最も長かった10記事を紹介します。

大半の記事は、公開してもほとんど見向きされません。でも、これらは熟読してもらえた記事たちです。Web上で5分も10分もかけてじっくり読んでもらえたのなら、何かしら感じてもらえたはずです。

 

オピニオン、政治、ソーシャルグッド/2013年平均ページ滞在時間ランキング

1. 【前編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “女性の権利は語るのに「こどもにとって」は議論しない日本社会”

平均ページ滞在時間|00:09:30(20,990PV)

【前編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “女性の権利は語るのに「こどもにとって」は議論しない日本社会”

この記事を読んだ政治家がわざわざ連絡をくれる、と小笠原舞さんが言っていました。もうすぐ9000いいね!に届きそうです。

僕自身にとっても、大きな意味を持つ記事。現場主義でいい取り組みをしている人は、活動に心血を注ぐあまり、マーケティングがおろそかになりがち。

共感できる人の発信を、培ってきたスキルと経験でサポートする。こんな渾身の仕事を増やしていきたいですね。

 

2. 「検索の次」の時代が来る|Gunosyが神速で取り組むべき2つの課題

平均ページ滞在時間|00:07:12(7,510PV)

「検索の次」の時代が来る|Gunosyが神速で取り組むべき2つの課題

人によって、必要な情報、価値のある記事は違う。だから、情報流通にGoogle登場以来の革命が起きるとしたら、ある記事の価値を、検索エンジンが一律で評価するのではなく、個人それぞれの基準で評価できるようになったとき。

Gunosy単体に限って言えば時期尚早だったかもしれないんですけどね。でも、「検索の次」が見えたのは事実。未来を感じさせてくれただけでも、Gunosyを評価したいと個人的には思います。

 

3. 僕はこうして投票先を決めた。

平均ページ滞在時間|00:06:52(13,475PV)

僕はこうして投票先を決めた。

選挙権を得てから10年以上、一度も納得して投票できた経験がないんですが、はじめて納得できた(かもしれない)んです。政策ではなく「人」を最優先に判断する、という方法で。

津田大介さんのツイートのおかげで、(題材の割には)PV数も伸びてます。

 

4. 【後編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “一人では変えられない社会も、それぞれが自分事として取り組めばいつかシフトチェンジする”

平均ページ滞在時間|00:06:37(2,607PV)

【後編】待機児童ゼロに潜むリスク|asobi基地・小笠原 舞 “一人では変えられない社会も、それぞれが自分事として取り組めばいつかシフトチェンジする”

小笠原舞さんのインタビュー記事の後編です。前編で問題提起したうえで、じゃあ自身はどうやって課題に取り組んでいるのかを聞いています。

 

5. こどもたちが本来の力を発揮できる場! asobi基地@代々木公園レポート

平均ページ滞在時間|00:06:14(602PV)

こどもたちが本来の力を発揮できる場! asobi基地@代々木公園レポート

小笠原舞さんが代表をつとめるasobi基地のレポート。写真満載です。

 

6. 僕は若者に「選挙に行け」とは言えない|津田大介 – ウェブで政治を動かす!

平均ページ滞在時間|00:06:14(24,023PV)

僕は若者に「選挙に行け」とは言えない|津田大介 – ウェブで政治を動かす!

不完全なシステムなのに、まるで「投票さえすれば世の中を変えられる」かのように偽るのは、フェアじゃない。だから改善するべきなんじゃないの、という問題提起。

津田大介『ウェブで政治を動かす!』を読んで感じたことを綴っています。

 

7. こどもたちが商店街で売り子に!『asobi基地 x 商店街 お店屋さんに変身!』レポート

平均ページ滞在時間|00:05:53(494PV)

こどもたちが商店街で売り子に!『asobi基地 x 商店街 お店屋さんに変身!』レポート

こちらもasobi基地のレポート。ですが、今まで何回も参加していて、いちばんいい企画だったかも。もちろん写真満載です。

8位(下)の記事に繋がるんですけど、こどもたちには社会を実感してもらいながら育ってほしいんですよね。大学を卒業してから社会を知り始めるんじゃ、20代がもったいないから。

 

8. 尾崎豊のように窓ガラスを割ることなく、早くから自分らしく生きることに全力を注ぐために

平均ページ滞在時間|00:05:52(10,170PV)

尾崎豊のように窓ガラスを割ることなく、早くから自分らしく生きることに全力を注ぐために

コンビニ冷蔵庫に入って炎上した若者の問題に端を発して。彼らをバッシングする気になれない一方、社会のあり方が変わった今、社会を学ぶ過程を変えるべきなのかもしれないと親として思います。

早くから世の中の仕組みや多様性を見せ、自分らしく生きるためのスキルを教えることができれば、若者のうちから自分らしく生きることに全力を注げるんじゃないでしょうか。

 

9. ダイバーシティとは?|「多様性を受け入れる」とはマイノリティの意見をすべて受け入れて徹底的に妥協点を探ることではない

平均ページ滞在時間|00:05:32(2,584PV)

ダイバーシティとは?|「多様性を受け入れる」とはマイノリティの意見をすべて受け入れて徹底的に妥協点を探ることではない

マイノリティの存在は尊重されるべき。でも、多様性の名のもとに権利を口うるさく主張して、足を引っ張り合う窮屈な社会にはしたくないですね。互いの価値観の違いを認め合える社会が理想です。

 

10. Googleリーダー利用者は時代遅れ。勇気を持って新しいスタイルを模索するべき

平均ページ滞在時間|00:05:30(15,686PV)

Googleリーダー利用者は時代遅れ。勇気を持って新しいスタイルを模索するべき

“時代遅れ” と書いたので批判も多かったですね。ただ、マジョリティから見れば、RSSリーダーを使う人なんて「は? なんでそんな面倒なことやってんの??」なのは事実です。本当にRSSリーダーが必要なの? と立ち止まって考えるにはいい機会だったと思います。

僕自身、メディア運営に必要な分をのぞけば、よほど見逃したくない趣味の話題くらいしかRSSリーダーを使わなくなりました。

197月

民主党・牧山ひろえ( @makiyama1192 )はフォトショを頑張っている場合ではない。

つい先ほど、期日前投票をしてきました。神奈川選挙区で、民主党の牧山ひろえ候補に投票してきました。

今回はさんざん迷いました。実は直前まで、棄権または白紙投票にしようと思っていたくらいです。なぜなら、僕は前回の衆議院総選挙では自民党の菅義偉(現・官房長官)に投票しているように “人” で決める信念なのに、候補者のラインナップを見ると、“人” で判断のしようがなかったからです。間違った投票をするくらいなら、棄権も選択肢だと考えていました。

 

メルマガを購読しているのに印象は「フォトショのおばさん」

牧山ひろえ候補の印象も、失礼を承知で言いますが「フォトショのおばさん」です。候補者ポスター一覧を4歳の娘に見せると「この人がいい!」と断言するくらい、シワ一つない綺麗なお姉さんに見えます。

ところが実際には、1964年生まれの方ですから、当然ながら年齢なりの容姿の方です。日焼けは真夏の選挙なので当然としても、Photoshopで加工しすぎだろというのが偽らざる本音です。うちの娘、ご本人を見たら「えっ……」って引くと思いますよ、たぶん。

僕は、牧山ひろえ氏のメールマガジンを購読しているし、Twitterをフォローしてもいます。Gmailの履歴を見ると、メールマガジンの購読を始めたのは、2011年の9月ですから、かれこれ2年近くになるわけです。

にもかかわらず、第一印象は「フォトショ」なんです。

 

「どんな決断をしたのか」「その理由はなぜか」が知りたい

牧山ひろえ候補が、肝心のメールマガジンに何を書いているかというと、大半が集会等への勧誘で、そのほか国会へ質問に立つ告知や、UstreamやYouTubeでの講演や対談のお知らせ、提案書の提出の報告などがわずかにありました。

7月17日になって突然、『牧山ひろえ メール通信 vol.1』という名の、“選挙運動用電子メール” なるものを送信してきました。遅すぎるんですよ。今なにを書いたところで、選挙用のリップサービスと区別するのは不可能です。

僕が政治家の “人” を判断する基準は、下記事に詳しく書きました。

僕はこうして投票先を決めた。

一部引用しますが、

私の経験上、いい政治家は、「どういう利害が衝突しているのか? どんな理由があって一方を優遇するのか?」をきちんと説明してくれます。その政治家が掲げる政策が絶対的な正解である保証はないですけど、少なくとも考え方を理解すれば、政治家の行動原理が見えてきます。

政治家の考え方、性格、行動原理を把握するまで、僕の場合は3年かかりました。

代表・総裁選挙や、重要法案の採決、党の方針と自分の信念に食い違いが起きたときの行動。また、それらについて説明があったかどうか。説明があったのなら内容に納得できたかどうか。

これらが積み重なって、徐々に政治家を理解していきました。

僕は集会の勧誘なんか(あってもいいですけど)どうでもいいと思っています。そんなことよりも、考え方が知りたい。具体的には、「どんな決断をしたのか」「その理由はなぜか」をきちんと説明してほしいんです。

例えば、民主党代表選挙があったとき、どんな理由で誰に投票したのか、牧山候補は一切発信していないはずです。少なくとも僕は目にしていません。

決断の内容とその理由を発信せずに、政策ばかり訴えても、僕は信用できません。きれい事なら誰にでも言えるし、魅力的な政策を掲げるだけなら欲まみれの悪人にだってできるからです。

 

それでも牧山候補に投票したのは、発言を見続けている人たちの推薦があったから

正直、今もって牧山ひろえ候補を信用しているわけではありません。2年近く見続けていて信用できなかったものが、この数日数週間で突然信用できるようになるはずがないですから。

それでも牧山ひろえ候補に投票したのは、発言を見続けていて、「(考え方に全面的に賛成ではないにせよ)人として信用できる」と判断できる人たちが、牧山ひろえ候補を推していたからです。

 

牧山ひろえさん、すでに投票した有権者として要望します

フォトショを完全否定するわけではありません(個人的には、ちょっとやりすぎだと思いますが)。でも、フォトショのおかげで投票していたような人たちは、風が変われば見向きもしなくなるわけです。

牧山ひろえ候補が、信用に値する人たちが言うように、本当に国政に欠かせない人材だとします。にもかかわらず、自民党・公明党・みんなの党の後塵を拝して、共産党候補と最後の議席を争う事態に陥っているのは、フォトショ以外に力を入れるべきポイントがあったという事実を示しています。

決断の内容とその理由を日常的に発信していれば、ポスターの印象ではなく、牧山ひろえという “人” を支持する人が出てきます。「民主党だから投票しない」ではなく「牧山ひろえだから投票する」という有権者を増やすべきだと僕は思います。

 
牧山ひろえさん、すでに投票した有権者として要望します。集会勧誘ばかりのメールマガジンでなく、ブログ等を含め、オープンに決断の内容とその理由を発信してください。

その内容が納得できるものであれば、僕は牧山ひろえという “人” を支持します。当選したとしても、しなかったとしても、ぜひよろしくお願いいたします。

107月

参議院選挙は捨てることに決めた。

“人”で投票先を決めている僕は、参議院選挙は選びようがありません。今回は失敗してもいいと割り切ることにしました。

参議院選挙は、実験することにします。自分なりに明確に問題意識を持ち、仮説を立て、実験・検証。さらに次の選挙で正しい投票をするためのヒントを探します。

 

「選挙は人で選ぶ」がモットー

僕の投票の基準は、以前こちらの記事に書きました。

僕はこうして投票先を決めた。

整理すると、

1. 一部をのぞき政党政治は機能していないので、政党では選べない
2. 政策は実現されないケースが多々あるので、政策だけでは選べない
3. 政治家が、自分が期待したとおりに働いてくれれば、投票に満足・納得できる(はず)
4. 政策を参考に、人を吟味して投票先を決める

となります。

政治家をよく知り、政治家に適切な期待を持てれば、己の投票行動に納得できるはずだという考え方です。

 

参議院選挙では使えない

ただ、これには欠点があります。“人”を判断するには、日常的に発言・発信を見続けて、年単位での時間が掛かります。発信の少ない議員や、落下傘候補は、対応できないんです。

衆議院選挙のときは、たまたま僕の神奈川2区では、有力候補が2名しかおらず、双方とも発信をしていたので、わりとシンプルに決断できました。

でも参議院選挙ではこうはいきません。まず神奈川選挙区は、候補者からして11名もいます。

選挙区 神奈川 候補者 : 参議院選挙(参院選)2013 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

うち当選経験のある候補は3名。以前から発信をチェックしていたのは2名しかいません。その2名も、まともな発信はしておらず、投票の対象にはできない始末です。

 

選びようがないよね? と認めるところがスタート

もう僕は、正しい投票をするのは諦めました。どうやっても選びようがない。

みなさんはどうでしょうか。参議院選挙、どうやって投票先を決めるんですか? その方法でほぼ確実に納得できるんでしょうか。

僕は、わからないならわからない、無理なら無理と認めてしまったほうがいいというスタンスです。問題があると明確にしたほうが、対応策や改善策に本気で取り組みやすいからです。

何となく選挙にのぞんで、何となく失望して、を繰り返していたら、いつまでたっても政治は良くならないし、選挙システムも改善されませんからね。

 

盛大に実験しようぜ!

もちろん、選びようがないからといって、白旗を揚げるつもりはありません。

もともと、比例代表や県・市議会議員選挙でも同様の問題を抱えていたわけですし、このチャンスになんとか突破口を見つけたいんですよ。

どうせ納得のいく投票なんかできるわけがないと分かっているんだったら、納得できる投票方法を見つけるために、仮説を立てて実験し、検証する機会にしてしまえばいい。仮説の検証のために、今回はちょっと突飛な判断をするという選択肢だってアリでしょう。

 

仮説1 インターネット発信量で決める

例えば、ネット選挙運動が解禁されたので、インターネット発信に着目してみる方法も1つ考えられます。まずは全候補のSNSアカウントやブログを見つけて、フォローする。

まず、発信していない候補は論外。組織と旧来メディアに頼っている候補は、われわれ若い世代の方向なんか向いていないからです。これはマーケティング視点から、まず間違いない。

単純に発信量の多い候補に投票するのだっていいはずです。なぜなら、議員になった後も発言に注視できるからです。投票した候補が議員になったはいいけど何してんのかサッパリ、では、投票に納得するのなんか無理でしょう。もちろん選挙が終わったら発信しなくなる候補もいるかもしれませんけど、それは勉強代ですね。

 

仮説2 事務所の対応で決める

もう1つのアイデアは、すべての候補者の事務所にお邪魔してみて、対応の印象で決める方法。選挙戦の最中は、候補者本人にはまず会えないですけど、どんな組織で選挙活動を展開しているのかを肌で感じれば、かなり多くがわかります。消費者への対応が行き届いていない企業ってアレでしょ。

ちなみに候補者事務所に行くのは怖くないですよ。僕も何度か行った経験がありますが、ふつうに応対してくれます。そりゃ有権者なんですから当然ですよね。もし邪険に扱われたら投票しなければいいだけですし。胸を張って、政策でもなんでも聞きに行ってください。

問題は、選挙区が広く、候補者が多いので、地域によっては全候補の事務所へ足を運ぶのに苦労する可能性がある点です。あと、公明党とか幸福実現党の事務所に行くのも、ちょっとコワイですよねw

 

今回は正しい投票ができなくても、次回はできるように

何となく選挙にのぞまないことが何より大切だと思っています。今回は失敗してもいいじゃないですか。

その代わり、自分なりに明確に問題意識を持ち、仮説を立て、実験し、検証することです。次回は正しい投票ができるようにヒントを見つけられれば大成功。

さて僕も行動しよう。基本的には仮説2つを組み合わせて考えるつもりです。

155月

実務家・馬淵澄夫がいなかったら福島第一原発はどうなっていたのか

なぜ、こんなにつまらないタイトルをつけてしまったのでしょうか。『原発と政治のリアリズム』だなんて、まるでイデオロギー本にしか見えません。

実際には、福島第一原発事故当時の、大混乱の様子を詳細に伝え、実務家ならではの鋭い分析を加えた、おもしろすぎるドキュメンタリー。ぐいぐい引き込まれて、夢中で読んでしまいました。

当時の政府や東電の対応は、事故調による総括が終わった今も、多くの謎が残ります。現場で対応に当たり、福島原発4号機建屋にも足を踏み入れた馬淵代議士の視点は、とても貴重なものです。

馬淵代議士が、その実直さを遺憾なく発揮して、釣りタイトルを嫌ったのかもしれませんが、これではあまりにももったいない。

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原発と政治のリアリズム (新潮新書)

 

買収した企業を一から立て直す手腕を発揮した実務家

馬淵澄夫代議士は、奈良1区選出の衆議院議員で、当選4回。大逆風だった2012年総選挙でも生き残った、数少ない民主党議員です。2011年と2012年の民主党代表選挙に立候補しているので、名前だけは知っている、という人も多いでしょう。

東日本大震災後の2011年3月26日には、首相補佐官に任命され、福島第一原発事故対応に当たっています。

馬淵代議士は、ビジネス界出身です。建設・不動産会社で「雑巾がけ」から勤め上げ、買収した印刷機器関連会社の経営と再建を任されます。本のタイトルになっていますが、ここでの経験から、収益を上げ社員の雇用を守る徹底した“リアリズム”と、マネジメント力を身につけたようです。

 

実務家から見た大混乱の原因は統合本部の存在そのもの

『原発と政治のリアリズム』の前半では、細野豪志補佐官(当時)から前触れなく携帯に電話がかかってきた3月25日から語り起こし、当時の現場の大混乱の状況と、その原因の分析に紙が費やされています。

混乱の最大の原因は、端的に言うと、法的権限のない統合本部の存在だったと分析しています。政府と東京電力が一体となって対応に当たるために設置されたはずの統合本部ですが、政府側には指示や命令といった権限がありません。

例えば政府側が、国民第一の姿勢や、諸外国への配慮から、「こう対処してほしい」と要請しても、東電側は「持ち帰って検討します」と応じます。決めるのは東電というわけです。

すれ違いが生じ、政府と東電は、別々にプロジェクトを進め始めていた……という信じられない状況のなか、馬淵代議士が着任します。

 

馬淵代議士がいなかったら一体どうなっていたのか

会社で働いた経験のある人なら、当時の絶望的な状況が、嫌というほど想像できると思います。『原発と政治のリアリズム』を読んでいて感じるのは、「いま福島第一原発がなんとか持ち直しているのは、実は奇跡だったのか……」という、愕然とした感情です。

馬淵代議士は、企業を再建してみせたリアリズムとマネジメント力を発揮して、最悪の現場を、それでも一つ一つ、根気強く解きほぐしにかかります。

本を読んだだけでは、馬淵代議士が全体の中でどの程度の影響力だったのかまでは、計れません。それでも、もし馬淵代議士が事故対応に指名されていなかったらと思うと、マネジメントに優れた政治家の絶対数の少なさを考え合わせても、ぞっとせずにはいられません。本当に次から次へと、目を疑うような状況が浮き彫りにされていきます。

 

原子力ムラの独特の思考回路と、東電の巨大企業ならではの組織論理

『原発と政治のリアリズム』を読んでいて、常に印象的なのは、馬淵代議士の極めて真っ当な感覚です。東電や原子力ムラについても、

彼らの論理に戸惑い、怒りを覚えたことがあったし、今回の事故発生には彼らが大きく関係していることは間違いない。

『原発と政治のリアリズム』p.5

とはしながらも、イデオロギーで批判はしていません。

例えば、東電は「メルトダウンはしていない」と主張していました。これは、意図的に欺こうとしていたというより、“原子力の敗北を認めたくない”という業界の危機感があったり、なぜか“最悪の事態を想定=最悪の事態の発生を宣言”と捉えていたりするせいで、データから明るい材料を積み上げて楽観論を形成しているからだと指摘しています。

 

きちんと反省している数少ないだろう民主党議員

馬淵代議士は、最終的に、2011年6月27日に任を解かれます。菅総理(当時)から提示された経産副大臣のポストを固辞しているのですが、当時の様子も、

菅総理に「申し訳ありませんがお受けできません」と告げると、これまでにない調子で叱責された。その発言の詳細は控えるが、たいそう激昂した様子だった。

最終的には、「ならば補佐官を降りてもらう」との言葉が返ってきた。そもそも補佐官就任の要請は官邸からだった。それを思い出しては矛盾と理不尽さを感じながらも、なんとか落ち着いて「それは、総理がお決めになることです」と言った。

『原発と政治のリアリズム』p.176

と、詳細に記し、経産副大臣を断った理由にも踏み込んでいます。

また、「誤った政治主導」というセクションを設け、民主党政権の反省にまで誠実に言及しています。先日の大反省会でも多くの失望のコメントを目にした民主党ですが、馬淵代議士が代表になっていれば、政権再奪還とまでは言わずとも、少なくともまともな政党には改革できただろうに……と素直に思います。

「なるほど、こういう民主党議員もいるのか」という視点からも、読んで損のない一冊です。

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