キャリア教育

1012月

2013年に学生が最も注目した働き方や情報発信に関する記事ベスト7

『Handmade Future !』の学生向け、働き方カテゴリの記事のうち、2013年に平均ページ滞在時間が最も長かった10記事を紹介します。

アクセス数ではなく、熟読された順にランキングにしました。

 

学生向け、ワークスタイル/2013年平均ページ滞在時間ランキング

1. 僕がフリーランスを天職だと感じるのは、我慢せずに自分らしく生きられている実感があるから

平均ページ滞在時間|00:07:13(1,298PV)

僕がフリーランスを天職だと感じるのは、我慢せずに自分らしく生きられている実感があるから

僕はワーク・ライフ・バランスという言葉が、いまいち好きになれないんですよね。なぜなら、バランスをとるということは、トレードオフで考える前提だからです。バランスを取るために両方を少しずつ犠牲にする、というニュアンスに聞こえる。

本当はみんな、仕事と生活のバランスを取りたいんじゃなくて、自分に向かない事象を可能な限り排除して、徹底的に自分らしく生きたいんです。

 

2. 「やってて楽しいこと」が少ない人は趣味を仕事にできない

平均ページ滞在時間|00:07:06(10,137PV)

「やってて楽しいこと」が少ない人は趣味を仕事にできない

ボールを投げて的(まと)に当てるには、2通りのアプローチがありますよね。1つは、もちろん、慎重に狙う方法。もう1つは、的を増やす方法。つまりたくさん的があれば、いい加減に投げても当たる可能性は高まるわけです。

趣味を仕事にするには、そもそもそれがお金になる水準であること、それからお金に繋げる手段を知っている(マーケティング感覚がある)必要があります。お金になる水準の趣味が多ければ多いほど、趣味を仕事にできる可能性が高まります。

結論は、徹底的に楽しいことだけをやれ、やるんなら全力で。

 

3. 心機一転。学生がブログを始めるべき7つの理由

平均ページ滞在時間|00:06:09(5,153PV)

心機一転。学生がブログを始めるべき7つの理由

ブログ歴15年の僕の経験から、今すぐブログを書き始めたほうがいいと思う7つの理由を紹介。「情報発信くらい、できなきゃまずい」という意識の学生向け。

 

4. 学生を立派な社会人に育てあげている大学は存在するよ。

平均ページ滞在時間|00:06:02(1,081PV)

学生を立派な社会人に育てあげている大学は存在するよ。

世の中では、「大学にキャリア教育なんかできない」と当然のように語られているんですけど、実際に学生を立派な社会人に育てあげている大学は存在するんです。

静岡県立大学経営情報学部・国保ゼミの事例を紹介。

 

5. [就職活動]仕事はやりがいや社風で選ぶな。ワーク&ライフスタイルを基準に選べ!

平均ページ滞在時間|00:04:45(4,344PV)

[就職活動]仕事はやりがいや社風で選ぶな。ワーク&ライフスタイルを基準に選べ!

就職・転職活動を十数年のあいだ経験してきた実感から言えば、“やりがい” “社風” “企業理念”などは、実際に働いてみなければわかりっこないです。インターンシップ → そのまま入社以外に、自分の希望する職場かどうか前もって知る方法はないと断言します。

やりがいや社風よりも、自分に合ったライフスタイルの職業かどうかで判断するのを、個人的にはおすすめします。

 

6. 17,200時間、地球約17周の無駄について。

平均ページ滞在時間|00:04:32(7,346PV)

17,200時間、地球約17周の無駄について。

通勤時間です。往復2時間の通勤を年間200日、22歳から65歳まで続けたら、17,200時間。40年ちょっと働いて、うち2年間に相当する時間は、通勤のためだけに費やされるんです。仮に片道40kmだとしたら、688,000kmの移動距離。地球約17周です。

僕はおかしいと思います。

 

7. 学生が10年後に成功できる2つのモデル

平均ページ滞在時間|00:04:00(2,825PV)

学生が10年後に成功できる2つのモデル

業界で上位数%のプロになるか、それとも自分だけの強味を持ったプロになるか。もちろん、専門家だけが成功の道だけではないので、これらが自分には合わないという可能性もあります。

ただ、未来がどうなるか誰にもわからない中で、この2種類ならば成功できるだろうと僕は考えています。

3011月

新卒で天職を見つけられなくても何も問題はない

天職を見つけるためには、

1. 環境に縛られず、自分の欲求に耳を傾ける
2. 広く社会を見渡して、世の中の多様性を知る
3. さまざまな可能性を消していき、自分の “玉” を見つける

という3つの手順を踏む必要があります。1はともかく、2と3は社会に出てから学ぶ結果となるのが一般的です。新卒で「天職を見つけなければ」と焦る必要は一切ありません。

 

新卒が天職を見つけられないのは当然

僕が新卒で就職活動をしたのは、もう10年以上も昔です。当時から、終身雇用の神話は崩れつつあり、また景気減退の影響で、売り手市場から買い手市場へとシフトしつつある状況でした。

ここ数年に比べれば、まだマシだとはいえ、就職活動に悩む同世代は少なくなかった印象があります。「こうするのが当然だ」と疑わない層と、「ホントにこれでいいのかな?」と自信を持てない層が、混在していた感じですね。

僕自身、会社が一生の居場所であるようには思えませんでした。周囲に流されるように、就職活動を少しはやってみたものの、違和感がありありで、すぐにやめてしまいました。

もっとも、卒業するのに単位がギリギリだったという影響もありますが。卒業が決まってもいないのに、悩むのはバカらしい、と。

僕は今では、自分らしく生きられています。

僕がフリーランスを天職だと感じるのは、我慢せずに自分らしく生きられている実感があるから

が、これが天職だと自信を持てたのは、30歳を過ぎてからです。つまり、大学を卒業してから10年前後ものあいだ、あーでもないこーでもないと試行錯誤を繰り返してきました。

振り返ってみれば、「新卒で天職など見つけられるはずがなかった」と断言できます。なぜなら、社会がどんな場所であるかわからないのに、自分の居場所を想像できるはずがないからです。

大学を卒業して社会に出て初めて、社会はどんな仕組みで回っているのか、どんな可能性があるのかを知り、自分らしく生きる方法にたどり着けたわけです。

 

環境に縛られず、自分の欲求に耳を傾ける

天職を見つけるには、大前提として、「自分がどうしたいのか」をしっかり意識する必要があります。

人間、“環境” や “常識” に、知らず知らず流されます。

新卒で就職するのが当たり前だから、と自分の内側に寄生している違和感を封殺するのではなく、しっかり真正面から向き合うんです。

僕自身は学生時代、作家になりたいと思っていました。より正確に言えば、作家みたいなワークライフスタイルが自分に合っている(自分にはこれしかできない)、と直感していたんです。

[就職活動]仕事はやりがいや社風で選ぶな。ワーク&ライフスタイルを基準に選べ!

とりあえず夢中で働いてみたり、こどもが生まれてからは生活のために働いてみたり、と紆余曲折はありましたが、結果として “作家みたいなワークライフスタイル” にたどり着いています。

正直、狙っていたわけではないので、振り返ってみると驚きます。「自分がどうしたいのか」を意識できていなければ、こうはならなかったでしょう。

 

広く社会を見渡して、世の中の多様性を知る

学生のあなたが、自分にあった生き方を想像できないのは、当然です。

基本的に、小学校、中学校、高校、大学と、教育現場には、社会との接点がほとんどありません。教育現場は、社会の荒波から守られなければならないので、これは「悪」ではありません。

ただ、度が過ぎているんです。

社会科見学や、学生アルバイト程度では、社会の極めて限られた一部分しか知れません。

【課題に気づいて、優れた取り組みをしている現場もあります】
学生を立派な社会人に育てあげている大学は存在するよ。

結果として、仕事=よくわからないけど大変で、毎日疲れて、嫌だけど生活するためにやらなくちゃいけないもの、という印象しか持てないハメになる。

こんな状況で、自分が社会の中でどう生きていけばいいのかを、想像できるはずがないんです。

もしあなたが、小さい頃から広く社会を見られる環境に育っていて、「自分はこうしたい」という思いがすでにあるのなら、幸運です。

圧倒的大多数の学生はいま、途方に暮れているでしょう。

でも、心配はいりません。大学を卒業して社会に出てから、広く世の中を見渡していけばいいんです。

世の中には様々な生き方をしている人が存在します。

 

さまざまな可能性を消していき、自分の “玉” を見つける

たくさんの可能性を知ることで、相対的に自分に合っているものと、そうでないものが見えてきます。

だから躊躇することなく、おもしろそうと感じた存在、魅力的に見える対象に突撃してください。

僕は作家になりたいと思っていたので、企業に就職するのではなく、小説を書き続けながら校正のアルバイトを始めました。それくらい自由に発想していいと思います。

いちばんの遠回りは、「あのときこうしていれば良かったかも……」という後悔です。

人間、体験しなければ割り切れないものです。

割り切れない、とネガティブな表現をしているのは、人生の大半は可能性を消していく作業だからです。

こどもの頃は、宇宙飛行士になりたいだとか、総理大臣になりたいだとか、自由に宣言できます。

が、現実には、環境であったり、自分自身の能力であったり、運であったりを無視することはできません。徐々に「これは無理だ」「あれも無理だ」と悟っていきます。

可能性が消えていくのは、別に不幸ではありません。なぜなら、そうやって磨き上げていくことで、本当に自分らしい “玉” が自身の内側にはっきりと現れてくるようになるからです。

あれもダメ、これもダメ……やっぱり自分にはこれしかないな!

明確に意識できたとき、恐れるものは何もなくなります。無敵です。

 

何事もモノになるまで10年かかるのが普通

若干20歳という史上2位の若さで第130回芥川賞を受賞した、小説家の金原ひとみさんは、実は12歳から小説を書いていたそうです。

父(金原瑞人:翻訳家・児童文学研究家)が法政大学で開講していた小説創作ゼミに、中学3年生で参加するなど、小説を学ぶ環境も申し分なかった。

「20歳で芥川賞受賞」とだけ聞くと、天才と言いたくなりますけど、実際は約8年もの積み重ねがあったわけです。

趣味でも、スポーツでも、仕事でも、なんでもそうですが、モノになるまでには、約10年かかるのが普通です。

学生のあなたが今、得意としている何かがあるとすれば、それは1年2年で身についたものではなく、幼少期からそれらが身につく環境にいたからでしょう。

「自分がどうしたいのか」をしっかり意識し、広く社会や世の中を知り、積極的に可能性を潰していって、自分の “玉” を見つける。

天職に出会うまでには、5年や10年はかかります。

焦る必要はありません。

自分の欲求に素直に、大学卒業後の未来を考えてください。

308月

学生を立派な社会人に育てあげている大学は存在するよ。

 
新卒の教育コストを負担に感じる企業が増えてきているようなのは、やはり大きな問題です。新卒一括採用のゆがみや、雇用不安、雇用の流動化は現実に起きています。「このままではまずい」と実感している人も多いのでしょう、教育コストを誰が担うのかの問題については、世間の感心も高いようです。

意見:なぜ、企業が未熟な新卒を育てる必要あるの?—誰が教育を担うのか – BLOGOS(ブロゴス)

「なぜ、企業が未熟な新卒を育てる必要があるのか?」という問題提起は、秀逸だと思います。

今まで当然のように企業が負担していたコストですが、言われてみれば、企業が負担しなければならない決まりがあるわけではありません。会社固有の仕事上のルールは当然ながら教えるにしても、他人とのコミュニケーションや、PDCAサイクルの進め方、物事を抽象化して捉える訓練など、必ずしも企業が教育する必要はありません。

社会の仕組みや、諸般の事情を考え合わせて、「やっぱり企業が負担するべき」という結論も当然あるとは思いますが、常識にとらわれず、どうするのがもっとも効率が良く、最善なのかを考えるきっかけとなるので、これはすごくいい記事だと思いました。

 

“家庭や大学に教育はできない” は本当か?

ただ、上記記事のコメント欄を見ていて、一つ歯がゆいことがありました。“家庭や大学には教育はできない” という見解が、疑う余地のない真理であるかのように語られていた点です。

いま社会人である私たちのほとんどは、家庭や大学で、社会で役立てられるような経験ができなかったはずなので、こうした意見が幅をきかせるのは当然と言えば当然です。

しかしながら僕個人は、家庭や大学にも、立派な社会人を育てるための教育ができると考えています。なぜなら現実に、学生を立派な社会人に育てあげている大学が存在するからです。

何より、「あっちもダメ、こっちもダメ、はい!だから会社が教育すべき」と押しつけ合っても、実社会は動きません。成果を出しているシステムを応援して、完成度を高め、周囲が真似するように持っていくほうが有意義です。

 

静岡県立大学経営情報学部・国保ゼミ

僕が知っている “現実に学生を立派な社会人に育てあげている大学” とは、静岡県立大学です。静岡県以外の方にはあまり馴染みがないと思いますが、公立大学であり、静岡県内ではなかなか優秀な学生が集っているようです。

その中で、経営情報学部の国保祥子先生と懇意にさせてもらっています。きっかけは、僕が運営しているニュースサイト『FutureCenterNEWS JAPAN』の取材で、国保ゼミで運営しているフューチャーセンターにお邪魔したことでした。

【フューチャーセンターの様子】
抜群の居心地。静岡県立大学国保ゼミフューチャーセンター | FutureCenterNEWS JAPAN

【国保ゼミから派生して、静岡市内でフューチャーセンターが広がりつつある】
“地域に一つフューチャーセンター” へ一歩を踏み出しつつある静岡県 | FutureCenterNEWS JAPAN

実はこのフューチャーセンターが、学生へのキャリア教育にあたってすごく重要な役割を果たしているのですが、興味のない人にはチンプンカンプンだと思いますので、ひとまず置いておきます。

 

女子学生が企業とコラボして静岡土産を開発。しかも高品質

国保ゼミでは、ゼミ生が必ず何かしらのマイ・プロジェクトに取り組みます。講義で経営学を学び、ゼミで実践するというわけです。ゼミ生が取り組むプロジェクトはさまざまで、大学の売店の改善であったり、地元商店と連携した地域活性策であったり、企業とコラボレーションした商品開発であったりします。

詳細はアニュアルレポートをお読みください。

中でも僕が注目していて、見事に結実したのが、石田裕紀子さん(2013年春卒業)による『茶の和』プロジェクトです。静岡育ちの学生が、静岡らしいお土産を生み出して地元を元気にしようと、地元企業とコラボレーションして商品開発をしました。

【新発売時の様子をレポート】
女子学生が企業とのコラボで地元活性に挑む。新東名の新土産に『茶の和』をどうぞ!

【インターネット販売を開始】
絶品! 女子学生が作った新しい静岡みやげ『茶の和』が通信販売を開始

【触発されて書いたHandmade Future !の記事】
「近頃の新卒は使えない」はみっともないと思わない?

学生が商品開発を成し遂げた、というだけでもすごいのですが、何より驚いたのが、生み出した商品の完成度の高さです。たくさんの試行錯誤や挫折があったと聞いていますが、実際に『茶の和』を手にとって味わってみれば、それだけのことはあると感心してしまいます。正直なところ僕には、ここまで根気強く丁寧に商品開発をする自信はないですね。

 

社会との接点をいかに作るか?

私たち、すでに社会に出ている大人からすると、大学で社会経験を積むなんてできないという感覚が強いはずです。

なぜなら通常の学生生活とは、講義に出て、友達と遊んで、卒業論文を書くだけ。意識して行動するのでなければ、社会や(大学教員以外の)大人と接する機会など皆無に等しいわけです。せいぜいがアルバイトですが、大して責任も背負わず時給のために働いたところで、実社会で役立つような経験にはなりません。

実ところ、大学の大半が抱える致命的な問題点と言えると思います。大学卒業後はほぼ例外なく社会に出るわけで、大学は教育現場と社会の境目であるわけですから、大学で社会に出るための準備を済ませておかなくては、やはり問題(つかえない新卒、新卒採用のミスマッチ、などなど)が起きます。

このような視点からすると、大学の課題とは、いかに社会や社会人との接点を生み出すかに集約されると言っても過言ではないはずです。

 

大学と地域社会の接点を生み出しているフューチャーセンター

国保研究室。フューチャーセンターの場作りのために、まるでカフェのように改装している

国保研究室。フューチャーセンターの場作りのために、まるでカフェのように改装している

国保ゼミでは、毎週月曜日の夜にフューチャーセンターを定期開催しています。ゼミ生や他学部・他大学の学生はもちろん、地域の社会人を招いて、年齢や立場を超えたフラットな意見交換・対話がなされています。

フューチャーセンターで話し合われるのは、学生のプロジェクトについてであったり、地元企業の新規事業についてであったり、さまざまです。

学生は、知識や経験が不足しがちである一方、社会常識に囚われないゼロベース思考が得意という特徴があります。社会人は逆で、知識や経験は豊富ですが、環境に縛られている影響で自由な発想をするのが苦手な傾向があります。フューチャーセンターでは、互いの強味を活かし合い、弱味を補い合っているというわけです。

(今回は学生のキャリア教育がテーマなので詳細は省きますが、社会人側も学生から多大な恩恵を受けています。参加者の誰にとってもメリットがあるからこそ、場がうまく回っています。)

 

聖域にいながら何度でもチャレンジできる環境が大切

フューチャーセンター開催前の様子。研究室とは思えない居心地の良さがある。学生の滞在率も上がったというが、これなら当然だろう。うらやましいかぎり。アイスブレイクの軽食は地元商店で調達している

フューチャーセンター開催前の様子。研究室とは思えない居心地の良さがある。学生の滞在率も上がったというが、これなら当然だろう。うらやましいかぎり。アイスブレイクの軽食は地元商店で調達している

例えば前述の『茶の和』を開発した石田裕紀子さんが、何度も挫折しながらも、課題と向き合って根気強くチャレンジできたのは、知識・経験の豊富な社会人の存在があったからこそです。

国保ゼミでは、大学という(社会の荒波から守られている)聖域にいながらにして、人付き合いのマナーであったり、仕事の進め方であったり、問題解決プロセスを学べます。仮に失敗してもサポートしてくれる大人がいて、当人に意志さえあれば何度でもチャレンジできます。

こうして立派にプロジェクトを成し遂げた学生ならば、社会に出ても戸惑うことなく、バリバリやっていけそうだとは思いませんか? 

 

現場レベルでは試行錯誤が続いている

雰囲気はすごくいい。顔見知りが誰もいない状態で初参加したとき、学生が気さくに話しかけてきてくれて驚いた。国保ゼミ生は社会人と接する経験を重ねているので、社会人を恐れない

雰囲気はすごくいい。顔見知りが誰もいない状態で初参加したとき、学生が気さくに話しかけてきてくれて驚いた。国保ゼミ生は社会人と接する経験を重ねているので、社会人を恐れない

もちろん完成されたシステムというわけではないでしょう。外からは見えにくい部分で、学生の個性によってはうまく行かなかったケースもあるに違いありません。これからも国保先生の試行錯誤は続くはずです。

とは言え、こうしたモデルケースの存在は、大学によるキャリア教育の可能性に一石を投じます。実際に成果を出している研究室があると知れば、“家庭や大学に教育はできない” とは軽く口にできないはずです。

大学教育全体でみれば、まだまだではあるのでしょうが、現場レベルではきちんと課題を認識して、真摯に取り組んでいる方々がいます。きっと国保ゼミだけではないでしょう。日本全国あちこちで、小さな挑戦が芽吹いていると思われます。

また蛇足ですが、家庭でのキャリア教育に関しても、気づいている人は気づいて、すでに取り組んでいます。

自分で稼いだお金で初めてウォーターパークへ行ってきました

僕が子供を仕事に連れて行きたい5つの理由

こちらもある程度ノウハウが蓄積されてきて、また親が「学校や会社だけには任せておけない」と考えるようになれば、自然と広がっていくはずです。

繰り返しになりますが、新卒の教育は負担だからと押しつけ合ったところで、社会は動きません。結局は全てのしわ寄せが学生へ行き、「学生がそれぞれ努力するしかない」という厳しい結論になってしまうはずです。

個人的には、学生や新卒の教育を無駄なコストだと忌避する姿勢は好きではありません。家庭・教育機関・企業の三者がそれぞれ、自分のところでできる教育は精一杯引き受けるべきだと思います。

僕自身、学生とかかわるのが好きなので、できることをやっています。微力ではありますが。あらゆる人が通る道なのだから、一人一人ができる範囲で少しずつサポートする風潮が生まれてほしいですね。

 
国保ゼミのフューチャーセンターについて: 国保研究室

127月

中学生・高校生・大学生は匿名でどんどんガチ議論するべき。

インターネット空間での発信力を磨くには、実際にWEB発信をして経験を積む以外にありません。とは言え、善意も悪意も混在するWEBの世界では、未熟なまま活動するのは大きなリスクがあります。

経験を積んでスキルが身につくまで、匿名で活動するのがベストです。匿名も利用の仕方によっては大きなメリットがあります。

 

発信を恐れる学生(若者)の存在

知り合いの学生のこっちゃんが言うには、情報発信の重要性を肌で感じていても、ためらってしまう理由は「学生の分際で、こんな偉そうなことを言って(書いて)いいのかな?」というおそれだそうです。

もう少し拡大解釈すれば、他人に意見されたり、誹謗中傷されたり、という恐怖に繋がっていくはずです。

しかしながら、インターネット空間での発信力を磨く唯一の方法は、実際にWEB発信をして経験を積み、スキルやリテラシーを身につける意外にありません。恐れて発信をためらっていると、いつまでたっても情報発信スキルは上達しません。

 

リスクは確実にある。何が何でも発信しろとは言えない現実

とは言え現実を見れば、何が何でも発信しろとは言い難いところがあります。実際、こっちゃんに、「慣れの問題だから発信しなよ」とは言えませんでした。

インターネットの世界はフラットです。善人も悪人も、百戦錬磨のプロもよちよち歩きの赤ちゃんも、分け隔てなく共存しています。未熟なのにいきなり実名で発信するのは、丸腰で銃社会に飛び込んでいくようなもの。運悪く悪意のある人間に遭遇してしまえば、あっけなく撃ち殺されてしまいます。

昨今の炎上騒ぎのように、“失敗や過ちを全世界に晒されて社会的に抹殺される” みたいなところまで行かずとも、誹謗中傷されて恐怖感や苦手意識が体に染みついてしまえば、結局はWEB発信から遠ざかる結果になります。スキル・リテラシー不足というだけでなく、単に若さゆえに失敗し、取り返しのつかない事態に発展する可能性があるのは、大きな問題です。

 

身を守るすべを身につけるまで匿名で活動する

例えばイケダハヤトさんのように、暴力が幅をきかせ、攻撃性が蔓延する世界はおかしい、という意見もあります。

20代の論客が少なすぎる件—なぜ若者は語らないのか? – ihayato.書店

まったくそのとおりだと思うんですが、僕はもう少しドライな立場です。どんな世の中だったとしても、身を守るすべ(リテラシー)さえ身につけていけば、自由に泳ぎ回れるようになります。

もちろん、ある程度の資質が求められ、誰にでもできることではないでしょう。でも、世の中を変えるのはもっと難しいし、何より即効性に大きな問題を抱えています。30年後、50年後に世の中が変わったとしても、現在の若者は大きな損失をこうむる事実は変えられません。

世の中を変える活動、未熟な若者でも発信しやすい環境整備に異論はありません。ただ、個人レベルでは、インターネット空間で身を守るすべを身につける努力をもっと重視すべきという立場です。

そこで提案したいのが、匿名での活動です。身を守るすべ(リテラシー)を身につけるまでは、失敗しても死ぬことがない匿名で発信する。実際、僕はそうやってWEBリテラシーを身につけたし、文章で他人を説得する練習をしました。

 

匿名を戦略的に活用せよ。真摯な姿勢なら匿名も許されていい

匿名というと何だか “卑怯” のように言われるケースもありますが、僕は必ずしも悪だとは思っていません。利用の仕方によっては、「失敗が許される」という、大きなメリットを活かせます。今ではBBSのかわりに、Twitterやメディアのコメント欄があります。これを活用しないのはもったいないと僕は思います。

重要なのは、息抜きやストレス解消のためではなく、未熟な自分を鍛える意識を持って匿名を利用すること。具体的には、どうやったら相手をバカにできるかでなく、どうやったら「相手を説得できるか」「巧く自分の考えを伝えられるか」を考えます。

相手をバカにする技術は、(自分自身のストレス解消以外に)将来なんの役にも立たないんですよね。そんなものを磨いても、ちっとも意味がない。おまけに、気持ちよくない。気持ちいいのは、相手と理解しあえたときと、自分の考えをうまく伝えられたときです。

僕は、ちょうど中学生くらいのときに家庭にパソコンが普及し始めた世代です。当時はインターネットと言えば怖いところで匿名が当然でした。BBS(掲示板)を主戦場に、ハンドルネームでさまざまな意見交換や議論をしました。

当時、中高生だった僕は、大人相手に腕試しをする気持ちでした。うまくいくこともあったし、失敗することもありました。こちらのほうが未熟に決まっているので、失敗してもあまりヘコみませんでしたね。

真摯な姿勢で臨むのであれば、ゲーム感覚で全然かまわないと思います。どうしたらノーダメージで倒せるのかとか、勝てるからってハメ技ばかり使ってもつまらないとか、攻略法を極めていくんです。

うまく相手と理解しあえなかったり、説得できなかったときは、なぜなのか原因を推測し、違うアプローチを試します。負けても何回でもチャレンジしなおせます。相手と理解しあう技術、うまく自分の考えを伝えるスキルは、言うまでもなく一生役立つので、いくらやっても損はしません。

失敗から学び、成長を続けている限り、そう遠くないうちに大人に追いつき、追い越せるところまできます。

 

アバターを攻撃されても痛くもかゆくもない。無敵のチート状態

こちらがどんなスタンスでいても、必ず悪意を持った誰かに誹謗中傷される機会があります。それが現実です。

でも、匿名のあなたは、アバターであって、あなた自身ではないんですよね。

映画『アバター』では、アバターが死んでも、操縦者は激しい痛みを感じるだけで死にません。まったく同じで、誹謗中傷されれば腹が立つし、誰でも精神的ダメージを受けるんですが、実際には本物のあなたは何も攻撃されていないんです。

100%安全な立場にいるんだと打算的に考えてください(もちろん、実名アカウントとの関連は完璧に断ち切っておくこと。ちょっと調べたら簡単に実名に行きつくんじゃ、アホすぎます)。匿名を使っている限り、あなたは絶対に負けない無敵のチート状態なんです。失敗が許され、何度でも挑戦できる、成長には最高の環境にいると自覚してください。

匿名のメリットを最大限に活かして、たくさんの経験を積んでください。自信がついてきたら、実名発信に切り替えていってください。情報発信の観点からは、実名のほうが大きなメリットを得られるケースが多いですからね。

昨今は時代が変わり、若いうちから活躍できるほうが有利です。中高生のうちから最低5年は匿名で発信して経験を積み、大学生になると同時に実名に切り替えられるくらいがベターではないでしょうか。

186月

もしあなたが日本社会に違和感を覚える若者ならば必読|『レイヤー化する世界』佐々木俊尚著 書評

佐々木俊尚著『レイヤー化する世界 – テクノロジーとの共犯関係が始まる』の書評です。日本社会に違和感を覚える若者たちが、日々感じているストレスの理由を論理的に理解するために、現時点で最高の書物です。

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『レイヤー化する世界』はそもそも誰が手に取るべき本か?

『レイヤー化する世界 – テクノロジーとの共犯関係が始まる』の価値は、冒頭の一行に凝縮されています。

この本は、いま新しい世界の構造がつくられようとしている、ということを解説した本です。

しかしながら、これでもまだ、ピンとこない人は多いだろうと想像します。『キュレーションの時代』や『当事者の時代』を書いた佐々木俊尚さんの最新作だから気になるが、どうにも一歩を踏み出すべきなのか確信が持てない。なぜなら、新しい世界の構造がつくられる事実を知ったところで、自分にどんなメリットがあるのか、想像しにくいからです。

たとえばこれが、“国民国家が終焉を迎える時代の行動指針”だとか、“富が増えない時代に私たちはどうすべきか”というタイトルであれば、世の中の最新の動向を把握したいと欲するビジネスパーソンを中心に、躊躇なく手に取る人はもっと多かったでしょう。

でも、別のタイトルが付けられました。具体的には、内容の要約です。本書を読み終えた後なら、タイトルの言わんとする内容が理解できます。ソーシャルメディアで影響力を持ち、読者との関係性構築に注力する佐々木俊尚さんでなければ、まったく売れなかっただろうと想像します。メインターゲットすら、タイトルからはうかがい知れないのですから。

おそらくジャーナリストとしての立ち位置、「煽動ではなく、事実を提示するのが役割」との倫理観や価値観が理由ではないでしょうか。

 

働き盛り層の圧倒的大多数は、読めば息苦しくなるだけ

本書を読んで一つ確実なのは、働き盛りの40代前後はメインターゲットではない事実です。「次の時代のサバイバル術」的なタイトルをつける必然性はなかったと言えます。

佐々木俊尚さんはいつも、ほんの少しだけ未来に見えている事実を、誰よりも早く体系的論考にまとめて世の中に発信します。ちょっとだけ敏感な人々が薄々感づいている世の中の状況を、わかりやすく形にして提示してくれるのです。

個人的には、情報社会の構造を描き出してみせた『キュレーションの時代』から受けた納得感は尋常ではありませんでした。いろいろな立場のいろいろな人が、今までのやり方がうまくいかなくなった原因を糾弾していましたが、どうしても違和感が拭えませんでした。『キュレーションの時代』を読んで、すべてがつながり、違和感が解消できた経験があります。

佐々木俊尚さんが語るのは、いつも、現在の延長線上の必然です。未来予測や、ましてや予言ではありません。実際にいま目の前で起きている事実を統合すると、自然と見えてくる、近い将来を描き出しているだけです。

だからこそ問題になるのは『レイヤー化する世界』が紡ぎ出す一歩先の未来像が、旧来的社会システムの残滓で生きている圧倒的大多数にとっては、絶望的な内容である事実です。誰だって「あなたのやっていることは限界で、そのうち上手くいかなくなるよ」と言われれば、気分を害するし、とうてい納得できないでしょう。

おまけに崩壊するのは、音楽業界や地方行政といった限定的なものではなく、国民国家であり民主主義です。あまりに根底的かつ大きな概念が対象であるため、「そんなはずがあるわけはない!」と驚き憤り、「阿呆だ」「ほら吹きだ」「浅慮すぎる」と罵倒し、「議論に値しない」と無視しようとする人は少なくありません。(現時点では数は少ないですが)Amazonの書評にも現れています。個人的に、彼らの心情は痛いほどに理解できます。

 

あなたが日本社会に違和感を覚える若者ならば溜飲を下げる

佐々木俊尚さんはTwitterで「10代が想定読者層」と明言しています。

私は上記ツイートの存在を、本書を読んだ後で知りました。が、読みながら「『レイヤー化する世界』を読むべきなのは、これから社会に踏みだそうとする若者か、子育てをする親だろう」と考えていました。

私は仕事や活動の関係で、学生と接する機会がふつうの社会人よりは多いのですが、彼ら若者は等しく日本社会に、矛盾や、もどかしさを感じています。

実は若者たちは、『レイヤー化する世界』に描かれる、新しい社会に適応した生き方を、すでに自然に行いつつあります。しかしながら彼らがひとたび社会に出ようとすると、いまだ影響力が残り続ける旧来的な社会システムとの衝突が避けられません。例えば、就職にポジティブになれない若者の存在や、就活自殺は、彼ら若者が本能的に覚える日本社会への違和感が大きな原因の一つになっている、というのが、学生に触れていての実感です。

日本社会に違和感を覚える若者たちが、日々感じているストレスの理由を論理的に理解するために、『レイヤー化する世界』は現時点で最高の書物です。学生や、社会に出て間もない若者は、深く頷いて納得し、溜飲を下げるに違いありません。働き盛りのビジネスパーソンが反感を覚え、「いや、でもそれは」と言いたくなるような要素も、彼ら若者にとっては当たり前の状況でしかないはずです。

また、これから子供を育て社会に出す親にとっても、明確に読む価値のある本です(私自身、4歳と1歳の子育て中です)。自分自身は旧来的社会システムの残滓で逃げ切れても、子供の世代はそうはいかない可能性が高いからです。具体的にどんな子育てをするべきなのかは、親それぞれが試行錯誤するしかありません。が、『レイヤー化する世界』は、決断において、重要な材料になってくれるでしょう。

 

気になるのなら、手に取らない理由は見当たらない

10代を想定読者にしている、わかりやすい本です。

誰にとっても読む価値があります。一歩先の未来を的確に描き出しています。『レイヤー化する世界』を読まずに、現在進行形で起きている世の中の変化を理解するのは、間違いなく骨が折れるでしょう。

内容に反感を覚えるか、納得するかは、旧来的社会システムへの依存度次第です。ビジネスパーソンの圧倒的大多数にとっては楽しい本ではないでしょう。若者にとっては、キャリアを考えるうえでの又とない材料になります。

同時に、タイトルの影響で、つまらなそうに見えてしまっている本でもあります。もし、「ピンとこない」程度の不確かな理由で手に取るのを躊躇っているのなら、心配はいりません。いつもの佐々木俊尚さんの本と同じように、手に取った者の洞察を広げ、決断の糧になる種類の本です。

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