Author: Keiichi Yorikane

1611月

バスツアーで酷い目に遭ったのでバスツアーの長所と短所を整理してみた

先日、入間基地航空祭にブルーインパルスを見に行ってきたんですが。利用したバスツアーで酷い目に遭いまして。

せっかくだから、バスツアーの長所と短所を整理してみたいと思います。だって、長所はすぐに実感できるけど、短所は酷い目に遭わないとわからないもの。

 

バスツアーの長所

1. 運転しなくていい

これは車で出かけるケースの多い我が家としては、けっこう感動的でした。

遊びに行って疲れると、帰りの運転なんて眠くて仕方ないですしね。そもそも、運転するだけで疲れわけだし。体力的な面では非常に楽ができました。

電車での移動と比較しても、目的地まで乗り換えをする必要がなく、座席が保障されているので、かなり安心感があります。

 

2. 初めての場所でも、現地まで道に迷う心配がない

初めての場所へ行くのって、けっこうプレッシャーがあります。

車であれば、カーナビがある時代とはいえ、渋滞予測を勘案しながら経路を調べ、到着した先での駐車場の有無を調べ、と下準備は必須。

電車であれば、乗り換えが苦手な人もいるでしょう。

着いたら着いたで土地鑑がないわけで、現地での行動はなかなか気を使います。

その点バスツアーであれば、現地までさっと連れて行ってくれて、安心感がありました。仮にバスが道に迷ったとしても、正しい経路を見つけるのは運転手と添乗員の役目ですし。

 

3. 比較的スペースが広いので、楽ちん

バスの座席は、乗用車にくらべるとかなり広いです。天井も高く、圧迫感が少ない。

今回、4歳と2歳のこどもたちを連れて行きましたが、マイカーでの移動に比べて、かなりのびのびしていました。

長い時間の移動も比較的しやすいはずです。

 

バスツアーの短所

1. ツアー会社、添乗員の善し悪しに左右される

ツアー会社の口コミサイトとかって、あるんですかね。実感として、ツアー会社や添乗員の善し悪しに、かなり影響を受けると感じました。

今回のツアーでは、ツアー会社は最悪、添乗員はかなり質の高い気配りをしてくれました。

まず、入間基地航空祭後の帰りの待ち合わせ場所が、何の予告もなく変更されていました。もちろん、全員に一人ずつ連絡する手段なんかないと思うので、変更したら変更したで、元の待ち合わせ場所に誰か人がいてくれなければいけないのに、それも無し。

待ち合わせ場所に着いたのに、添乗員は見当たらず、呆然とするしかないわけです。さんざん歩き疲れていて、さらに疲れきった子供も一緒だったので、本当に困りました。

話を聞けば、同一のツアー会社から同じバスツアーがいくつか出ていて、「全員を集合させるために手狭だったので場所を変えた」というのですが。ちょっとねえ。

また、帰りのバスを停めてある場所が、集合場所から遠い。とにかく遠い。いまGoogleマップで検索してみたら、約800mはありました。普通に歩いて10分くらいでしょうか。当然、歩き疲れていたので、それ以上にかかりました。

そこにしかバスを停める場所がないのかというと、そうではないんですよね。すぐ近くにずらっと他のツアーバスが並んでいたので、単に場所を確保できなかっただけ。ツアー会社の手際の悪さにはグッタリしました。

こんな状況のなか、担当の女性添乗員さんはかなり頑張ってくれていまして、アテンドも上手だし、コミュニケーション能力も高かったんですよ。だから、本当に当たり外れだなと感じました。この方が全体を統括していたら、こんなめちゃくちゃにはならなかったはずです。

実際、他のツアーバスの乗客と合流したときに見ていたら、他の添乗員はかなりグダグダで、乗客から大声で文句を言われている始末だったんです。

 

2. 乗り合わせた人たちによって被害を受ける

バスツアーの場合、トイレ休憩、現地と、自由行動になる場面が必ずあるかと思います。で、集合時間を指定されるわけです。

が、土地鑑のない場所で、集合時間を守るのって、かなり難しいです。実際にやってみて、実感しました。

気をつけていても、ギリギリになってしまったり、ややオーバーしてしまったり。

世の中にはいろいろな人がいるわけで、当然、時間にルーズな人もいるわけです。どんな人と乗り合わせるか、もうこれは、完全に運です。

今回、連絡をせずに帰ってしまった、という人がいました。もちろん、確認できるまでバスは動けません。酷いもんです。(^^;;

集合が遅れれば、それだけ出発時間も遅れます。場合によっては観光地を飛ばしたり、帰宅時間が遅くなったりします。

 

3. 渋滞に巻き込まれると酷い

バスツアーは、道路が混雑していればお手上げです。

平日のツアーであればいいのですが、土日祝日や、連休のまっただ中だったりすると、ひたすら渋滞にハマり続けるしかなくなります。

マイカーであれば、寄り道して時間を潰して空いてから帰るとか、渋滞に疲れてしまったらレストランに入って休憩するとか、いろいろ方策があるわけですが、それができません。

もちろんトイレにもなかなか行けないので、水分摂取を控えるわけですが、これがけっこうストレスだったりします。うかつにビールなんか飲めませんよ。

 
以上、かなり個人的な経験ではありますが、バスツアーで酷い目にあった経験から、バスツアーの長所と短所を整理してみました。

うーん、個人的には、激混みが予想されるようなケースでは、二度と使いたくないですね。ややマイナーな観光なら、また違うのかもしれませんが。

参考にしていただければ幸いです。

1511月

初心者が絶対に買うべきNikonのDXレンズセット3パターン

DXフォーマットの利点は、携行性です。軽量コンパクトかつ必要充分なレンズセットを揃えてこそ、真価が発揮されます。

レンズは1本ずつ購入して使い倒したほうが、焦点感覚やレンズ特性(おいしい部分)が掴めていいため、まとめて買う必要はありません。

ただ、最終的なレンズ構成をどうするかは、あらかじめ考えておいたほうが、無駄な(必要ない)レンズを購入せずに済みます。




 

1. おすすめレンズセット(トータル約765g)

by カエレバ

AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
約200g

by カエレバ

AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II
約565g

現在、8本のレンズを持っていますが、9割方はこの2本のレンズで済んでいます。大口径望遠レンズを使う必要がある、18mm以上の超広角で撮影する必要があるなど、よほど特徴的な写真を撮るのでない限り、この2本さえあれば充分です。

「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」は、NikonのDXの基本となる、標準画角の大口径単焦点レンズ。画質が素晴らしく、安価なので、どんなケースでも絶対に買うべきです。

暗い室内から、街中でのスナップ、こどものポートレートまで、これ一本でデジタル一眼レフカメラのおもしろさを存分に味わえます。

レビューも書いているので参考までに。

Nikon 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G レビュー | Photo Gallery of Keiichi Yorikane

「AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II」は、「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」ではカバーしきれないあらゆるシチュエーションをカバーする万能レンズ。単焦点に比べれば劣りますが、画質も悪くありません。

個人的にはほぼ18mm(広角)と200mm(望遠)でしか使っていません。なぜなら、それ以外の標準〜中望遠は、撮影する側が移動すれば、ほぼ「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」でカバーでき、画質もいいからです。

なるべく単焦点で撮影できるものは単焦点で撮影し、どうしてもカバーできない画角のみ、「AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II」に助けてもらうという考え方です。

 

2. 広範囲カバー型・レンズセット(トータル約995g)

by カエレバ

AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED
約460g

by カエレバ

AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
約200g

by カエレバ

AF-S DX VR Zoom-Nikkor 55-200mm f/4-5.6G IF-ED
約335g

10mmの超広角が必要であれば、こちらのレンズセットになります。それ以外は最初に紹介したおすすめセットと同じ考え方です。

望遠側は「AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II」では重いため、より軽量な「AF-S DX VR Zoom-Nikkor 55-200mm f/4-5.6G IF-ED」とします。

 

3. 単焦点・レンズセット(トータル約735g)

by カエレバ

AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
約200g

by カエレバ

AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(DX換算75mm)
約185g

by カエレバ

AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G(DX換算127.5mm)
約350g

大口径単焦点レンズを使い出せばすぐにわかりますが、ズームレンズの画質は単焦点レンズに劣ります。大口径単焦点レンズのほうが明らかにいい写真が撮影できるので、次第に単焦点レンズしか使わなくなります。

最初から単焦点レンズしか持っていなくても、腕の向上の面では何の問題も発生しません。むしろ、ズームレンズがどうしても必要な場面が実感できるので、メリットのほうが大きいです。

撮影対象が固定されていて、超広角や超望遠が絶対に必要と決まっているのでなければ、単焦点レンズのみで構成するのがおすすめです。

上記の3本は信頼の置ける高画質レンズでありながら、素晴らしく安価で、全部で8万円程度で購入できます。

「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G」と「AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G」はフルサイズレンズで、FX機でも必須のレンズです。将来的にFX機に移行したときに、レンズ資産をそのまま使えるので、たいへん効率が良いです。

また、あとから補助的に「AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II」を買い足せば、どうしても超広角や超望遠で撮影したいシチュエーションが発生したときに、便利さを実感できるはずです。

なお、上記以上の望遠・大口径レンズ(たとえば「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」や「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」など)は、非常に大きく重くなるため、DXフォーマットの軽量コンパクトという利点を活かせません。どうしても必要でなければ、FX機を買うまで保留としたほうがよいと思います。



1511月

デジイチの性能が約2倍になったよ|SanDisk Extreme Pro SDHCカード UHS-I Class10

デジタル一眼レフカメラ用にSDカード『SanDisk Extreme Pro SDHCカード UHS-I Class10 32GB』を買って使い始めました。書き込み速度が目に見えて向上したので、報告します。

やっぱり、いいSDカードを買わないとダメですね。デジイチの性能をきちんと発揮できていなかったと痛感(^^;;

 

条件

カメラ:Nikon D7000
ファイル形式:RAW(RAW 12ビット・ロスレス圧縮)
画素数:4928×3264ピクセル

※10枚連写後、再び10枚の連写が可能になるまでの時間を計測

 

結果

by カエレバ

7.8秒

 

 

by カエレバ

13.8秒

 

 
メーカー不明のよくわからんやつ Class10対応 16GB

16.4秒

 

連続撮影時に利便性を実感

ということで、当たり前ですが、『SanDisk Extreme Pro SDHCカード UHS-I Class10 32GB』の圧勝。

同じClass10でも、書き込み時間が約半分で済みます。書込み最大90MB/秒は伊達じゃない、というわけですね。

実際の使用感でも、連写撮影が連続するケース(スポーツ、ショー、人の生き生きとした表情の撮影など)では、明らかに余裕が生まれました。

今までだと、無計画にシャッターを切っていると、肝心なときに書き込み待ちになって撮影できないケースもあったんですが、『SanDisk Extreme Pro』くらい速いと、別次元です。

取材には欠かせない一枚。値段は高いですが、それだけのことはある逸品です。

by カエレバ

【関連記事】
Nikon 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G レビュー | Photo Gallery of Keiichi Yorikane

デジタル一眼レフカメラ用おすすめストラップ | Photo Gallery of Keiichi Yorikane



1511月

いま私たちは “思考停止” とどう向き合うべきなのか

最近、気になるやりとりを2つ続けて目撃しました。

一つは、電子レンジに発がん性があるという記事を引用した、脱電子レンジ論。もう一つは、「インフルエンザワクチンは打たないで!」という記事を引用した、ワクチン不要論です。

どちらも、専門家ではなく、一般人の発言でした。

この際、論の妥当性については触れないでおこうと思います。電子レンジを使用しようがしまいが、ワクチンを接種しようがしまいが、個人の選択の自由の範囲だと考えるからです。

何が気になったのかというと、どちらも、「よくわからないけど(根拠は確認していないけど)直感的にこうしたほうがいいと感じる」というスタンスの発言だった事実なんです。

 

論理的・科学的思考を放棄する、という選択肢

脱原発支持者の中には、荒唐無稽な陰謀論をまじめに表明する人が存在します。少量の放射線のリスクは少ないと語る学者を見つけると「電力会社から金をもらっている」、震災瓦礫を広域処理すると聞くと(どんなに線量が低いと説明されても)「国や行政は信用できない」などと語る人々です。

これはネット上では一般的に “放射脳” と呼ばれ、不都合な事実を否定し、持論を補強するために、都合のいい解釈をする人々とされています。

一方で、別の見方をすれば、論理的・科学的思考を放棄した人々とも言えます。「わからないなら徹底的に調べる」ではなく、「わからないから怖いという直感に従い、直感にあった事実のみ受け入れる」というスタンスであるわけです。

よくよく考えてみると、脱電子レンジ論とワクチン不要論も、同じ構造です。電子レンジを工学的に調べてみたり、ワクチンの仕組みを理解しようするのではなく、自身の直感を信用しようとします。

 

思考停止はありふれた選択肢となるのではないか

科学技術が発展し、世の中の仕組みが複雑になり、情報量が圧倒的に増えた現代では、安定した日常を手に入れるために “思考停止” という手段を選ぶ人が増えている実感があります。

全てではなくとも、理解の範疇を超えていると感じる分野では、深く考えるのを止めるのが一般的です。

すでに我々は、手元にあるスマートフォンの仕組みなんか、誰も理解していません。どうしてタッチパネルが動作するのか、説明できる人がどれくらいいるでしょうか。

この傾向は、この先もどんどん強まるはずです。なぜなら、世の中が便利になればなるほど、一部の詳しい知識を持った専門家と、テクノロジーを享受する大多数の消費者とに分かれていくはずだと想像するからです。

様々な知識レベルの人がいて、論理的・科学的思考が得意な人とそうでない人がいます。

論理的・科学的思考に慣れている人は、もちろん、論理的・科学的思考をベースに考えるでしょう。

一方で、けっして無視できない一定数の論理的・科学的思考を苦手とする人たちは、論理的・科学的思考を放棄します。

スマートフォンの仕組みを深く考えないように、電子レンジの工学やワクチンの仕組みも深く考えないわけです。

何か不安があったときに、安定を手に入れるために直感のみを信じるという選択は、ありふれたものになるのではないでしょうか。

 

結局なにを信用するのかの違いでしかない

では私たちは、こうした思考停止と、どう向き合っていくべきなのでしょうか。

一般的には、思考停止は悪い態度だと考えられています。「考えればわかることだから」と諭そうとする人もいれば、「ちょっとそういう人とは付き合いたくない」と避ける人もいます。

私もこの点でもやもやしていたからこそ、脱電子レンジ論とワクチン不要論が気になったのだと思います。

現時点で私は、「手に負えないのなら、自分の直感を信じる」という選択は、それほど悪いことではないのではないか、という印象を持っています。

歴史的にみれば、思考停止は宗教が担ってきました。理解できない現象、制御できない要素については、神や仏を頼ってきたわけです。

現在でも、占いやパワースポットに夢中になったり、著名人の考え方に心酔する人は、けっして少なくありません。

そう考えていくと、科学的に間違っていたからと言って、電子レンジやワクチンの見解の違いで、彼らを否定するのは少し違うのではないかと思うんです。

※電子レンジを使うかどうか、ワクチンを接種するかどうかは、人が死ぬような問題ではないという点も大きいですね。社会的に悪影響になるような問題も存在しますが、それはケースバイケースです

安心するためになにを信用するのかの違いで、それが科学的思考なのか、宗教なのか、自分の直感なのかというだけです。

 

“正しさ” とは主観的なものである

例えば、文明を自ら捨てて、自然に従って生きる人々を、「奇特だな」と思うことはあっても、「あいつらは間違っているから根絶やしにしてやる」とは思わないはずです。

“正しさ” とは主観的なものです。科学的に間違っていたとしても、自分らしく穏やかに生きるためには、それが正解だと言うこともあり得ます。

脱電子レンジ論とワクチン不要論を語った人たちは、共感を求めていたように感じました。実際、コメントを寄せる人の半数程度は、「私もそう思っていた」という人たちでした。

似た考え方を持った同士が、寄り添って、グループをつくる。異なった考えを持ったグループ同士で、尊重しあう。多様性のある社会が生まれる。

そんな未来が理想なのかもしれません。

正直、まだ完璧に割り切れているわけではありません。

ただ、科学的正しさを信じる人と、科学的思考を放棄する人の衝突は、現に起きており、これからも増えこそすれ、減ることはないはずです。

じっくり時間を掛けて向き合っていきたいテーマです。

1411月

“産後クライシス” は原因不明の難病ではないよ。

「最近、産後クライシスって言葉が話題なんだって。旦那が家事を手伝うのがことごとく気に入らなくて、嫌味を言うらしいよ。排水溝のヌルヌルの取り方が違う!とか言って。せっかく手伝ってくれてるのに」

と妻に笑い話をしたら、妻はポツリとひと言、

「“手伝う” っておかしくない?」

僕は、我が意を得たり、とばかりに、

「そう、根本的にはそこなんだよね。旦那に当事者意識がないから、いちいちムカつく」

 

産後クライシスは原因不明の難病なんかじゃないよ

話題の発端は、NHKの『あさイチ』。

夫婦を壊す?! “産後クライシス” |NHK あさイチ

家族にとって幸せなイベントである出産。しかし、昨年、ある民間の調査機関がおよそ300人に行った調査で、「出産直後から妻の夫への愛情が急速に下がる」という実態が明らかになりました。また、別の研究ではこの期間に生じた不仲はその後の夫婦関係に長く影響するなんてデータも。中には、長年連れ添ったにも関わらず、出産後わずか1年半で離婚に至ってしまう夫婦もいます。実は産後とは夫婦仲に大きな危機が訪れるタイミングなのです。

こうした問題はこれまで『育児ノイローゼ』『産後ブルー』といった言葉で主に母親たちの問題であるように語られてきました。しかし、番組ではこれを夫婦や社会の問題であると捉え、「産後クライシス」と名付け、その実態に迫りました。

東洋経済オンラインには、NHKあさイチ取材班の追加記事も掲載されています。

日本人を襲う「産後クライシス」の衝撃 | 産後クライシス | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

「出産は、家族の幸せの始まり」――。日本のメディアはこれまで、そうしたイメージをある種”無邪気に”発信してきた。

だが、NHKの朝の情報番組「あさイチ」取材班が取材した現実は、そんなに生易しいものではなかったという。

問題提起としては秀逸だと思うんです。

ただ、これでは、結婚や子育てに尻込みする人を増やすだけ、という印象があります。

なぜなら、産後クライシスが、原因不明の難病のように説明されているからです。なぜ産後クライシスが起きるのかについて、結論の周囲だけをなぞって、決して核心には触れていません。

産後クライシスの克服方法についても、すべてが対処療法です。必ず産後クライシスに陥る前提で書かれているように見えてしまいます。

そんなふうに脅されたら、「やっぱり結婚なんかするべきじゃないな」と思いますよね。子育てって素晴らしく楽しいのに、まったく残念な。

これは、すでに子育て中の親をメインターゲットとしているからなのか(当事者にならなければ意識しないから、原因を書いても意味が無い、とするスタンス)、それとも原因が見えていないからなのか、どちらでしょうか。

 

育児や家事が妻の役割であると誰が決めたのか

冒頭で書いたとおり、産後クライシスの原因は、夫の当事者意識の欠如です。

これについては、実にうまく描写している記事がありまして。

妻の不機嫌ループ ~困惑する夫たちに捧ぐ~ : MAMApicks -子育て・育児・教育ニュース&コラムサイト-

ほぼすべての「母親になった妻」が直面する変化は、意外とシンプルで、かつ劇的なものだ。

●自分のペースで物事を進められる時間がまったく無い。
●自分以外の存在をひと時たりとも頭から離せない。
●自分以外の命がおもに自分の手に委ねられる。

これが一日に5時間ずつとか、短時間の役割として区切れるなら、たいしたことではない。しかし24時間絶え間なく、週末も休む事無く続く。
そして、いつ終わるのかもわからない……。

いっぽう夫は、これまで同様、朝仕事に出かけ、夜帰って来る。それまでと変わらぬ時間を過ごしている。

ここに妻として、いちいち腹が立つのだ。

(中略)

おむつ替えだの、お風呂に入れるだの、子育てのエッセンスが追加されたところで、基本、仕事と家での生活という、切り替えのある生活は続けていられる。それ自体がうらやましいのだ。

そして、その自由度に無自覚であることが、さらに腹立たしい。

私のすべての生活時間や精神は、完全に赤ちゃんの生活ペースに支配されているのに、あなたはなんて気楽なんだ!……不機嫌の、始まりだ。

以前にも書いていますが、たぶん女性は多くの場合、母親になる前から「育児は自分がやらなければ」と思い極めているわけではないんです。出産してから、夫が関わってくれないので追いつめられて仕方なく、自分がやらなきゃ……と覚悟する結果となる。

[パパ育]母親が1人で“子育ては自分の役割”という意識を持った時点で敗北決定

そんな状況で夫に「手伝おうか」と言われれば、そりゃカチンと来ますよね。

“手伝う” って何なんだよ、育児や家事が母親の役割だと誰が決めたんだボケ! おまえだって親だろうが!! となるわけです。

 

育児や家事は「手伝う」ものではなく「分担する」もの

この問題は、なかなか根深いです。

例えばNHKあさイチの「産後クライシスをいかに克服するか」という項を見てみると、無意識に “育児や家事は母親の役割” という前提のもとに書かれています。

産後クライシスをいかに克服するか
企画では産後クライシスの克服方法についてもとりあげました。大事なのは『夫が父親として自覚をもち、産後に家事・育児協力をする事』です。番組ではネットクラブへのアンケートを通し、『産後クライシスが起きなかった』という妻たちがどんなことをしていたのかご紹介しました。

1.自分が何をして欲しいかを言葉で伝えている。
(略)

2.家事協力してくれた夫をほめる
(略)

3.家事をした場合に『6割でOK』と考える
(略)

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2012/09/05/01.html

いやいや、「自分(妻)が何をして欲しいか」ではなくて、「家族としてどう分担するか」でしょう。「家事協力」って、なんで夫が妻を助ける前提なんですか。「6割でOK」とか言っている場合じゃないですよ。

子育てや家事を妻が主となってやらなければならない決まりなんか、ありません。家族の誰にとっても必要なことで、誰かがそれをやらなければ家庭がまわらないんだから、合理的に分担しましょうよ。

 

夫は「育児は母親のほうがうまくできるから、首を突っ込みすぎると悪い」くらいに思っている

ただ、基本的には、夫の側に悪意があるわけではありません。

むしろ、「父親は、育児では母親に勝てるはずがない」「育児は母親のほうがうまくできるから、首を突っ込みすぎると悪い」くらいに思っています。加えて、乳幼児に触れた経験が少なければ、育児の楽しさも想像できない。

単に育児への関わり方が分からなかったり、育児へ関わる積極的な理由を見つけられなかったりしているんです。

妻はこれを、夫の非協力的態度と受け取ります。結果、「自分がやらなきゃ」と覚悟するハメになるというのは、先ほど書いたとおりです。

だから夫が育児の当事者になれないのは、文化習俗的背景だったりとか、今まではそれが常識だったからとか、「何となくそんな気がする」程度の要因が強く影響しています(たぶん)。

しかも悪いことに、妻の側もなんとなく「仕方ないのかな」と諦めてしまうケースが多いんです。実際、夫に不満を持っている妻に話を聞くと、ほぼ100%と言っていいくらい、妻自身が、“子育ては自分の役割”と考えています(あくまでも僕個人の経験ですが)。

 

産後クライシスを回避する2つの方法

「何となくそんな気がする」は、非常に厄介です。

そもそもそれが間違っている可能性を考えないからです。

幼い頃からそれが普通だと刷り込まれていれば、どんなにわかりやすい理屈でも、「そんなのナンセンスだ」と拒否したくなります。

時代が変わった、働き方が変わった、家族構成が変わった、と冷静に考えれば夫婦で分担すべきなのは明白なのですが、耳に入れようとしないわけです。

逆に言えば、あと20〜30年もすれば、人々の常識が時代に適応して自然に変化して、あまり目立たない問題になるかもしれません。

それまで待てない人は、結婚相手を選ぶしかないでしょう。

僕自身、昔は「好きな人と結婚すればいいじゃん」派だったんですが、いまは考え方が変わりました。

だって、子育てって、人生を費やすに値する楽しいイベントなんですよ。その子育ての満足度が低ければ、僕は絶対に結婚生活を続けられないだろうと思うんです。

でなければ、出産前から「あなた(夫)も子育てをしていいんだよ」ということを、根気づよく伝えることでしょうね。そして子育ての魅力を想像できるような場所へ引っ張りだす(例えばasobi基地とか)。

本当に大半の夫は、妻に対して遠慮しているだけなんですよ。なんて明後日な方向の遠慮なんでしょうね。(^^;;



TOPページ サイトマップ 更新履歴